象徴種を選定することによって、一般市民が環境保護活動に関心をもつということは、幾つかの事例によって証明されている[25]。例えばゴールデンライオンタマリンなど3種のタマリンを象徴種に選定したプロジェクトを行う前後にアンケートを取ったところ、プロジェクト後にはタマリンの知名度やその重要性についての認知度が上昇していたほか、森で傷ついた小鳥を見たら「家に連れて帰る」(55→29%)という回答が減り、「そのままにしておく」(44→69%)、といった、自然に対する認識も変化しているという結果が得られた[25]。
象徴種を選定した場合の金銭的利益がどの程度得られるか、またどのように保護することを望まれているかなどを検討するために、支払意思額(WTP)という尺度を用いて調査が行われる[26]。例えば、ジャイアントパンダの保護に対するアンケート(中国人以外に対して実施)で「100m2の檻」「5000m2の檻」「もとの生息地で保護」の3つの選択肢に対して、それぞれどれだけの額を支払ってもいいかというアンケートを行った所、それぞれ平均3.9ドル、8.43ドル、14.86ドルという回答が得られたとされる[26]。このことから、人々がパンダを狭い檻に閉じ込めるより生息地で保護することを望んでいるものと考えられている[26]。
脚注^ a b c Olney et al. (1994) p.33
^ 大元鈴子 フラグシップ種を活用したローカル認証の役割