記録型DVD
[Wikipedia|▼Menu]
この統合により、規格の乱立は避けられると一旦は思われたが、その後各家電メーカーや映画会社から多数の注文をつけられ(ランダムアクセス、2時間収録、ドルビーデジタル収録など)、後述の「DVD-」「DVD+」「DVD-RAM」など、多数の派生規格が生まれた。また、2000年4月に入り、PlayStation 2マトリックスのDVD版の発売の影響でワーナー・ブラザーズなどのDVD製造が本格化するまではDVDの普及率はマイナーな方に入る状態であった。その前までは、DVDを二層にせず、レーザーディスクのように両面1層にしたり、ディスクケースがVHSを参考にしたものであったり(ワーナーブラザーズ製)、CDのケースを流用したものだったり(ユニバーサルなど)と、規格の理解に混乱が発生していた。2000年を過ぎることで、CDでもあまり行われていなかったディスクのインクジェット印刷が本格化し、ディスクケースのサイズがPS2用のディスクケースのサイズで統一され始めるようになった。DVD-ROM、DVD-VIDEOのロゴは2001年を境によりわかりやすいものに変更されている。
名称

DVDは上記の経緯により当初はデジタルビデオ映像を記録するためのメディアとして策定され、Digital Video Discの略だと解釈されたが、その後コンピュータ補助記憶メディアとしても用いられることから[3]DVDフォーラムはDVDをvideo の代わりに「多用途」の意味がある versatile(ヴァーサタイル)を用いた「Digital Versatile Disc(デジタルヴァーサタイルディスク)」の略称とした[7]

またデジタルビデオ映像が記録されたDVDのことを世間的に総称で「DVDビデオ」と表現することが多いがそれとは別にDVDへのデジタルビデオ映像データの記録方法の1つに「DVD-Video」があり、両者は同義ではなく全く別のものである。「DVD-Video」は、DVDにデジタルビデオ映像のデータをDVD-Videoフォーマット(「DVD-VF」) で記録したものに限定される。

一方、「DVDビデオ」という総称はDVDにデジタルビデオ映像のデータが記録されたもの全て(DVD-Video、DVD-VRAVCHDAVCRECなどビデオ専用アプリケーションフォーマットで記録したもの、ビデオ専用フォーマットを用いずにMPEGファイルやAVIファイルを直接記録したものなど)が対象になる。ビデオカメラの撮影記録メディアとして記録されたものも一般的にここに包含される。[要出典]
DVD-Videoメディア・プレイヤーの商用化

プレーヤーやドライブは、CD-DACD-ROMの再生にも兼用できるものが一般的であり、DVD-Videoメディア及びプレイヤーの初の商用化は日本では1996年11月、米国では1997年3月、欧州では1998年3月、豪州では1999年2月になされた。世界で初めての市販DVD-Videoソフトは『Ya&Ya?世界初のDVD電脳マガジン』であり、1996年11月1日にビクターエンタテインメントから発売された。なお、初の2.1chサラウンド音響は『ツイスター』、5.1chサラウンドは『インデペンデンス・デイ』が初である。

その後日本では2000年3月4日にソニーコンピュータエンタテインメントから発売されたゲーム機、PlayStation 2にもDVD視聴機能が搭載されたことで普及が始まり、2004年にはDVDプレーヤーの国内出荷台数がVTRを上回った。

パソコン分野でも光学メディアの中心はCDからDVDに移行した。一方オーディオ分野では、一部愛好者向けに留まり、普及しなかった(DVD-Audio参照)。

メディア製造コストは、VHSの1巻120円程度に対し、DVDは1枚20円程度と安い。取扱いも容易なので、パブリッシャー側からすれば収益が上げやすい。このため、映像を取り扱う産業では、セルDVDを(副ではなく)主な収益源とする企業が増え、業界の状況を一変させた。

こうしてデジタルビデオといえばDVDと認知されるほど広く定着した。
ライセンス

DVDのフォーマットおよびロゴのライセンスは、DVD Format/Logo License Corporation[8] (DVD FLLC)が管理している。
仕様

この節は検証可能参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方
出典検索?: "DVD" ? ニュース ・ 書籍 ・ スカラー ・ CiNii ・ J-STAGE ・ NDL ・ dlib.jp ・ ジャパンサーチ ・ TWL(2021年9月)

ディスクには物理構造による違いとデータ書き込み方の形式(論理フォーマット)による違い、さらにはビデオ用途でのアプリケーションフォーマットによる違いもあり、それぞれの組み合わせでさらに多くの種類が存在する。
サイズ
0.6 mm厚、直径12 cmおよび8 cmのポリカーボネート製円板を2枚張り合わせたもの。
読み取り方法
読み取りには、650 nm赤色レーザー光を使用する。
音声音声信号は、DVD-ROMの場合「2chドルビーデジタル」、「5.1chドルビーデジタル」、「5.1ch DTS」の中から2~3つ(多言語を考慮する場合はそれ以上)を同時記録する場合が多い。そのため、すべてのDVDプレイヤーは最低でも必ず2chドルビーデジタルのデコード処理が可能な仕様となっている。2ch LPCMは録画用のディスクで採用される場合がある。
容量

種類12 cm8 cm
片面一層4.7
GB (4.37 GiB)1.4 GB (1.30 GiB)
片面二層8.54 GB (7.95 GiB)2.6 GB (2.42 GiB)
両面一層9.4 GB (8.74 GiB)2.8 B (2.61 GiB)
両面二層17.08 GB (15.90 GiB)5.2 GB (4.84 GiB)


1セクタあたりの容量は2048バイトでこれにヘッダの16バイトを加えて2064バイトとなる、CSS等もこのヘッダを利用しているが基本的にリッピング時にこの16バイトをリッピングすることはできない。

容量4.9 GBの片面一層12 cmDVDも存在する。

両面のディスクは、片面に対して2倍の容量を持つが、二層のディスクは一層に対して2倍の容量を持たない(後述)。

1 GiB = 10243 バイト (byte) = 230 バイト = 1.073741824×109 バイト = 1.073741824 GB。DVDの商品には容量がGB単位で表示されているが、OSアプリケーションファイルサイズGiB単位で表示するとき(そしてそのときはたいてい「〇〇 GiB」のような形式ではなく「〇〇 GB」のように表示されるから紛らわしいのであるが)、数字の上で7 %以上も差があることに留意が必要である。DVD-Rなどの媒体ではファイル管理に使われる領域が確保されるため、ユーザファイルが使える容量はそれを差し引いた量となる。4.7 GBのDVDにたとえば4.25 GiBより大きなファイルが書き込めないのは、このような理由による。

二層構造

DVDは、大容量の記録を目指したディスクであり、CDではレーベル面に当たる面にも記録できるよう、両面記録の規格が存在する。しかし、レーザーディスクのように一面の読み込みが終わった際に裏返すのは手間がかかる。そこで、片面に二層構造を持たせれば、一層構造より多くの容量を確保することができ、裏返す手間もなくなる。ユーザ記録型のDVD+R DLが市場に登場したのは2004年6月で、DVD-R DLが2005年5月である。光学ドライブによっては、相性や仕様で読み取れない場合もある。また、単層方式に比べレーベル面の取り扱いに注意しないと、CDのように記録層が破損する等のトラブルに見舞われる。また、ドライブがあまりにも古い場合(例えばPS2のSCPH-10000)、レンズの経年劣化が原因で二層DVDだけを読み取れなくなる症状に陥ることも多い。XboxXbox 360規格のディスクは二層DVDを独自規格にしたものが採用されている。

二層構造の場合、全反射をする層を2つ持たせると奥にある層の読み込みができなくなる。それゆえ、片面(両面)二層ディスクの第1層目(「レイヤー0」、あるいは略して「L0」と呼ぶ)が薄い金属膜でできており、第2層目(「レイヤー1」または「L1」と呼ぶ)は全反射をする構造になっている。レイヤー0は薄膜であるのでレイヤー1よりも読み取りのための反射光の検出率が悪くなるが、記録密度を下げることで読み取り性能を確保している。したがって、二層ディスクの容量は単層ディスクの2倍よりも少ない。

レイヤー0は(CDと同じで)内周側から外周側に向かって記録・読み込みを行う方式であるが、レイヤー1の記録方式には以下の二通りがある。
パラレル方式
レイヤ―0(第1層目)と同じく、内周側から外周側に向かっていく方式。
オポジット方式
レイヤー0とは逆で、外周側から内側に向かっていく方式。

これらの情報は、DVDの管理情報としてレイヤー0の最内側に記録されている。ちなみに、DVD+R DLではオポジット方式のみとなっている。二層ディスクのDVDを再生していると、途中で読み込むレイヤーを切り替えるときが来る。DVD-Videoを再生している場合、一部の再生機ではレイヤーの切り替えの際に時間がかかってビデオ再生が一瞬停止したような状態になることがある。(連続再生時にレイヤーが切り替わる際の読み取りピックアップの移動はオポジット方式であればパラレル方式よりも少なくて済む利点がある。)

二層方式のDVDはDLと略して呼ばれることが多いが、正式名称はDVD-DLではDual Layer、DVD+DLではDouble Layerと、それぞれ異なる。
記録方法

トラックに沿って、ピットと呼ばれる凹みを作ることで記録することができる。読みとる際はレーザー光線を当て、凹み有無による反射の違いを利用する。

DVDのトラック形状は同心円型ではなく、CDと同様の渦巻き型である。

トラック・フォーマットは物理規格ごとに異なっている[9]

ウォブル・ランドプリピット方式を採用したDVD-R/RWディスクには、グルーブ(溝)とランド(丘)があらかじめ刻まれており、グルーブは蛇行している。この蛇行をウォブルと呼ぶ。またランドにはあらかじめランドプレピットというランド部分の途切れている部分がある。ドライブは、ウォブルとランドプレピットにより、位置決め(アドレッシング)を行う。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:131 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef