ガザル(en:ghazel
; アラビア語: ghazal, ペルシア語: ghazel, トルコ語: アゼルバイジャン語: gazel, ウルドゥー語: gazal, ベンガル語: gozol〔シレット方言を含む〕)はアラビア、ペルシア、トルコ、アゼルバイジャン、ウルドゥー語、ベンガル語の詩で共通して用いられている形式である。古典的な形式では、ガザルは2行目の終わりに共通のリフレインを持つ押韻した5から15の二行連で構成される。このリフレインは1音節もしくは複数の音節から成り、その直前で押韻する。各行は同一のメーターを持つ。二行連はそれぞれが完結した思考を持ち独立しており、ガザル全体が「叶わぬ愛」や神性などの主題を試案する形になっていることが多い。最後の二行連に作者の署名が書かれるのが普通である。多くの言語で長い歴史を持つ他の詩型と同様に、ガザルにもさまざまな変種が形成され、その中にはウルドゥー語のほとんど音楽にも等しい詩語を持つ形式も含まれる。ガザルは伝統的にスーフィズムとの親和性があり、数多くのスーフィズム宗教の作品がガザル形式で書かれた。比較的規則正しいメーターとリフレインの使用は呪術的な効果を生み出し、これがスーフィズムの秘教的な主題を良く補完している。この形式の達人としては、13世紀ペルシアのコンヤ(現在のトルコ)の詩人であったジャラール・ウッディーン・ルーミーがいる。
アクロスティックΙΧΘΥΣ と彫られた石詳細は「折句」を参照
アクロスティック(後期ギリシア語 akrostichon < akros「先頭」 + stichos「詩行」)、「折句」はアルファベットなどで書かれた詩やその他の書き物で、各行/段落/その他の反復構造の最初の文字/音節/単語を合わせると別のメッセージとなるものである。この窮屈な形式は、想起を簡単にするための記憶術として使われたものであるのかもしれない。有名なアクロスティックとして、ギリシア語での神を称える文句 Ιησο?? Χριστ??, Θεο? Υι??, Σωτ?ρ「イエス・キリスト、神の子、救世主」がある。最初の文字を綴り合わせると ΙΧΘΥΣ となり、これはギリシア語で「魚」を意味した。よって、初期のキリスト教徒は頻繁に魚を用い、今日でもイエス・キリストのシンボルとなっている[62]。
日本の折句としては「かきつばた」を折り込んだ伊勢物語の和歌「からころも きつつなれにし つましあれば はるばるきぬる たびをしぞおもふ」が高名である。今日では「縦読み」としても親しまれている。
カンツォーネ詳細は「カンツォーネ」を参照
イタリア語で文字通り「歌」を意味するカンツォーネ(複数形カンツォーニ)はイタリアもしくはプロヴァンスの歌・バラッドである。マドリガルに類似した歌曲のタイプを指して使われることもある。シンプルでメロディアスな曲も、特にイタリア人以外によるものの場合カンツォーネと呼ばれる場合がある。モーツァルト『フィガロの結婚』のアリア「恋とはどんなものかしら」が典型的な例の1つである。
カンツォーネは(曲に合わせ)5-7スタンザで構成され、最初のスタンザの押韻構成と行数(通常7-20行)を引き継ぐ。典型的には各行は11音節である。
四行連詩詳細は「四行連」を参照
四行で構成されるスタンザ形式の詩で「aabb」「abab」「abba」「abcb」などの押韻構成でなる。ヨーロッパの詩の中で最も一般的なスタンザ形式である。
リメリック詳細は「リメリック」を参照
「a-a-b-b-a」の押韻構成の厳格な形式をもつ五行詩で滑稽五行詩、五行戯詩とも呼ばれる。リメリックという名前はアイルランドのリムリック県(リメリック県とも)から由来している。イギリスではエドワード・リアによって広まった。
シンケイン詳細は「シンケイン」を参照
cinquain(シンケイン < フランス語: cinq 「5」)はアメリカ合衆国の詩人アデレイド・クラプシーが考案した詩型を特に指す。クラプシーの歿した翌年の1915年に刊行された全詩集に収められたのがその最初の例である。シンケインは日本の俳句と短歌にその発想を得ていた。
五行連詩詳細は「五行連」、「五行詩」、および「五行歌」を参照
五行連詩 (quintain, quintil) は5行から成るパターンを用いた詩全般を指す用語であるが、その中でも特有の規則とガイドラインによって定義される特別な詩型が存在する。他に、現代日本では「5行で書く」ことのみを規制とした五行詩や五行歌という詩型もある。
その他の形式「Category:詩形」も参照ジョージ・ハーバート『アナグラム』(1633)。