赤外線
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通信手段赤外線通信 (D901iS)「IrDA」も参照

近距離赤外線通信規格IrDAの携帯電話への普及により、赤外線通信が一般に認知され、使用されるようになった。電波で通信する方式に比べて、信号が空間的に広がりにくく(回折を起こさず)、障害物があると通信できない欠点はあるものの、それは第三者に傍受されにくいというセキュリティ上の大きな長所でもある。

ザウルスなどの以前の機種では、ASK方式が用いられていた。

また、屋外で使う自動車用ドアロック・ワイヤレスリモコンは周囲の明るい光が妨害源となり赤外線通信には不向きであるので電波を利用するものが多いが、強烈な光に晒されることのない屋内で使われる家電製品のワイヤレスリモコンは電磁ノイズの影響を受けない赤外線を利用しているものがほとんどである。
音の伝送

のワイヤレス伝送を行う場合に、電波を使わずパルス変調した赤外線を光源から発信し、受光器で受信して復調する機器がいくつか存在する。家庭用ではヘッドフォンで使用され、業務用ではカラオケマイクロフォン同時通訳を聞く際のレシーバに使用されている。

電波と異なり壁を透過しないので外部との混信や盗聴の心配が少なく、マルチチャンネル化も容易で利便性が高いが、一方で送受信器の間に大きな物体があるなど赤外線が届かない条件もしばしば起きるため、使用場所の形状によっては送受信器のうち固定器側について数を増やしたり、人や物に遮られない高所に設置するなどの検討が必要になる。また移動器側も衣服のポケットに入れたり、手で握るなど赤外線を遮らないよう注意する必要がある。受信機に太陽光などの強力な熱線が当たると受信センサーの赤外線が飽和して伝送が不調になる場合もある。
静脈認証

生体認証の一方式として使用される。皮膚への浸透深度は近赤外線域では数mm(最大6 mm)である。短波長側(0.7 - 0.8 μm)の近赤外光は静脈認証[10]や医療用の一部の検査装置[11]などに利用される。静脈認証は静脈血内のヘモグロビンが近赤外光を強く吸収する性質を利用している[12]
赤外分光法詳細は「赤外分光法」を参照

全ての分子には、ある決まった周波数の電磁波を吸収する性質がある。これを赤外線の領域で調べる手法が赤外分光法 (IR法) であり、分子内部における原子の振動状態を通じて物質の構造に関する知見を得ることができる。赤外領域の基準振動がスペクトル分析の基本であるが、吸収が大きすぎるため、近赤外領域にある、吸収の少ない倍音、三倍音を観測することもある。近赤外の分光法は赤外に比べ感度が極めて低く、そのため利用が遅れていたが、分析手法の発達により、非破壊検査・測定に利用されるようになった。
熱紋詳細は「en:Infrared signature」を参照

熱紋とは熱源から放射される赤外線の固有の波長分布や形状を指し、熱紋をデータベースと照合することにより熱源を同定することができる。
話題

特別な場合に限られるものの、ヒトの視覚でも赤外線を感知できることもあるという[13]
脚注[脚注の使い方]^ a b c “赤外線”. 天文学辞典. 日本天文学会 (2023年2月9日). 2023年4月1日閲覧。
^赤外線の話 - 図5 膜厚が異なる水膜の赤外吸収スペクトル
^社団法人遠赤外線協会「遠赤外線とは?・遠赤外線技術」
^ 日本生体医工学会監修「MEの基礎知識と安全管理 改訂第5版」p51
^ 「太陽系探検ガイド エクストリームな50の場所」p83-84 デイヴィッド・ベイカー、トッド・ラトクリフ著 渡部潤一監訳 後藤真理子訳 朝倉書店 2012年10月10日初版第1刷
^ 「宇宙観5000年史 人類は宇宙をどうみてきたか」p133 中村士・岡村定矩 東京大学出版会 2011年12月26日初版
^ 「宇宙観5000年史 人類は宇宙をどうみてきたか」p133-134 中村士・岡村定矩 東京大学出版会 2011年12月26日初版
^ 光成形、マイクロ波成形のしくみ、ディーメック
^ 35年前の初代G-SHOCKが新品相当に復活。“光成形”レストアサービス、Impress Watch、2018年10月31日、同年11月25日閲覧
^マイクロソフト Enterprise Web「IT先進企業 日立製作所」[リンク切れ]
^ 近赤外線トポグラフィによる脳機能計測 (PDF) (一例)[リンク切れ]
^実用化が進む生体認証技術 (PDF) - 静脈認証技術とその適用事例(沖電気)
^ “ ⇒人間にもスーパービジョンが!?不可視とされていたはずの赤外線が特定の条件下で見えることが判明(米研究)”. カラパイア (2014年12月6日). 2020年11月21日閲覧。

関連項目

近赤外線分光法

赤外線天文学

放射計

赤外線センサ

赤外線計測

赤外線写真

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外部リンク

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