もう一つの譜代大名の役割は、外様大名を監視することである。外様大名が置かれているときは、同じ国内にいる譜代大名は、参勤交代で同時に江戸表には在府させず、必ず在所(国許)に残る譜代大名を置いた。もっとも、外様大名が「国持大名」で、1ヶ国の全てを知行しているときは、近隣の譜代大名や、親藩がこれに当たった。 江戸幕府では、徳川家康の男系親族である十八松平のうち大名になった者は、親藩ではなく譜代大名とする。十八松平は、家康の祖父である松平清康の時代までに分家したルーツを持つ十八家である。これらは関東入部以降「御一門」と呼ばれた。 家康の異父弟の家系の久松松平家も、親藩ではなく譜代大名(一門の格)である。例えば、松平定信は田安徳川家に生まれたが、陸奥国白河藩の久松松平家に養子に入ったため、譜代大名として老中となり、寛政の改革にあたることになった。 久松松平家の諸系統のうちで最も有力であった、伊予国松山藩主と伊勢国桑名藩主(一時高田藩→白河藩)の家系は、譜代大名ながら田安宗武の子の定国・定信を養子として藩主を継がせたので、親藩待遇となった。 その他の久松松平家の諸藩 はあくまで譜代大名である。 松平氏以外の順番は『柳営秘鑑』に準じた。ただし準譜代大名(江戸時代に区別は無かったため譜代扱い)は上記当該項目を参照。
十八松平と久松松平
美濃国大垣藩→信濃国小諸藩→下野国那須藩→伊勢国長島藩、改易
伊予国今治藩
下総国多古藩
譜代大名の一覧
安祥譜代(7家) - 酒井氏、大久保氏、本多氏、阿部氏、石川氏、青山氏、植村氏、またあるいは、酒井、大久保、本多、榊原、平岩、植村ともいう。
6家しか掲載されていない。上記に挙げた阿部、石川、青山が含まれていない。
岡崎譜代(16家) - 井伊氏、榊原氏、鳥居氏、戸田氏、永井氏、水野氏、内藤氏、安藤氏、久世氏、三河井上氏、安倍氏、秋元氏、渡辺氏(伯太藩)、伊丹氏、屋代氏
柳営秘鑑では15家しか記載されていないが、安祥譜代7家の別例の平岩氏を含んで、16家の意味か?
駿河譜代 - 板倉氏、太田氏(太田資宗流)、西尾氏、土屋氏、森川氏
貞享元年12月より譜代 - 水谷氏(準譜代の秋田氏・有馬氏(有馬晴信系)・相馬氏と同時)
徳川綱吉の時代以後の譜代 - 本庄氏
享保以後の譜代 - 加納氏、有馬氏(赤松氏分家)
寛政以後の譜代 - 脇坂氏(準譜代から抜擢)
『柳営秘鑑』には記載なし - 田沼氏、間部氏、三河松井氏、柳沢氏、大岡氏
松平一門 - 大給松平家、形原松平家、桜井松平家、滝脇松平家、竹谷松平家、長沢松平家(大河内松平家)、能見松平家、久松松平家(伊予松山藩・伊勢桑名藩以外)、深溝松平家、藤井松平家
主な譜代大名の領地
酒井家(姫路藩・庄内藩・川越藩・松代藩・前橋藩・小浜藩・高崎藩・臼井藩・高田藩)
石川家(伊勢亀山藩・下館藩)
大久保家(小田原藩)
本多家(姫路藩・桑名藩・村上藩・掛川藩・横須賀藩・飯山藩・岡崎藩・田中藩)
阿部家(福山藩・小田原藩・宮津藩・鳩ヶ谷藩・忍藩・白河藩)
青山家(篠山藩・岩槻藩・江戸崎藩・丹波亀山藩・小諸藩・浜松藩・郡上藩)
榊原家(姫路藩・村上藩・高田藩|白河藩・館林藩)
戸田家(大垣藩・宇都宮藩)
水野家(刈谷藩・郡山藩・福山藩・結城藩・沼津藩・松本藩・岡崎藩・唐津藩・浜松藩・安中藩・山形藩・紀伊新宮藩)
安藤家(磐城平藩・紀伊田辺藩)
板倉家(備中松山藩・庭瀬藩・福島藩)
西尾家(原市藩・田中藩・横須賀藩・土浦藩・小諸藩・白井藩)
稲葉家(淀藩・臼杵藩・福知山藩・館山藩)
堀田家(佐倉藩・佐野藩)
牧野家(長岡藩・小諸藩・笠間藩)
奥平家(中津藩)