ソマリアは1982年からいわゆるソマリア内戦が表面化し、1991年にバーレ社会主義政権が崩壊すると無政府状態になった。武装しなければ街頭に出られず(それでも命の危険がある)、2012年の統一政府樹立後も首都・モガディシュ以外は軍閥を土台とする各地の自治国とソマリランドの支配下にあり、アル・シャバブ によるテロ活動も続いている。
コンゴ民主共和国は1960年の独立直後に勃発したコンゴ動乱で旧宗主国・ベルギーを初めとする列強の介入を受け、国内が分裂状態となった。その後、ザイール政権末期から断続的に発生した第一次・第二次コンゴ戦争に周辺諸国が介入し、その後も紛争が続くことで中央政府の統治が全土に行き届かないでいる。 後発開発途上国は、社会基盤が脆弱な故に巨大な自然災害に対処しきれない場合があり、他の国では減災が可能な事例で被害を拡大させる傾向がある。 ハイチでは2010年に大地震が発生し、政情不安で社会基盤が脆弱だったこともあって被害が拡大した。首都のポルトープランスを直撃して多数の死傷者が出たが、2021年現在、復興作業が進められている。 ネパールでも2015年に大地震が発生し、ハイチと同様に社会基盤が脆弱だったため被害が拡大した。 ミャンマーでは、2008年5月に大型のサイクロン(台風)により多数の家屋や家畜、そして人的被害が発生した。これも社会基盤が脆弱なため被害が拡大したものである。 バヌアツでも、2015年3月にサイクロンで10人以上が死亡した。これも社会基盤が脆弱なため被害が拡大した。 後発開発途上国を形成する大きな問題が飢餓である。厳しい気候や耕作に不適な土質の地域では農業が充分に発展せず、食料輸入を行うための財政力もないため、「生活に必要な栄養を自給できない状態」にある。 食料生産国の多くは、自国の穀物を保護を目的に、他国から輸入された穀物に高い関税をかけている。このような状況において後発開発途上国では、肥料を利用するなどして生産を拡大しても輸出を伸ばすことができず、生産過剰となり、結果として、豊作貧乏に陥ってしまう。そうなることを避けるために、後発開発途上国では、肥料などを利用しない粗放農業をとらざるを得ない。そのような状態だと自然災害や紛争などによる悪影響を受けやすくなり、飢餓がより深刻化する。 電気・水道を初めとするインフラストラクチャーの整備状況は、安定供給・不安定供給・供給なしの3段階に分かれるが、最貧国では首都でも安定供給でない場合が多い。 道路も国内の最重要幹線が未舗装であったり、鉄道も皆無あるいは幹線系でも正常な運行が困難というケースが多く、経済活動に悪影響を与える。 2023年12月時点において、後発開発途上国に分類されている国は以下の45ヶ国である[4]。 2016年末に公表されたUNCTAD(国際連合貿易開発会議)の報告書では、LDCは2025年までに48か国から32か国まで減少する見通しとされた。特にオセアニアでは域内の国が全てLDCから除外される見込みで、アジアもカンボジアを除く全ての国がLDCから除外する見込みとされている。一方で、アフリカでは依然として30か国がLDCに留まると見られている[9][10]他、ハイチもLDCに留まると見られている。 2016年の報告書と実情を比較すると、2017年以降にLDCの指定を解除された国は3か国に留まっている。ただし、2024年2月12日にはアンゴラが、2024年12月13日にはサントメ・プリンシペが、2026年11月24日にはバングラデシュ、ラオス、ネパールが、2027年12月13日にはソロモン諸島が、LDCの指定を解除される予定である[11][12][13][14][15]。
自然災害
飢餓
インフラ未整備
現在のLDC後発開発途上国(LDC)の指定状況(2020年12月末時点) LDCに指定されている国 LDCの指定を解除された国
アジア (8ヶ国)
アフガニスタン[注釈 4]
イエメン
カンボジア
ネパール[注釈 4]
バングラデシュ
東ティモール[注釈 5]
ミャンマー
ラオス[注釈 4]
アフリカ (33ヶ国)
アンゴラ
ウガンダ[注釈 4]
エチオピア[注釈 4]
エリトリア
ガンビア
ギニア
ギニアビサウ[注釈 5]
コモロ[注釈 5]
コンゴ民主共和国
Size:52 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
担当:undef