誕生日の贈り物
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評価とエピソード

『誕生日の贈り物』にはストーリーは存在せず、出演するダンサーたちのクラシック・バレエの高度な技巧を存分に発揮させ、それぞれの魅力を讃えるために振り付けられた[5][11]。アシュトンはマリウス・プティパによって高みに達したクラシック・バレエとその様式へのトリビュートとして、クラシック・バレエ特有の技巧に加えてエポールマン[注釈 2]でのアクセントや素早いの連続など、アシュトン自身の持ち味を加えている[15][16]。華やかで祝祭感のあるこの作品はすでに述べたように好評で迎えられ、アメリカン・バレエ・シアターでは、1989年に翌年に迎える同団創立50周年を記念して上演している[9][5]

ロイヤル・バレエ団元プリンシパルのフェデリコ・ボネッリ(英語版)は、「(アシュトンの振付は)ステップがグラズノフの音楽にぴったりと一致していて(中略)ソロを女性が1つずつ踊りましたけれど、振付が音楽とぴったりあっていることがわかります」と評価した[16]。ボネッリはアシュトンの振付について「やっぱり個性的といえばその音楽性です。音楽なしで、ステップを見て、その後音楽だけ聞くと、さっきのステップはこれに合っていた、とわかると思います」と称賛している[16]

吉田都は2019年に行われた自身の引退公演「Last Dance」で、初演時にマーゴ・フォンテインが踊ったパートに初挑戦して高い評価を得た[15][17]。バレエ・ダンス評論家の関口紘一は「自らの引退公演に誕生日の贈り物の初めてのパートを踊る、ということは、自身を育んでくれた敬愛する英国バレエへのウィットの効いた、感謝の表明あるいは愛の告白とも取れるなかなか洒落たプログラミングである」と論じている[15]
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 日本語では『愛の術策』などとも表記される[10]
^ : epaulement、フランス語で「肩」を意味する[12][13][14]。クラシック・バレエにおいては腰から上体を軽くひねり、ポーズに立体感を持たせる動きを指す[12][13][14]

出典^ a b c d e f g h 『オックスフォード バレエダンス事典』、p.288.
^ a b c d e f g 『バレエ音楽百科』、pp.195-196.
^ a b c d e f g h i j k 牧阿佐美バレヱ団『ダンス・ヴァン・ドゥ』公演プログラム、p.3.
^ “ ⇒Birthday Offering — Productions — Royal Opera House”. roh.org.uk. 2014年7月26日閲覧。


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