資金洗浄
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10月、ホンジュラスの経済を支配するコンチネンタル銀行(Banco Continental)が同国当局の管理するところとなり、アメリカ当局が預金されている麻薬マネーを追及した後に、ホンジュラス当局が清算を指揮することになった[56]。11月、ABNアムロ銀行ドバイ支店がマネロン規制違反で罰金64万ドルを科されていたことが報じられた[57]

2016年5月、麻薬王ニゲル・ウェイキッド(Nidal Waked)とその父親(Abdul)がコロンビアで逮捕された。彼らが凍結された資産の預け先に、パナマのバルボア銀行(Balboa Bank and Trust)があった[58]。7月、HSBCはジョージ・オズボーンの仲介で資金洗浄をめぐる刑事訴追を免れることになった[59]。この対価は巨額の和解金と営業制限であった。

2017年5月、シティグループがバナメックスがらみの資金洗浄で9740万ドルの和解金を積んだ[60]。7月、ソシエテ・ジェネラルがマネロン規制違反で500万ユーロの罰金を科された[61]。12月、1MDBの捜査線上でJPモルガン・チェースのスイス支店がマネロン規制に対して重大な違反をしていたことが明らかとなった[62]

2018年2月、ラボバンクが資金洗浄を許したかどで、銀行秘書法違反により3.6億ドル超を支払うことになった[63]。6月、オーストラリア・コモンウェルス銀行がマネロン規制違反で7億ドルを支払うことに合意した[64]。9月、INGグループがマネロン規制違反で9億ドルの罰金を科された[65]。10月、ダンスケ銀行が資金洗浄をめぐりアメリカ当局の調査を受け入れ[66]キャピタル・ワンがマネロン規制違反で1億ドル超の罰金を科された[67]
日本の資金洗浄
FATFによるチェック

1989年アルシュ・サミットの合意により設置された金融活動作業部会(FATF)は、日本の資金洗浄対策について厳しい指摘を投げかけ続けている。2008年に行われた第3次審査では、取引相手の法人を誰が実質的に支配しているかを十分確認できていないなど49項目中25項目が要改善という厳しい内容となったほか、2014年の定期会合でも、日本の資金洗浄対策に不備があることが指摘されている[68][69]

こうした状況を踏まえ、「新40の勧告」(第4次勧告)に基づいた勧告の遵守状況に関する審査が行われる、2019年の第四次対日相互審査実施前に金融庁では、「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」を制定し、金融機関等にリスクベース・アプローチ(RBA)に基づく態勢整備を促すとともに、その実施状況の観察を行うなどの対応を推進している[70]
日本での規制

規制薬物取引に関する資金洗浄行為は「麻薬特例法」(平成3年法律第94号)、その他の資金洗浄行為および組織的な資金洗浄行為(不法資金による会社乗っ取り行為など)は、「組織的犯罪処罰法」(平成11年法律第136号)により、それぞれ禁止されている。

2004年には、シティグループ傘下のシティバンク、エヌ・エイ在日支店プライベートバンキング部門において、融資と債権の違法な抱き合わせ販売や株価操作のための資金提供、組織犯罪関係者の資金洗浄の手助けや匿名口座と知りながら大口顧客の口座開設などを行った不祥事が金融庁に摘発され、拠点の認可取り消しなど、金融庁の厳しい行政処分が行われたと同時に同部門の閉鎖、全面撤退が行われた(シティバンク、エヌ・エイ在日支店に対する行政処分について)。[注釈 11]

そこで、2007年1月4日から本人確認法施行令等が一部改正され、現金でのATM振り込み限度額が一回につき10万円に引き下げられ、10万円を超える現金での振込みを行う際には、銀行窓口にて身分証明書を提示することが義務付けられた。

また、2003年に改訂されたFATF「40の勧告」を日本国内において実施することを目的として、2007年4月1日、犯罪収益移転防止法が一部施行された。これにより、従来金融庁に設置されていたFIU(特定金融情報室)が国家公安委員会警察庁刑事局組織犯罪対策部犯罪収益移転防止管理官)に移管された。

2007年9月、山口組五菱会系の闇金融グループによる資金洗浄で、不正な海外送金を幇助したという容疑者(クレディ・スイス香港支店の元行員)の無罪が確定[33]。犯罪収益の認識を欠いて構成要件に該当しなかったという。

2002年に学校法人帝京大学が、7年間で150億円の裏口入学のための入学前寄付金を集め、そのうちの65億円をグループ内の法人に所得隠ししていた事件がある。巨額の金を手渡しで受け取り銀行へ「預入」、その金を50もの財団等を回して「分別」、さらに財団の福利厚生事業資金と「統合」して洗浄するなど、典型的な資金洗浄の手口を使った日本の大学史上最大級の裏口入学事件。「帝京大学医学部裏口入学事件」も参照
脚注[脚注の使い方]
注釈^ マニ・ローンダリング(英語発音: [?m?n? ?l??nd?r??])。金融庁・警察庁などの公的文書[1][2]では「マネー・ローンダリング」で統一されており、経済産業省では「マネー・ロンダリング」[3]、外務省[4]・報道では「マネーロンダリング」の使用が多く、「資金洗浄」単体での表記はまれである。略称は「マネロン」。
^ リアルマネートレーディング(RMT)行為などの悪用に対する懸念が根強い。さらに仮想通貨を使う方法も発生している。[8]
^ ハワラマネーミュールも参照されたい。
^ インドではダイヤモンド取引が資金洗浄に利用されている[14]。インドはデビアスの凋落以来ダイヤモンド輸入国である。インドではないが、2016年12月にダイヤモンド商人スタインメッツ(Beny Steinmetz)が資金洗浄の疑いで逮捕された。
^ この現状が防犯に必ずしも資さないため、断片的な情報を渉猟・整理した。
^ 黒幕は、合衆国の経済利権としてフェアファックス(Fairfax Media)を育てたマーシャル・グリーン(Marshall Green)と、1975年11月の証券危機に働きかけたというテッド・シャックレー(Theodore Shackley)であると考えられている[20]
^ バンク・オブ・ニューヨークの元副社長ルーシー・エドワーズと、その夫ピーター・バーリンが手口に言及している[27]ロシア連邦中央銀行総裁(Viktor Melnikov)の説明では、ロシア財政危機の1998年にロシアの犯罪者ナウルで700億ドルほどを資金洗浄したという[28]
^ ブラディミロ・モンテシノスがバンク・オブ・ニューヨークに少なくとも二つの口座をもっており[17]、これをふくむ海外預金残高は1000万ドルにもなるとフジモリ大統領が説明した[29]


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