ベータアミロイド (Aβ) は脳脊髄液 (CerebroSpinal Fluid、CSF)、血漿中にAβ40とAβ42として存在する。高齢者ではCSF Aβ42が低下するがAD患者ではAβ40が高度に低下しAβ40/Aβ42比は増加する。 タウ蛋白質はADで上昇するとされている。AD以外では血管性認知症、パーキンソン病、進行性核上性麻痺、HIV感染症では上昇は認められない。しかし前頭側頭型認知症、レビー小体型認知症、皮質基底核変性症、クロイツフェルトヤコブ病では上昇例が認められている。よりADに特異度が高い検査としてリン酸化タウが期待されている。 血漿AβもAD発症の危険因子や病態進行のマーカーとなりえる。 アルツハイマー型認知症の患者では脳波は以下のように推移することが知られている。コリネステラーぜ阻害薬によって徐波が減少することが知られている。 他疾患との鑑別、認知症タイプ判別のため、認知症の疑いのある場合は画像撮影を実施しなければならない[39]。 脳腫瘍、慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症などの治療可能な疾患の検出が目的となる。脳萎縮の評価はMRIに比べて劣る。内側側頭部の萎縮の評価は間接所見として側脳室下角の拡大の程度で判定するが下角の拡大が常に海馬や海馬傍回の萎縮と合致するとは限らない。 statistical parametric mapping (SPM) やvoxel-based morphometry (VBM) が盛んである。認知症の鑑別としてDLBとADを比較すると、ADでは海馬や側頭頭頂葉皮質の萎縮が強い。無名質はADの方が、中脳被蓋はDLBの方が萎縮が強いことが示されている。ADでは高齢発症では内側側頭部萎縮が目立つが初老期発症では側頭頭頂葉皮質の萎縮が目立つ。 認知症疾患の鑑別として単一光子放射断層撮影 (SPECT) は非常に重要視されている。AD, VaD, FTDかの診断が疑わしい場合はSPECTを実施すべきである[39]。シンチグラフィーも参照。血流は神経細胞数よりもシナプス活動を反映していると考えられており、ADではパペッツの回路として嗅内皮質 アミロイド斑を検出できるPETトレーサーが開発されておりアミロイドイメージングとして注目されている。11C-PIBが最も研究されておりADでは前頭前野や楔前部などの大脳皮質に強い集積が認められるのに対して、正常例では大脳皮質の集積は乏しいとされている。 治療可能と判明しているタイプ以外の認知症について、治療法は存在しない[1]。AChE薬は初期状態の認知症に多く処方されているが、しかしその利益は大きくない[42]。 「治療可能な認知症 (treatable dementia)」の場合は原因となる疾患の治療を速やかに行う。慢性硬膜下血腫または正常圧水頭症が原因の場合は手術で治す事ができる。 ハーバード健康出版局によると、「認知症様症状は決して元に戻らない」(Dementia-like symptoms are never reversible)という認識は不正確であり、バドソン医師(Dr. Budson)は「多くの場合、体調を治療することが認知症様症状を逆戻りさせるかもしれない」(In many cases, treating the condition may reverse the dementia-like symptoms)と述べている[43]。 介護者には、認知症の介護はもどかしく非常にストレスになることを心理教育し、ネグレクトにならないよう陰性感情を認識させる[1]。介護者についてもうつ病を罹患している可能性を診察する[1]。 介護保険、障害年金、デイケア通所など社会資源の利用も有用である[1]。専門医(老年内科、精神科、神経内科など)、介護職(介護福祉士など)の協力・連携の元にチーム医療を行う事が望ましい[1]。
CSF タウ
血漿 Aβ
生理検査
脳波
正常波形
α波の貧困化、θ波混在
低-中振幅θ波主体の徐波
中-高振幅θ、δ波にδバーストを伴う大徐波
大徐波の低振幅、不規則化
平坦化
画像検査
頭部CT
頭部MRI
SPECT
PET
管理
援助の方針
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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