診断
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このような自動化された過程は、通常、米国食品医薬品局(FDA)によって「機器(device)」と見なされ、規制当局の承認が必要となる。一方、臨床医を「支援(support)」しても代替はしない臨床判断支援システムは、(1)基礎となるデータを明らかにし、(2)基礎となる論理を明らかにし、(3)臨床医に判断の形成と決定を任せる、というFDAの基準を満たすものは「拡張知能(Augmented Intelligence)」と見なされる。
診断手順のその他の方法過体重や肥満の評価と治療のための医学的アルゴリズムの例。

診断手順を行う際に使用できるその他の方法を次にあげる。

医学的アルゴリズム(英語版)の使用

考えられる全ての質問を行い、全データを収集する「網羅的探索法」[5]:198

誤診詳細は「誤診」を参照

診断は難しい行為なので、ある程度の割合で誤診が生じる。

全米アカデミーズによる2015年の報告書によると、ほとんどの人々は生涯で少なくとも1回の誤診断を経験するとされている[9]

誤診断の原因と要因は次のとおりである[10]

疾患の徴候が十分に現れない

特定の疾患が考慮から除外される

診断のある側面が過度に重視されている

他の多くの疾患を示唆した病状を伴う希な疾患である

その症状は希にしか現れない



弊害

診断の問題は、医療過誤の支払いの主な原因であり、25年間のデータと350,000件の請求を対象とした調査では、支払い総額の35%を占めている[11]
過剰診断詳細は「過剰診断」を参照

過剰診断とは、患者の一生の間に症状や死亡を引き起こすことのない「疾患」を診断することである[12]。これは、人々を不必要に患者に変え、経済的浪費(過剰診療)や害を及ぼす可能性のある治療につながる問題である[13]。過剰診断は、ある疾患が正しく診断されたにもかかわらず、その診断が無関係であった場合に起こる。正しい診断でも、その疾患に対する治療法がない、必要がない、あるいは望まれていないため、無関係になるかもしれない[14]
ラグタイム

医学診断を行う場合、ある疾患や病態の診断に至るまでに要する時間の遅れをラグタイム(時間差、lag time)という。ラグタイムの種類は主に次の通りである。

発症から医療受診までのラグタイム: 発症から医療提供者
(英語版)を訪問するまでの時間[15]

初診から診断までのラグタイム: 最初の受診から診断までの時間[15]

X線写真の読影の遅れによるラグタイムは、医療提供における主要な課題されている。米国保健福祉省の報告で伝えられたところによると、患者が退院する前に緊急救命室の医師がX線の査読を行えることはめったにないとのことである[16]

長いラグタイムは、しばしば「診断に至る旅(diagnostic odyssey)」と呼ばれる。
歴史詳細は「医学診断の歴史(英語版)」を参照

医学的診断の最初の記録された例は、古代エジプトにおけるイムホテプ(紀元前2630-2611)の著書に見られる(エドウィン・スミス・パピルス[17]。また、バビロニアの医学書、エサギル・キン・アプリ(英語版)(fl.紀元前1069-1046年)が著した『診断書(Diagnostic Handbook)』では、病気や疾患の診断に経験主義論理主義合理主義を用いることが導入された[18]中国伝統医学では、『黄帝内経(Yellow Emperor's Inner Canon, or Huangdi Neijing)』に記載されているように、検査、聴診-嗅覚、問診、触診 (en:英語版) という4つの診断方法を規定した[19]。古代ギリシアの医者であるヒポクラテスは、診断を下すために、患者の尿を味見し、汗の匂いを嗅いだことが知られている[20]
用語

医学的診断、あるいは診断を行う実際の過程は、認知的な過程である。臨床医は、いくつかの情報源を使用し、パズルの断片を組み合わせて、診断所見を形成する。初診時の診断所見は、特定の疾患や病態ではなく、疾患の分類を表す広義語にすることもある。最初の診断所見の後、臨床医は追跡検査や処置を行い、最初の診断を支持または否定するためにより多くのデータを得、より具体的な水準に診断を絞り込もうとする。このように、診断手順は、臨床医が診断の可能性を絞るために使用する特殊な道具である。

diagnosis(診断)の複数形は diagnoses である。動詞は diagnose で、診断する人を diagnostician(診断医)と呼ぶ。
語源

diagnosis [da?.???no?s?s] という語は、ラテン語の diagn?sis を介し、古代ギリシャ語の δι?γνωσι? (diagn?sis) から、διαγιγν?σκειν (diagign?skein) に由来し、「見分ける、区別する」という意味である[21]
社会と文化
社会的背景

診断にはさまざまな形態がある[22]。それは、疾患、病変、機能障害、または能力低下に名前を付けることかもしれない。それは、管理上の命名または予後の命名の演習かもしれない。それは、連続した異常の度合いを示すこともあれば、分類された異常の種類を示す場合もある。それは、患者や医師に対する権力、倫理、金銭的インセンティブなど、医療以外の要因に影響される。それは、簡潔な要約でもよく、物語や比喩の形をとった広範な定式化であってもよい。それは、支払い、処方、通知、情報、助言の引き金となるコンピュータコードなどの通信手段かもしれない。それは、病原体的または健康生成論的であるかもしれない。一般的に、それは不確実で暫定的なものである。

医療提供者は、診断所見に基づき、治療や追跡検査を含む管理計画を提案することができる。この時点から、医療提供者は患者の病態を治療するだけでなく、病因、進行、予後、その他の結果、可能な治療法について患者を教育し、健康を維持するための助言を提供することができる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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