パントゥーン
(en:pantoum) はヴィラネルに類似した比較的稀な詩型である。四行連の連続により構成されており、各スタンザの2行目と4行目が次のスタンザの1行目と3行目として繰り返される。ロンドーは元々はフランスの詩型であり、2つの脚韻を用いた「5-4-6」の3連15行で書かれ、1行目の冒頭部がリフレインとして第2・第3連の最後の行に用いられる。
近体詩杜甫詳細は「近体詩」を参照
近体詩は古典中国語の四声(平声、上声、去声、入声)を用いた各二行連での声調のパターンに基づく中国の詩型である。近体詩の基本形は二行連4つの計8行(8句)から成り、第2・第3の二行連の各行は対句となっている律詩である。対句では、平行関係にある行は対照的な内容を持つが単語(漢字)の間の文法関係は同一でなければならない。近体詩は豊かな詩語を持ち、引喩に満ちていることが多く、歴史や政治を含む幅広い主題に亘っていた。8世紀、唐王朝の杜甫や李白などがこの詩型の達人であった。律詩の他に、4行から成る絶句、12行以上から成る排律などがあり、1行の文字数が5文字の「五言」と7文字の「七言」があるなどのバリエーションがある。
近体詩以前から存在した比較的自由な漢詩の詩体は古体詩と呼ばれ、楽府などの形式がある。
短歌柿本人麻呂詳細は「短歌」を参照
短歌は、「5-7-5 7-7」のパターンに構成された5つの部分から成る31の「音字」(モーラと同一の音韻単位)で作られる日本の押韻しない詩(和歌)の形式である。前半の「5-7-5」のフレーズ(上の句)と後半の「7-7」のフレーズ(下の句)の間(もしくは他の位置)で調子や題材に転換があるのが普通である(句切れ)。短歌は奈良時代には柿本人麻呂などの歌人によって詠まれており、この時期に日本は中国から借用した形式による詩が大半であった時代から抜け出し始めた。短歌は当初は日本の定型詩(倭歌)のうち短いものであり、公の主題よりも個人的な主題を探求するのに大いに用いられ、従ってより形式張らない詩語を有した。13世紀までには短歌は日本の最有力な詩型となり、今日でも広く詠まれている。日本語以外の言語で短歌を書く詩人は31音の規則は無視する場合が多い。
連歌と呼ばれる多人数による短歌の連作も行われた。また短歌形式で風刺・皮肉・滑稽を盛り込んだものを狂歌と呼ぶ。
俳句松尾芭蕉『おくのほそ道』のプレート詳細は「俳句」を参照
俳句は17世紀に俳諧における連句の最初の句である「発句」から発展して形成された、日本の大衆的な押韻しない詩型である。俳句は「5-7-5」のパターンに構成された3つの部分から成る17音字で作られ、縦1行に書かれるのが普通である。伝統的に俳句は、通常は3つの部分のいずれかの末尾に切れ字と呼ばれる流れを切る語が置かれ、また季語と呼ばれる季節の言葉を1つ含む。俳句の最も有名な唱道者は松尾芭蕉 (1644-1694) であった。芭蕉の句とその英訳例(6-5-5の16音節となっている)[57]:富士の風や扇にのせて江戸土産the wind of Mt. FujiI've brought on my fan!a gift from Edo
五七五形式で、季語や切れ字の規則もなくより庶民的な内容を扱うものを川柳と呼ぶ。 ルバーイイ
ルバーイイ
ペルシア語原文[58]日本語訳[59]
?? ??? ?? ????? ?? ?? ??? ????ジャムシードが酒盃を手にした宮居は
??? ??? ??? ? ??? ???? ????狐の巣、鹿のすみかとなりはてた。
????? ?? ??? ???????? ??? ???命のかぎり野驢を射たバハラームも、
???? ?? ????? ??? ????? ????野驢に踏みしだかれる身とはてた。
時調詳細は「時調」を参照
時調は朝鮮の詩人が用いる短い音楽詩である。およそ14-16音節から成る3行で書かれ、合計44-46音節となる。各行の中間で休止が置かれるので、英語などでは3行ではなく6行で印刷されることもある。尹善道 (1587 - 1671) の作品から:
中期朝鮮語[60]現代朝鮮語日本語訳
??? ??? ??? ??? ????? ?? ????? ??? ????僕に友達が何人いるかって? 水に石に、竹に松。
??? ?????? ??? ??????? ???? ? ?? ????東の丘に昇る月も楽しい仲間。
??? ??????? ????? ????????, ? ?? ?? ? ??? ????この5人の仲間の他に、どんな楽しみが要るというんだい?
頌歌ホラティウス詳細は「頌歌」を参照
頌歌(頌詩、オード)はピンダロス[61]などの古代ギリシア詩人やホラティウスなどのラテン詩人によって作り出された。ギリシア・ローマの影響を受けた数多くの文化で頌歌の形式が見出される[注釈 23]。頌歌は通常ストロペー、アンティストロペー、エポードの3つの部分から成る。アンティストロペーは類似した韻律構造と、伝統にもよるが、類似した押韻構造を持つ。対比的に、エポードは異なった配置と構造で書かれる。頌歌はフォーマルな詩語を持ち、概して厳粛な主題を取り扱う。ストロペーとアンティストロペーは主題を異なった(しばしば相反する)視点から見ており、エポードでは両視点からより高い水準へと移行し、あるいはその根底にある問題を解決する。頌歌はしばしば2組の合唱隊(または2人)で朗読もしくは詠唱されることを意図しており、一方がストロペーを、もう一方がアンティストロペーを語り、両者がエポードを語る。時代と共に、頌歌の形式と構造には相当なバリエーションが発達したが、概してピンダロスとホラティウスの頌歌の影響を残している。西洋以外で頌歌に類似したものとしてペルシアのカスィーダ (en:qasida) がある。 ガザル(en:ghazel
ガザル
多くの言語で長い歴史を持つ他の詩型と同様に、ガザルにもさまざまな変種が形成され、その中にはウルドゥー語のほとんど音楽にも等しい詩語を持つ形式も含まれる。ガザルは伝統的にスーフィズムとの親和性があり、数多くのスーフィズム宗教の作品がガザル形式で書かれた。比較的規則正しいメーターとリフレインの使用は呪術的な効果を生み出し、これがスーフィズムの秘教的な主題を良く補完している。この形式の達人としては、13世紀ペルシアのコンヤ(現在のトルコ)の詩人であったジャラール・ウッディーン・ルーミーがいる。
アクロスティックΙΧΘΥΣ と彫られた石詳細は「折句」を参照
アクロスティック(後期ギリシア語 akrostichon < akros「先頭」 + stichos「詩行」)、「折句」はアルファベットなどで書かれた詩やその他の書き物で、各行/段落/その他の反復構造の最初の文字/音節/単語を合わせると別のメッセージとなるものである。この窮屈な形式は、想起を簡単にするための記憶術として使われたものであるのかもしれない。