警備
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特別防衛保障」による無法・狼藉は有名)も多数発生した。これらのことを踏まえて1972年警備業法が制定され「警備業について必要な規制を定め、もって警備業務の実施の適正を図ることを目的とする」(警備業法第一条)ことが定められたのである。警備業法および関連諸規則等は制定後も何度か改正され、現在に至っている。日本初の警備会社が創業してから法律が制定される10年間は警備業は自由営業であったが、同時に業者間の交流といったものはなく、業界団体も皆無であった。法律の制定と同時に「全国警備業協会連絡会」が設立され業界団体が整備された。

1974年、日本警備保障は東証二部上場を果たした。

1976年頃は三菱重工爆破事件をはじめとした連続企業爆破事件が発生し警備業者の設立が活性化した。またビル建設ラッシュとも重なったため工務警備も活況を迎えた。

1977年、セントラル警備保障はアメリカ合衆国の企業と業務提携し多国籍展開が本格化していく。同年4月1日には航空機の強取等の処罰に関する法律(ハイジャック防止法)が施行、空港保安警備業務をはじめとした警備業の需要はさらに高まった。1978年には制服警官女子大生殺人事件をはじめとした警察不祥事で警察の不信感が高まったことも警備業にとっては追い風となった。

1981年、遂に一般住宅用の機械警備が実用化される。日本警備保障の開発した家庭用遠隔通報監視装置「マイアラーム」を販売、警備業が住宅にまで進出することになった。マイアラームは大成功を収め、1983年には社名を「セコム」に改め「セコム社会」が始まった。

1984年行政管理庁の告示した「日本標準産業分類」で警備業が独立した産業として分類された。1962年の起業から22年目のことであった。この年は世田谷ケーブル火災で24時間安全確保に努めた「新帝国警備保障」(現:シンテイ警備)が高く評価された。

1986年は「社団法人日本防犯設備協会」のが設立され検定制度の導入など「セキュリティ産業」が確立されたと言われている。

1989年昭和天皇崩御により、大喪警備と武蔵陵墓地造営の工務警備に尽力した。

同年5月にはセコムがヘリコプター事業に進出、救急医療サービスを展開。全日警はJR東海と提携するなど各警備業者が独自の分野で活動を展開していく。

1990年警視庁が犯罪被害にあったビルの89%が防犯設備を備えていなかったことを明らかにした。警視庁は機械警備の設置などを指導強化し警備業の活用を積極的に推進する方針を定めた[5]

1994年福徳銀行5億円強奪事件が発生。この銀行は経費削減のため警備委託を昨年で打ち切っていたため“素人”の行員が現金の輸送を担当していたことがわかった。

1999年には「常駐警備検定」が開始される。警備員の検定は既存の交通誘導検定などと合わせて4種目となり警備員教育に専門性が求められるようになった。

2000年9月12日未明に東海地方で発生した豪雨により機械警備システムが一時完全に麻痺する事態が起こった。警備業者各社は社員を総動員して点検に当たらせたが災害時における脆弱性を露呈した結果となった。

2001年は警備業にとって激動の一年となった。2000年頃から文部省は学校の防犯対策強化の方針を打ち出した。前年に発生した「てるくはのる事件」を受け防犯用監視カメラの導入などを普及させるよう働きかけを行っている。しかし翌年附属池田小事件が発生し防犯対策強化を打ち出したにもかかわらず事件が発生したことにより学校の安全を見直す動きが早急に活発化した。

同年1月に発生した新大久保駅乗客転落事故以来JR東日本と提携しているセントラル警備保障は駅構内の警備も強化している。またその結果同年2月に蘇我駅で線路に転落した男性を警備員が発見し、非常ベルを押し電車を止め男性を救出することに成功した。

最も重要なのは明石花火大会歩道橋事故である。花火大会などの雑踏警備業務は警備業の中でも重要な任務であり、そのあり方が強く問われた。その後兵庫県警察は「雑踏警備の手引き」を作成した。

アメリカ同時多発テロ事件の発生により国際的な警戒が高まり日本に於いても空港をはじめとしたテロリズム警戒警備が強化され、警備業も空港保安警備だけでなく施設警備業務全般に於いて対策が強化された。

2004年東京ガス中部電力がホームセキュリティ・サービスに参入し警備業者との連携を強化した。またPFI方式による民間刑務所の業務委託の第一弾が決定した。港湾警備に於いてもSOLASを視野に入れた見直しが検討された。

同年3月には六本木ヒルズの自動回転扉に挟まれ男児が死亡する事故が発生し国土交通省は回転扉に警備員を配置するよう要請を出している。

2006年1月に仙台市の病院で新生児が誘拐される事件が発生。病院の警備体制に注目が集まった。同年、セコムが東洋テックの筆頭株主になっている。

2007年5月に山口県美祢市に全国初の「民間」刑務所である美祢社会復帰促進センターが完成した。法務省の刑務官の他、セコムなどで作る社会復帰サポート美祢株式会社が運営を行っている。所内の警備員は直接受刑者に触れたり、取り押さえるなど公権力の行使はできないものの、受刑者の監視や秩序維持、逃亡があった際の追跡や逃げ道をふさぐ等の業務を行う。
日本における警備業務

この節は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。

日本の警備業業態業者数(2011年)[6]
第一号
施設警備業務

常駐型施設警備

保安警備

空港保安警備

駐車場警備

巡回警備

原子力防護

機械警備
6617事業所(73.1%)
第二号
雑踏警備業務

交通誘導

催事警備

道路規制
6469事業所(71.4%)
第三号
運搬警備業務

貴重品運搬警備

核燃料等危険物運搬警備
680事業所(7.5%)
第四号
身辺警護業務

要人警備

緊急通報サービス
561事業所(6.2%)
総計9058事業所
※事業者が複数業態を兼務可能のため、総計は一致しない

一口に「警備業務」と言ってもその業務内容はオフィスビル、学校病院の警備や現金輸送車の護衛、交通誘導、個人のボディーガードなど多岐に渡る。そのため日本警備業法においては、下記のいずれかに該当する業務であって、他人の需要(依頼・要請)に応じて行うものを警備業務と規定し大きく4つに分類されている。
第一号警備業務
事務所住宅、興行場、駐車場遊園地等(総称して「警備業務対象施設」という。)における盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務など従来からある施設警備。警備業法第2条5項により機械警備も含む。
第二号警備業務
人若しくは車両の雑踏する場所、又はこれらの通行に危険のある場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務。警備会社によるこの雑踏整理や、道路工事中の交通誘導の業務も、一般に知られている。初詣などの大規模な場合では、警備会社のほかに警察の警備も入ることが多い。
第三号警備業務
運搬中の現金、貴金属、美術品等に係る盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務。現金輸送車などの業務。「貴重品輸送警備」、「警送」等とも呼ばれる。核燃料物質などの危険物運搬も行われる。当然のことながら、貨物自動車運送事業(多くの場合は特定貨物自動車運送事業)にあたるため、こちらの許認可も必要となる。
第四号警備業務
人の身体に対する危害の発生を、その身辺において警戒し、防止する業務。要人の周りを取り巻く、いわゆるボディーガード。また、携帯型発信器を用いた緊急通報サービスも、個人の身体を守ることから4号業務に該当する。 日本におけるボディーガードの実態は、一般的に知られていなかったが、近年は[関係者の発信]により、認知され始めている。[7]

一般的に、何らかの事件・事故の発生を防止する仕事(業務)と認識されており、警備会社などの研修では“事が起きてから動くのが警察、起きる前に防ぐのが警備業”などと教育指導されている。ただ実際は警察業務に防犯も含まれていることから、やや揶揄的意味が含まれる。そのため、ホームセキュリティでは警備先に泥棒が侵入したことが判明し駆け付けた際には、警備先の外で警察に連絡を取り泥棒に対し手出しをしないといった対応を取ることが中心である。しかし場合によっては現行犯逮捕を行い、警察に犯人の身柄を引き渡すということも稀にある。

第一号業務(盗難などの警備)は、従来は事務所などの警備業務対象施設に警備員が詰める常駐警備が行われていたが、人件費の増大(夜勤や24時間勤務になる事が多いため警備費用が高額になる)などから、1980年代以降センサー監視カメラなどを設置して、異常があれば機械が警備会社に連絡して警備員が急行する機械警備が主流となっている。


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