歳入面からの財政政策は税制が軸になる。減税や増税をすることで経済成長を促進したり抑制したりすることが出来る。 財政政策は、景気変動の動きを相殺するように政府が能動的に財政支出を増減させたり、家計や企業の負担を増減したりする積極的財政政策と、政府による能動的な対応がなくとも自動的に政策が変更されてしまう消極的財政政策にわけられる。 積極的財政政策は、公共事業の増加や国民や企業への現金給付や減税を通じて有効需要を増大させることで、国内総生産の拡大や失業の抑制を図ると同時に民間経済活動の拡大や生産性向上を支援するものである。財政拡大や減税にあたっては、政府が財政赤字の拡大を厭わず税収を大きく超えた支出を行うことが必要になる。管理通貨制度を持つ国々では財源の制約がないため、制度上は経済状況に応じて柔軟な財政拡大が可能となる。逆に景気が過熱すれば緊縮財政政策を取り、公共投資を減少させたり事業期間の延長で財政拡大を抑制したり、増税によって消費や投資を抑制して、景気変動の幅を小さくしようとする。 元連邦準備制度(FRB)議長のマリナー・エクルズは「財政政策は民間の信用が拡大している時だけ緊縮し、民間活動が低下している時だけ拡大すべきである」と主張していた[14]。 経済学者のケネス・ロゴフは「世界不況に陥るかもしれないという場合に、必要な政策には積極的な経済政策が含まれる。財政政策は減税とインフラ投資に焦点を合わせるべきである」と指摘している[15]。 消極的財政政策としては、法人税や所得税の存在、失業給付(雇用保険・労働保険)や生活保護の制度が挙げられる。法人税は企業が利益を上げなければ課税されないので、不況期には税収が減少し好況期には税収が増える。個人の所得に課税される所得税も一定の所得水準までは課税されず、不況期に所得が減少すれば自動的に税負担が減少するようになっている。特に所得税率が累進課税の場合には、好況期に所得が増加する以上の速度で税負担が増加し、消費を抑制する効果が大きい。 また失業給付や生活保護の制度は、直接的には景気変動を安定化するという目的で行われているわけではないが、不況になって失業者が増加したり所得を失って生活に困窮する世帯が増加した場合には、政府支出が自動的に増加して家計所得を補い、消費を下支えすることになるので、間接的には景気の安定化機能を持っている[16]。 初歩のマクロ経済学では、政府支出の水準や財政収支は政策変更がない限り一定として分析を行うことが多いが、実際の財政制度では、景気変動によって自動的に支出額の増減や財政収支の改善・悪化が起こる。このように、あらかじめ財政制度に組み込まれている景気安定システムを自動安定化機能(ビルト・イン・スタビライザー)という。 財政政策は、確実な「政府需要」を生み出せる[17]。例えば、政府が公共投資を行えば、少なくともその分だけは総需要は増え名目GDPが成長する[17]。一方で財政政策は、資源配分・所得配分に歪みが生じる[17]。 マクロ経済学で用いられる理論のひとつであるIS-LM分析を用いると、財政政策と金融政策の適切な組み合わせ(ポリシーミックス)によって景気変動を安定化できることが分かる。
減税[6]
所得税・法人税・消費税率の引き下げ[10][11]
設備投資・研究開発投資の減税[12][13]
住宅手当の拡充[6]
積極的財政政策と消極的財政政策
積極的財政政策
消極的財政政策
効果と弊害
効果
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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