貧困
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教育資金や教材が横領などによって消える。

統計上は学校には行っていても、実際には教材・教師の不足で満足に授業を受けていない(生活苦により、教師が教材を売り払ってしまう例も見られる)。

人脈やコネ・賄賂などが重視され、教育を受けてもそれが適切に評価されないため、学習意欲が失われる。

教育を受けた人材がより環境の良い、国外に流出する。

また、教育水準の向上には学校教育だけでなく家庭や社会での教育も重要であるが、政治腐敗や社会の習慣から、教育に対する意欲・理解が低い場合、それらを外部から向上させるのは困難である。女性の教育水準の向上は経済発展のみならず、衛生知識の向上などによって健康状態を改善するのにも役立つとされるが、男性と比較して女性の教育には理解、協力を得がたい社会も多い。
腐敗

貧困の原因として、腐敗が挙げられることがある。横領贈収賄コネや金による採用・出世などの横行する腐敗した社会では正当に能力が評価されず、人々が努力をしようというインセンティブを失ってしまう。そうして努力を重ねる者がいなくなることで、社会全体が貧困に陥るのである。社会が改革され腐敗がなくなることによって、人々は将来に希望を持ち、教育や学習、努力に対してインセンティブを持つようになり、また他国からの援助なども貧困者に届くようになると考えられる。

しかし、政府や社会の腐敗を外部から改善することは難しい。[注釈 1]腐敗した国家は、経済が停滞しある意味において他国からの援助によって支えられているのではあるが、援助資金の使用に問題があったとしても、援助の打ち切りはなかなか行われない。

その理由の一つは、外交主管庁は、その部署の存続、発展のため予算を全て消費しなければならず(しない場合翌年の予算がカットされる)、援助を行って形式的にでも実績を挙げなければならないという点にある。そのため、援助資金を無駄にすることも黙認され、例年通りに援助が行われ、腐敗と貧困も温存される。

もう一つの理由は、人道的な観点から食糧や医薬品の援助の停止は難しく、ある意味において貧困者が援助を引き出す人質となっていることである。
市場競争・自由貿易

市場競争や自由貿易の利点と問題点については、以下のような主張がある。
利点

@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}貧困の原因として、規制が多く市場競争や
自由貿易が行われないことが挙げられる。規制による経済活動の抑制やコスト負担がなくなれば、貧困が解消に向かう[要出典]。

自由貿易や規制緩和によって政府の権限が縮小されれば、汚職や政治腐敗も減少し、海外からの投資が増加する[要出典]。

競争によって経済発展を遂げるには、まず経済活動の基盤となるインフラが必要である[要出典]。

グローバリゼーションによる経済成長が、インドの極貧人口を2億人、中国では3億人減らした[16]

グローバル化は、格差を縮小させる効果もある。後進国が発展すれば、先進国で買う製品が安くなる。低所得者はエンゲル係数が高いため、食料品が安くなれば実質所得が増える[17]

問題点

自由貿易が賃金格差拡大を招いているという分析がある。ノーベル賞経済学者
エリック・マスキンとマイケル・クレマーが指摘するように、貿易が所得格差を縮小させるという従来のリカード比較優位説は実証性を欠いているとしている[18]。マスキンらによる技術マッチング理論によれば、グローバリゼーション以前では発展途上国の熟練労働者と非熟練労働者が協調することで生産性を上げていたが、グローバリゼーション以降では熟練労働者が先進国の国際的企業に雇われて非熟練労働者はとり残され、格差が増大する。発展途上国の政府は労働者の技術を高める教育を提供しなければならないとマスキンらは述べる。カンボジアでは女性に教育を受けさせるプログラムを導入することで女性をアパレル産業に入れることが可能となった[18]

国外の安い製品が輸入され国内産業が衰退すると、一時的であれ所得の低下や失業者の増加を招く[要出典]。

小規模な株式市場や為替市場に多額の投機資金が流入すると、価格が変動しやすく、金融危機にいたる場合もある[要出典]。

企業や工場を誘致しても、単純作業が求められる場合には、技術移転が進まず国内産業の育成には繋がらない場合もある[要出典]。

国外の企業の進出には、言語、習慣や文化の差異などの障壁も大きく、受入国の文化が変容する[要出典]。

多国籍企業の誘致や国際競争力のある国内産業の育成のために、本来あるべき規制まで緩和されると、労働環境の悪化や環境破壊などの弊害がもたらされる(底辺への競争と呼ばれる)[要出典]。

グローバリゼーションや経済開発から取り残されつつある国があり、国際援助はそうした最貧国を優先すべきであるという指摘もある[19]

人口爆発

貧困の原因として、人口の急激な増加(人口爆発)が挙げられることがある。人口爆発は、一人当たりの資金・土地・資源量を減少させ、人口の増加に経済発展が追いつかなくなり、食糧不足や失業、都市への過剰な人口流入やスラムの形成がもたらされて貧困に陥る。そこで、家族計画を普及させ人口増加を抑制することで、一人当たりの資源を確保し、経済の発展を図るべきと考えられる。

このような考えに基づき、性教育避妊具の普及活動(無料配布など)が行われた。

しかし、多くの貧困国の合計特殊出生率(一人の女性が一生のうちに産む子供の数)は高い。これは、避妊法を知らないと言う理由により出産がなされるだけではなく、病気や事故によって子供が死亡するリスクや、老後の生活の保障、あるいは労働力として多くの子供を持つことが望まれているためであると考えられる。

子供を望むものに対して子供を減らすようにするのは難しく、各国で少ない子供の利点が宣伝されているものの、十分な効果は現れていない。

また、中国一人っ子政策のように強制的に出生率を下げる政策は、強力な政府の権力がないと実行は難しく、男尊女卑的風潮のある社会では男女比率の大きな偏りや戸籍に登録されない子供の増加などをもたらす結果となるなど、弊害も多い。


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