貧困
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ノーベル経済学賞受賞者のアマルティア・センは、貧困を「潜在能力を実現する権利の剥奪(英語: a capacity deprivation)」と表現した[8]。以下に代表的な基準を記す。
絶対的な基準「貧困線#絶対的貧困」も参照

絶対的な基準として、当該国や地域で生活していく為の必要最低限の収入が得られない者とする例が挙げられる。必要最低限をどのように設定するかが大きな問題となり、国・地域・一部の先進国の労働者が原因で全世界での貧困が増大しているという見方がある。
気候一般に寒冷地であれば多くの光熱費や衣料費が必要になる。また、降水量などによっての価格も異なったものとなる。
農作物化学肥料の誕生以前は単位面積当たりの農作物の量に限界があるため、農作物の量が人口増加に追いつかず、人類は常に貧困に悩まされていた(マルサス人口論[9]
物価物価によって、同じ物・サービスを購入するために必要な収入が異なる。それぞれの国や地域の物価は国際的な為替相場に大きく影響される。資源国または農業大国であるかどうかによって、物価の貧困への悪影響に格差がある[要出典]。また、同じ国・地域でも都市部と農村部(非都市部)では物価が異なり、特に住居費などに差が生じる。
習慣・文化どの程度までその国や地域の習慣文化などを考慮するかは、人により大きな差となりやすい点である。例えば、日本において最も安く生活に必要なカロリーを得るためには、よりも小麦イモ類を食べるのが良いであろうし、もちろんタンパク質として牛肉などを食べる必要はない[誰?]。しかし、そのように考えていくと、通常の日本の食生活とは全く異なった食事を強いることにもなりかねない[誰?]。同様のことは他の分野にも言え、どの程度の衣服が必要最低限であるか、テレビラジオ電話パソコンなどの電化製品・冠婚葬祭など、どこまで必要最低限であるかなどにおいて明確な基準の設定は困難である。
教育どの程度の教育水準を必要最低限とするかも様々である。義務教育初等教育及び中等教育)程度は当然のものとされるが、大学教育(高等教育)・専門技能習得のための費用などが必要最低限の中に含まれるか否かは明確ではない。教育格差の固定化に否定的な立場からは、より高い収入を得るための高度な教育も必要最低限に含まれやすい。
健康・寿命一般により良い食生活・より快適な衣服・住居は、よりよい健康状態・より長い寿命・立派な体格をもたらす。例えば長い寿命を当然とすれば最低限とされる生活水準は高くなるが、どの程度の健康・寿命が必要最低限であるかを決定することは困難である。

また他の基準として、2017年アメリカドルPPPベースで1人当たり年間所得784.75ドル(1年が366日の場合、786.9ドル)未満とする世界銀行の貧困の定義や、死亡率・識字率などを組み合わせた国際連合開発計画の定義などがある。
相対的な基準経済的不平等を示すジニ係数(世界銀行)

  ? 30   30-34.9   35-39.9   40-44.9   45-49.9   50-54.9   55-59.9   60-64.9   Data unavailable
貧困線#相対的貧困」も参照

相対的な基準として、OECDの統計で用いられる「等価可処分所得の中間値の半分に満たないもの」あるいはアメリカ合衆国の「収入が世帯の食料購入費の平均の3倍に満たないもの」などがある。

日本における定義は、「等価可処分所得(世帯の可処分所得を世帯人員の平方根で割って調整した所得)の中央値の半分に満たない世帯員」(この「中央値の半分」という基準は科学的根拠に欠けるということが研究者の共通した認識となっている[10])のことで、この割合を示すものが相対的貧困率である。預貯金や不動産などの資産は考慮していない[11]

相対的な基準を用いると、一定の計算式によって貧困か否かが判断されるため、判断者による恣意が入り込む余地は少ないものとなる。しかし、平均値との比較によって判断するため、国全体が貧しい場合には絶対的に見て相当貧困な状況にあっても、貧困でないとされる場合がある。また、ある発展途上国の貧困でないものは、ある先進国の貧困者よりずっと貧しい、ということにもなる。

ある国や地域の中で貧困という部類に分類されるかどうかが表されるのであり、経済格差という面から見た基準である。
貧困や不平等度を測る尺度

貧困についての統計は、貧困がある国や地域においてどの程度のものであるかを示す統計である。貧困の状況を調査するため、様々な主体によって様々な統計がとられており、貧困対策の基礎的情報となる。しかし、それぞれの統計で貧困の基準や捉えることの出来る貧困の状況が異なるため、貧困の理解に際しては複数の統計を注意深く分析することが求められる[誰?]。
貧困者数・貧困率

貧困者数とは、その国や地域において何人の貧困線以下の者が存在するかを示した指標であり、これを全人口に対する比率としたものが貧困率である。

貧困率には絶対的貧困率と相対的貧困率とがあり、前者は当該国や地域で生活していける最低水準を下回る収入しか得られない国民が全国民に占める割合を表す。一方の後者は自身の所得が全国民の所得の中央値の半分に満たない国民の割合を表す(詳細は貧困線を参照)。

これらの指標は、そこで用いられている基準がどのようなものであるか、の他にも貧困の程度については考慮されていないことに留意する必要がある。より深刻な貧困の方がより大きな問題である。しかし、例えば格差の拡大によって貧困線を僅かに下回っていたものが、最底辺の酷い貧困に追いやられたとしても、これらの指標は変化しない。貧困者数や貧困率は改善しているものの、貧困者の貧困の程度は悪化している場合もある。
貧困ギャップ


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