財政
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その後に景気回復が起こった場合に財政赤字とすることは経済安定効果の面からも正当化されるという主張がある。公債はそのような意味での経済効果を持つと考えられてきた。一方ではマネタリストなどが恒常所得仮説により、そのような効果を持つことはないと批判している。この学派によれば財政政策よりも金融政策の方が有効な景気対策である。一方、ヨーゼフ・シュンペーターの経済学では、景気変動はただ景気の波によるのであって、自由競争による創造的破壊こそが有効な景気変動への対策であるとされている。財政自体の効果として経済の自動安定化機能(ビルト・イン・スタビライザー)がある。詳細は「ビルト・イン・スタビライザー」を参照
財源の種類

財政には財源は必要ないが、日本政府の一般会計の歳入は「公債金」と「租税」と「印紙収入」と「その他の収入」から構成されている。[6] その他の収入には政府貨幣発行益がある。[7]

国家にとって「税は財源ではない」、「税は景気の調整弁である」との意見も多い。[8][9][10]
通貨発行権と財政の関係

MMT(現代貨幣理論)研究者である中野剛志によれば、通貨発行権を有する国家と通貨発行権を有しない地方公共団体の財政は全く事情が異なるので、それらを混同してはならない。「日英米のように自国通貨を発行できる政府(中央政府+中央銀行)の自国通貨建ての国債はデフォルトしないので、変動相場制のもとでは、政府はインフレ率が許す限り財政政策をすることができる。」という[11]
財政の不健全化の原因
国家財政を家計簿と混同すること

国家財政を家計簿と混同して収支均衡を図ることは、財政の基本機能である「経済の安定化機能」および「資源配分機能」を損ない、財政を不健全化させているとの指摘が、次のようにある。

日本は「財政の優等生」なのか? 国家財政を家計簿と混同させる財務官僚とメディア
[12]

財政赤字を家計の赤字にたとえるべからず[13]

「日本は借金まみれ」という人の根本的な誤解「政府の借金」と「家計の借金」は同じではない[14]

財政をめぐる7つのウソ (その1)[15]

不適切な財政規律の採用

プライマリーバランス黒字化目標は、国家財政を家計簿と混同している不適切な財政規律であり、財政の基本機能である「経済の安定化機能」および「資源配分機能」を損ない、財政を不健全化させているとの指摘が次のようにある。

日本を救うため、PB制約を撤廃し、「政策の自由度」を高めよ[16]

【三橋貴明】プライマリーバランス黒字化目標を破棄せよ[17]

プライマリーバランス黒字化目標の間違いが高校数学で判明[18]

プライマリーバランス主義が間違っている理由【CGS 神谷宗幣 藤井聡 特別編 その2】

【藤井聡】プライマリー・バランス亡国論

財務省のPB黒字化路線の狂気[三橋TV第72回]三橋貴明・高家望愛

国を滅ぼす財務省のPB黒字化目標から脱却せよ!【西田昌司ビデオレター令和4年3月30日】

消費税の存在

消費税は、逆進性が高い税制であるために財政の基本機能である「所得の再分配機能」を損なうし、消費に対する罰金になっているので消費を減退させて「経済の安定化機能」も損なうことで、財政を不健全化させているとの指摘が次のようにある。

消費税における逆進性対策1 ?所得再分配機能の観点から?
[19]

消費税の逆進性とその緩和策[20]

連載コラム「税の交差点」第60回:平成の税制を振り返る(その2)所得再分配機能はなぜ低下したのか[21]

デフレ脱却に必要なのは消費税廃止+法人税増税![三橋TV第140回]三橋貴明・高家望愛

【魂の街頭演説!!】致命的欠陥があり、景気悪化・デフレ加速する消費税は廃止!国民に利益を再分配する新たな税制を提言!!(西田昌司ビデオレター 令和4年11月7日)

財政の歴史

財政は、積極財政緊縮財政の綱引きの歴史となっている。また、歳入歳出のあり方は、国の構造や方向性に大きく影響した。

3世紀頃のローマ帝国は、膨大な社会資本維持や異民族侵入防御のための歳出により、都市の財政負担が膨張し荘園化による帝政崩壊の一因となった。

16世紀になると、スペイン・ポルトガルは、南米からの莫大な収入により、莫大な浪費を続け欧州に価格革命をもたらした。また、は、未熟な紙幣を流通させることに失敗し、一条鞭法によって銀収入に統一した。

17世紀にはイギリス・フランスなど、絶対王政の国々は対外侵略に明け暮れ、莫大な国債残高を抱えていた。

日本は明治維新後、現物が中心だった歳入を地租改正によって貨幣経済に合わせた。
20世紀

ケインズ経済学誕生前夜、イギリスなどの多くの国の大蔵省・財務省は、支出を税収に一致させる均衡財政主義を採用していた[22]。20世紀にはいるとアメリカは、世界恐慌に際して、均衡財政主義を破り積極的な歳出増額により失業者救済を図った。1942年に日本は、米ドル建て国債(ソブリン債)のデフォルトに陥っている[23]

1947年(昭和22年)、戦後混乱期の日本では日本国債の発行額が税収を上回り、それが戦後インフレーションの原因になったという反省から財政法が制定され、赤字国債の発行と日銀の赤字国債引き受けを禁止して、均衡財政主義を取ることとなった。


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