計量法の目的の一つは、取引・証明に非法定計量単位(法定計量単位でない単位)の使用を禁止することである。しかし非法定計量単位の数には限りがなく定義することはできない。したがって、計量法の禁止規定を有効ならしめるためには、逆に法定計量単位の方を明確に限定しておく必要がある。そのため、法定計量単位の数は有限である。
国際単位系では、量(物理量が多い。)の数は限りがなく[5]、したがって組立単位はいくらでも創出することができるので、組立単位の数は無限に存在することになる。国際単位系国際文書の「2.3.4 組立単位」の章に掲げられている組立単位は、「固有の名称と記号を持つ22個のSI組立単位」以外は例に過ぎない。 現代では、計量単位は計量法と国際単位系によるものを使うことがほとんどである。かつては、尺貫法による計量単位、ヤード・ポンド法による計量単位が使われていた。特に米国においてはヤード・ポンド法の一種である米国慣用単位がいまだに広く使われている。 例えば長さを示すのにその基本単位であるメートル(m)のみを用いたのでは、地球から他の天体までの距離は非常に大きな数値となり、逆に分子、素粒子などの大きさは非常に小さな数値となってしまう。大きな値や小さな値でも扱いやすい数値で表せるようにするために、基本となる単位の倍量・分量を示す単位が作られている。 国際単位系をはじめとするメートル法では、元の単位に対する倍数を意味するSI接頭語が使用される。例えば、接頭語センチ (c) は0.01倍を意味し、センチメートル (cm) は0.01×メートルとなる。接頭語ミリ (m) は0.001倍を意味し、ミリニュートン (mN) は 0.001×N となる[注 5]。 接頭語を使用する際には単位の換算を必要としない。例えば、"cm" と "0.01 m" とは全く同じ値である。これは単位の換算ではなく、「"4×5"と"20"とは同じ値である」というのと同様の、単なる数値的な換算である。 メートル法以外の単位系では、倍量単位・分量単位にも固有の名称をつけていることが多い。例えば尺貫法では、長さの基本となる単位は尺であるが、その10分の1は寸、6倍は間、10倍は丈となっている。また、メートル法のような10の累乗倍だけではなく、3倍、6倍、12倍などといった半端な数値が使われている。 なお、ここでいう「基本となる単位」のことを基本単位、倍量単位・分量単位のことを補助単位(または補助計量単位)と呼ぶこともある。SIでも同じ用語が使われているが、これとは異なる意味である。 数値の表し方として、単名数・複名数の概念がある。計量単位を使ってある値を表す場合、1つの単位のみで表したものを単名数(たんめいすう)、それに対して、2つ以上の単位を使って表したものを複名数(ふくめいすう)または諸等数(しょとうすう)という。詳細は、単名数・複名数を参照のこと。
計量法・国際単位系以外の計量単位
倍量単位・分量単位
単名数・複名数
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 計量法では、「名称」の語は使わず単に「計量単位」としている。
^ 計量法では、特殊の計量に用いる計量単位、ヤード・ポンド法の単位、仏馬力について定めている。
^ ただし国際単位系国際文書第9版(2019)の表6(p.109)における記号は、J K-1 kg-1である。計量法が定める記号とは記法もJ・kg・Kの順序も異なるが、数学的に同等である。
^ ただし計量法は、「計量単位の名称」ないし「名称」の語は使わず、単に「計量単位」としている。
^ ただし、1つだけ例外がある。歴史的な理由により、質量の単位キログラム(kg)はすでに単位名に接頭語を含んでおり、接頭語はキログラムではなくグラム(g)に対してつけることになっている。すなわち、キログラムの10?6倍は、マイクロキログラム(μkg)ではなくミリグラム(mg)となる。
出典^ 計量法 第2条第1項
^ 計量法 第2条第1項第1号、第2号
^ 計量単位令
^ The International System of Units (SI) 9th ed. Text in English
^ SI国際文書第9版(2019) p.107
参考文献
国際度量衡局 (BIPM); (独)産業技術総合研究所 計量標準総合センター (NMIJ)(訳・監修). “国際単位系 (SI) 国際文書第9版(2019年)日本語版
関連項目
計量法
法定計量単位
計量法に基づく計量単位一覧
国際単位系
国際単位系国際文書
SI基本単位
SI組立単位
SI接頭語
SI併用単位
単位記号
物理量
物理単位