資金洗浄
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先進国間で、資金洗浄情報分析機関(FIU[注釈 9])の設置に合意[33]

2000年02月 - 日本政府が、金融監督庁(現在の金融庁)のもとに「特定金融情報室」を設置。

2000年06月 - FATF、資金洗浄対策に非協力的な15カ国・地域(Non-Cooperative Countries and Territories, ⇒一覧)を公表。

2000年11月 - 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約(TOC条約、パレルモ条約)

2001年10月 - 9.11米国同時多発テロを契機に[注釈 10]、テロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約 FATF臨時総会、テロ資金供与に関する「8つの特別勧告」[7]

2002年12月 - 8000万ドル超の麻薬マネーがマン島などの生命保険に使われた事実が報道される[34]

2003年06月 - FATF「40の勧告」改訂 非金融業者(不動産・貴金属・宝石等取扱業者等)、職業的専門家(法律家・会計士等)に対して、疑わしい報告義務を課す[7]。秋から合衆国で政界を巻き込み生保・投信スキャンダル。

2005年12月 - ABNアムロ銀行に8000万ドルの制裁金、マネロン防止規制違反[35]。同行取引先にバンク・オブ・ニューヨークとリパブリック銀行[36]。ファースト・マーチャント(First Merchant Bank)が調査の切り口に[17]

2006年10月 - FATF、資金洗浄対策に非協力的で、特別の注意を払うべき国や地域は、無くなったと発表した[37]

2007年04月 - 犯罪収益移転防止法の一部施行を受け、FIUが金融庁から国家公安委員会へ移管。

2007年08月 - アメリカン・エキスプレスに制裁金6500万ドル、子会社の銀行(AEBI)がマネロン防止規制違反[38][17]

マネロン危機

年表につづく世界金融危機は、シャドー・バンキング危機であると同時にマネロン危機でもあった。年金の目減り、公的資金の注入、労働市場の悪化、(合併による)顧客情報の集約、それら一切のグローバル化。不条理は金融の意義を問う契機となった。2009年5月に『バチカン株式会社(Vaticano S. p. A.)』が出版され、宗教事業協会の資金洗浄に関する証拠書類を暴露した。この書籍は年表以前の状況にも言及し、多くの人々を啓蒙した。2010年、ワコビアの2925億ポンドともいわれる資金洗浄が摘発された[23][39]。この2010年には、年金と生命保険を通じた資金洗浄をテーマとする報告書も発表された[40]

『マネーロンダリングの代理人 暴かれた巨大決済会社の暗部(徳間書店 2002年、原題Revelation$)』の著者ドゥニ・ロベール(Denis Robert)は、資金洗浄に対する国際証券集中保管機関の脆弱性を世に知らしめ、クリアストリームおよび関係金融機関から名誉毀損で幾重にも訴えられていたが、2011年2月3日を最後に全てを退け、フランスのジャーナリズムを鼓舞した。クリアストリームとの紛争において、裁判所はクリアストリームに56000ユーロを超える被告側の訴訟費用を負担させた。[41]

2012年は老舗に災難がふりかかった。スタンダードチャータード銀行がマネロン規制に反してイラン政府を助けたのを、ニューヨーク州金融サービス局(New York State Department of Financial Services)が同年8月にとがめた[23]。2014年に同局は制裁金3億ドルを命令した。もう一つの事件は国際為替指標と関わって世界から非難を浴びた。HSBCLIBORの不正操作と資金洗浄を並行して捜査されて、後者においては制裁金12億ポンドを命令された[23][42]

2013年5月28日、米ネット決済サービスリバティー・リザーブ(英語版)が起訴された事件が報道され、犯罪者が同サービスを利用して60億ドルを資金洗浄したことも付け加えられた[43][44]。6月、三菱UFJ銀行がニューヨーク州のマネロン規制違反で2.5億ドルを支払うことに合意した[45]。8月から米司法省が本腰を入れて銀行群を捜査するようになった[46]。同年8月にはジェームズ・ジョセフ・バルジャーが資金洗浄をふくむ罪で起訴され、11月に終身刑を言い渡された。もはやボストンは金融の聖域といえなくなった。

2014年1月、ビットコイン財団の副会長チャーリー・シレム(Charlie Shrem)が資金洗浄容疑により逮捕された[47]

2015年1月、オッペンハイマー・ホールディングスがマネロン規制違反で2000万ドルの制裁金を科された[48]。同年3月、コメルツ銀行がマネロン規制違反でアメリカ当局から制裁金14.5億ドル請求、2013年に元行員(Chan Ming Fon)がオリンパス事件に関与した事実を認めており、それから同行に対する調査は加速した[49][50]。同3月、アンドラの銀行(Banca Privada d'Andorra)もロシア、中国ベネズエラの犯罪者が資金洗浄のため利用している容疑をアメリカ当局からかけられていた[51]。同年5月から取りざたされたFIFA汚職事件ではスイス当局が、資金洗浄の可能性がある53事件と、スイス銀行口座の不審な取引104件を調べ[52]重大不正捜査局も捜査に参加した[53]。6月、ロシアの顧客が資金洗浄にドイツ銀行を利用した容疑で進められている調査が総額を60億ドルと見積もった[54]。7月2日、1マレーシア・デベロップメント・ブルハド(1MDB)からナジブ・ラザク・マレーシア首相の個人口座へ7億ドルほどが振り込まれた公文書記録が報じられた[55]。この事件は欧州を巻き込む国際捜査に発展し、パナマ文書とも関与してマネロン規制違反が追及されるきっかけとなった。10月、ホンジュラスの経済を支配するコンチネンタル銀行(Banco Continental)が同国当局の管理するところとなり、アメリカ当局が預金されている麻薬マネーを追及した後に、ホンジュラス当局が清算を指揮することになった[56]。11月、ABNアムロ銀行ドバイ支店がマネロン規制違反で罰金64万ドルを科されていたことが報じられた[57]

2016年5月、麻薬王ニゲル・ウェイキッド(Nidal Waked)とその父親(Abdul)がコロンビアで逮捕された。彼らが凍結された資産の預け先に、パナマのバルボア銀行(Balboa Bank and Trust)があった[58]。7月、HSBCはジョージ・オズボーンの仲介で資金洗浄をめぐる刑事訴追を免れることになった[59]。この対価は巨額の和解金と営業制限であった。

2017年5月、シティグループがバナメックスがらみの資金洗浄で9740万ドルの和解金を積んだ[60]。7月、ソシエテ・ジェネラルがマネロン規制違反で500万ユーロの罰金を科された[61]。12月、1MDBの捜査線上でJPモルガン・チェースのスイス支店がマネロン規制に対して重大な違反をしていたことが明らかとなった[62]


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