評論家
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評論家の活動は対象とする分野の発展や研究に寄与することもあるが、一方でその評論の内容次第では、対象分野の発展を阻害するような事態も起こし得る。

たとえば、評論家が一定の実力(すなわち社会的影響力の強さ)を持つようになると、それを悪用して本来高水準である作品を低く評価したり、作者と評論家の交友関係や相性、あるいはジャンルの好き嫌い、すなわち評論家のごく個人的な嗜好や価値観によって、特定の作家や作品について不当に低い評価や過剰に高い評価を下すという事態も発生する様になる。評論である以上、自身の私見・感想や意見をその文言に盛り込むのは当然ではあり、また評論家の権利と言えるが、客観性が著しく欠如した不当な評価を繰り返した場合、その評価を下した評論家自身が「正しい判断の出来ない評論家」としてその権威と説得力を喪失してしまう事もある。例えば、映画評論家のおすぎは、作品や俳優に対して極端に好き嫌いがはっきりしている人物であり、それが評論内容にも顕著に現れるため、その批評姿勢については他の同業評論家等からも批判を受けている。

業界への影響力獲得した場合

また、その世界の人気者として知られる特定の人物や団体を激しく攻撃・非難することで評論の世界で名を売ったり、業界内部で実権を持つ特定の人物や団体を持ち上げて交友関係を持ったりといった手法で、評論家がその業界に影響力を及ぼそうとするケースが見られる。具体例としては、落語評論家の安藤鶴夫がいる。安藤は新作落語を手がける落語家を評論という形で徹底的に攻撃・排斥し、一方で古典落語界の権力者である人物はやはり評論で持ち上げ支援し、これにより昭和中期の落語界に大きな影響力を及ぼした人物であるが、自身が嫌う落語家に対しては客席で露骨に「鑑賞拒否」の態度を取るなどという嫌がらせにも近い行為を見せた。5代目春風亭柳昇[注釈 1]によれば、安藤は人気が上がって世間から持て囃される落語家を毛嫌いしており、落語評論の世界で名を上げ、落語界への影響力を持つことを目的に、特定の落語家を標的に選んで計画的に喧嘩を仕掛けているという旨の噂が寄席楽屋では立てられていたという[5]。同様の例として、音楽評論家宇野功芳がいるが、宇野の場合は当時の「楽壇の帝王」ヘルベルト・フォン・カラヤンなどを激しく攻撃する一方で、日頃批判している演奏家の演奏や録音も評論のためにきちんと聞く姿勢を持っており、出来が良いと感じれば絶賛するという一面もあったため、安藤の様に大きく問題視されなかった。

評論家の言動には、名誉毀損営業妨害に該当する内容が多分に含まれる場合がある。また、「評論」を通じて欠点や弱点の暴露や痛烈な批判を繰り返し開陳することで、批判的な世論を形成したり、対戦競技の場合はライバル選手に有利な情報をもたらすことで、極論すれば評論家が評論の対象とした人物の職業生命を直接に脅かす事が可能になる場合もある。そのため、時に評論家の言動はその対象とされる側にとっては単なる目障りを超えて死活問題にもなる事がある。それゆえ、評論内容を巡って法律問題・訴訟告訴などにも発展するケースはまま見られ、評論家や評論を掲載した出版社損害賠償が命じられる場合もある。上述した安藤鶴夫に至っては、評論で痛罵された事に激怒した柳家権太楼に本気で殺し合いの決闘を申し込まれてしまい、第三者を介して大慌てで詫びを入れ筆鋒を収めざるを得ない状況に追い込まれたことがある。

ワイドショー

「偏向的な放送内容と批判を受けながらも、馬鹿な視聴者受けが良いとしてテレビ局が放送を続けている」[6]といった指摘もある。ワイドショーなどにおいて、十分な根拠のない情報を前提として話を進める場合があり、また昨今ではインターネットでの情報収集が容易なため、評論家が自身での情報収集を怠ることも僅かにある。

カンニング竹山は、短くまとめて話せない評論家やコメンテーターは消えることを「ワイドショーの掟」と述べている[7]
評論家とメディア

評論家にとって、マスメディアは必要不可欠の存在である。文字媒体(新聞雑誌書籍インターネットなど)やラジオテレビなどのメディア抜きでは、職業としての評論家は成り立たない。

また、メディアの側も評論家を必要としている。メディアは放送番組記事広告としての形式や内容を成立させるために、評論家の知識や信頼感を利用する。生放送などで台本を用意できない場合、特定の分野について多くの専門知識や最新情報を有し、その知識・経験を踏まえて、解説・意見をアドリブで話す事が出来る評論家は重宝される。評論家の解説・意見の責任は基本的には評論家に帰するものである。台本を用意しないことで、メディアは大きな責任を回避する事が出来る[注釈 2][8]。特に、テレビの場合、評論家は画面の中に居るだけで、一定の信頼感を醸成することが出来るため、放送局番組制作会社にとっては便利な存在である。そのため、昨今ではメディアによって、評論家が粗製濫造されている。
評論家の種類「Category:評論家」、「評論家一覧」、「映画評論家一覧」、および「教育関係人物一覧」も参照body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper{margin-top:0.3em}body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper>ul,body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper>ol{margin-top:0}body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper--small-font{font-size:90%}

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