議長
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議事日程の決定(国会法第55条)や委員会への付託(国会法第56条第2項)、開議の決定(衆議院規則第103条、参議院規則第81条)が議事整理権に含まれる[6]議長決裁権(国会法第61条)もこれに含まれる[6]。議長が有する議事整理権は政治的に大変強力な権限であるが、実際には議院運営委員会に諮問という形で議事整理に関する判断を委ねる慣行が成立しているため、自己の判断により権限を行使する機会の少ないポストであることから政界においては事実上の名誉職とみられている。本会議の進行中に与野党の事前の打ち合わせと異なる事態が発生した際には、議院運営委員会理事が寄り集まって協議し、その結論に従って議長が議事進行を行う光景が見られる。議長が政治的影響力を行使する局面は、与野党の対立が膠着状態になった際の斡旋や調停などに限られている。議長の権威を背景に、斡旋案提示や党首会談などを呼び掛け、与野党双方がメンツを保ちながら決着につなげる。ただ、斡旋が不調に終われば議長の権威が傷つき、辞任に追い込まれることもある。

議院事務監督権(国会法第19条)

議院代表権(国会法第19条)
議長は議院を代表して奏上・送付・受理などを行う[7]旧皇室典範下の皇室儀制令における帝国議会両院議長の宮中席次は、国務大臣枢密顧問官大将およびその他の親任官より下位にあったが、日本国憲法下では、明文規定はないものの慣行上内閣総理大臣の次席に置かれる[8]。1980年から1990年中期まで自由民主党では衆参両院の議長経験者を総裁・副総裁経験者とともに最高顧問として遇していたことなど、公的な席や政界において国会両院の議長には三権の長の一人としての高い格式が与えられている。
副議長

副議長は議長に事故があるとき又は議長が欠けたときに会議を主宰する者(国会法第21条)。具体的には議長が病休または事故などで不在の時、あるいは議事が長時間になり議長が休息を取る時に議長席に座り議会を進行させる。その職務内容及び権限は正議長に準ずる。

両議院の副議長は国会法上の役員である(国会法第16条第2号)。副議長の任期は議員としての任期による(国会法第18条)。ただし、参議院では通常選挙後の国会召集時に辞任して改めて選挙が行うことが慣例となっている点は議長と同じである。

副議長も議員内から互選で選ばれる。国会の慣例では衆参両議院議長は第一会派から選ばれるのに対し、副議長は第二会派から選ばれるが、議長同様公平さを期す為に所属政党、あるいは所属会派を離党・離脱して、無所属で活動することが慣例となっている(以前は副議長も第一会派から選ばれていた)。
仮議長

仮議長は議長及び副議長に共に事故があるときに置かれる議長(国会法第22条第1項)。選び方は事務総長事務局長が議長席に座り、仮議長選出選挙を行い、最多得票者が仮議長となる(国会法第22条第2項)。ただし、議院は仮議長の選任を議長に委任することもできる(国会法第22条第3項)。 仮議長も国会法上の役員とされ(国会法第16条第3号)、その職務と議事進行に関わる一切の権限は正議長に準ずる。

最近の選出例としては、2004年(平成16年)6月5日の参議院本会議において、国民年金法改正案の審議にあたり、野党から議長不信任決議案が提出されたが、野党出身の副議長が散会を宣告して(無効な散会ということで取り扱われた)本会議の議事続行を拒絶したため、議長不信任案の審議のため竹山裕自由民主党参議院議員会長を仮議長に選出した事例がある。
地方議会の議長

都道府県議会、市町村議会に議長が存在する。議員の任期にかかわらず1?2年で交代する慣例となっている自治体もある。国会同様議長は採決に参加しないため、定数の少ない市町村議会では「議長を出した側が採決で負けるため議長職を押し付け合う」という事態も時折発生する(近年では2007年大阪府千早赤阪村議会、2018年9月9日の沖縄県与那国町議会)。
臨時議長

臨時議長とは、地方自治体議会において置かれる臨時の議長である。地方自治体議会では、初招集日で正副議長が決まっていない場合、出席者の中で年長議員を臨時議長にして、議長選出選挙を行う。いわば議長選出選挙を行う為だけに置かれる議長であって、仮議長とは異なる。出席者の内で最年長議員が臨時議長に就いても、更に年長の議員が途中出席した場合は、速やかに臨時議長を交代しなければならない。
軍隊における議長

アメリカ統合参謀本部議長 (Chairman of the Joint Chiefs of Staff)

日本の自衛隊統合幕僚長も2006年までは統合幕僚会議議長だった。大日本帝国陸海軍の「軍事参議院」においても議長職がおかれ、軍事参議官中の高級古参の者を以てこれに充てるとされた(ただし通常時に「議長」とよばれることはなかった)。軍事参議院の構成員たる軍事参議官そのものは閑職であったが、参議院(参議官会議とも)議長を務めるほどの古参の大将には長老として権威があった(たとえば東郷平八郎)。

軍需産業における議長

中小の軍需産業企業ではメタルストーム社など代表者の肩書きが議長(Chairman)である企業が多い。これは軍におけるChairmanが組織のトップであることに由来している。
法人における議長

法人においては、理事会などの会合の議事を進行させる役目の人を議長と呼ぶ。議長の権限は法律ないし定款で定められていることがある[9]。定款により、たとえば「理事長が理事会の議長を務める」のように定めることがある。この場合、法人の役職に対する肩書きとしての「議長」は存在しない。

日本の企業においては取締役会の議事進行を行うものが「議長」を務める。多くは代表取締役社長ないしは会長であることが多い[10]が、コーポレートガバナンス改革の一環として、監督と執行の分離を図るために、コニカミノルタのように、社長・会長とは別に「取締役会議長」職を置いたり[11]日立製作所東芝ソニーグループなどのように、社外取締役を「取締役会議長」として取締役会の議事進行権を与えているケースもある[12]
その他の議長

最高会議幹部会議長 - ソビエト連邦の国家元首

国家評議会議長 - キューバ(1976-2019)、旧東ドイツ共産主義時代のブルガリアなどの社会主義国元首

閣僚評議会議長 - イタリアの首相キューバの首相(1976-2019)などの正式な称号。

日本共産党中央委員会議長 - 日本共産党中央委員会の役職で、最高指導部[注 7]である「党三役」のひとつ。1958年に新設され、2006年以降は長らく空席だったが、2024年に志位和夫が就任した。

全国労働組合総連合 - 代表の役職名は「議長」。

座長

議長に類似する役職。会議の代表というニュアンスは薄く、その時々の会合の議事運営について責任を負う暫定的な役職という色合いが濃い場合が多い。特に学会発表の場合の一枠(セッション)について、司会・進行を担う役割があり[13]、英語の(session) chairに相当する。ただし、「会議」という名前でも、1回の会合ではなく一定期間続く合議体において、とりまとめ訳を座長と称することがある。例えば皇室典範に関する有識者会議においては座長、座長代理が置かれた。

座長は、演芸関係の興行を行う団体である「座」の長、統括者の意味もある(基本的に主演者が担う。興行に限らず、テレビドラマやテレビアニメ等の主演者も座長と呼ばれる)。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 1925年3月24日の帝国議会衆議院本会議で、議長権限は絶大であるので不偏不党のために正副議長はその在職中に限り党籍を離脱することを望むという旨の決議が行われ、それ以降はおおむね正副議長は党籍を離脱していた。(衆議院先例集 平成15年版 1-6-6 (65) pp.75-76)
^ 当時の衆議院議長であった中村梅吉(自由民主党所属)が、国会の混乱収拾について「野党をごまかしておいた」と発言したことにより辞任に追い込まれたことが契機となった(詳細は中村の項を参照の事)。
^ 灘尾弘吉は1979年2月1日の衆議院議長就任に際して自民党を離党、同年9月7日の解散で議長の身分を失った後に復党し総選挙に臨み当選、10月30日に議長に再任された翌日に再び離党している。(衆議院先例集 平成15年版 1-6-6 (65) p.77)
^ ただし山崎は帝国議会時代最後の議長である。


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