言語学
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古代の言語学者に、インドのパーニニがいる。

西洋における言語研究の始まりは、紀元前にギリシア哲学者たち(プラトンエピクロスなど)の間で起こった言語起源論修辞学にまでさかのぼる。古典ギリシア語文法書は、紀元前1世紀までに完成し、ラテン語のほか後の西洋の言語の文法学(伝統文法)に大きな影響を与えた。

言語学が大きく飛躍する節目となったのは、1786年のことである。イングランドの法学者ウィリアム・ジョーンズは、インドカルカッタに在任中に独学していたサンスクリット語の文法が、以前に学んだギリシア語ラテン語などの文法と類似していることに気づき、「これらは共通の祖語から分化したと考えられる」との見解をアジア協会において示した[3]。これが契機となり、19世紀に入るとヤーコプ・グリムフランツ・ボップラスムス・ラスクの3人により比較言語学が開始された。この時代の言語学は植物のように言語も成長・発展し、老いて死んでいく、有機体のように捉えられていた。しかし1876年に文献学や音声学を取り入れた、言語の歴史的展開を研究すべきなのが言語学だとする青年文法学派ドイツライプツィヒで興り(19世紀インド・ヨーロッパ語族の概念が確立した(印欧語学
近現代

20世紀に入ると言語学は大きな変動期を迎えることになる。20世紀初頭にスイスの言語学者、フェルディナン・ド・ソシュールの言語学は、通時的な(書き言葉の)研究から共時的な(話し言葉の)研究へと対象を広げた。またソシュールの言語学は、言語学にとどまらない、「構造主義」と呼ばれる潮流の一部にもなった(また言語学においては(ヨーロッパ)構造主義言語学とも)。20世紀以降の言語学を指して、近代言語学と呼ばれることもある。

アメリカの言語学は、人類学者のフランツ・ボアズアメリカ州の先住民族の言語研究やエドワード・サピアがさきがけとなった。そこから発展したアメリカ構造主義言語学(前述のヨーロッパ構造主義言語学との関連は薄い)の枠組みは、レナード・ブルームフィールドによって確立された。

20世紀後半、ノーム・チョムスキー生成文法は、以上で延べたような近代言語学からさらに一変するような変革をもたらし、現代言語学と言われることもある。後述する認知言語学からは批判もあるなど、「チョムスキー言語学」が全てではないが、現代の言語学においてその影響は大きい。

また20世紀後半には他にも、マイケル・ハリデー(en:Michael Halliday)らの機能言語学(en:Systemic functional grammar)や、ジョージ・レイコフらの認知言語学など、異なったアプローチも考案された。
主要な研究分野

音声学 - ヒトの言語の音声の研究

音韻論 - 音韻体系の研究

音声学が発音時の筋肉の動きや音声音響学的特性など物理的な対象を研究するのに対して、音韻論ではその言語で可能な音節の範囲(音素配列論)など言語が音声を利用するしくみを研究する。

形態論 - 構造の研究

統語論 - 構造の研究

談話分析

語の成り立ちは形態論で研究し、語が他の語と結合して作る構造は統語論で研究する。統語論が研究対象とするのは文までで、それ以上のテクストや会話などは談話分析で扱う。

意味論 - 意味の研究

語彙論

語用論

意味論が研究対象とする「意味」とは、伝統的に、話者や文脈・状況を捨象した普遍的な語の意味や文の意味(真理条件)に限られてきた。話者の意図は意味論の研究対象ではないと見る場合、これの研究は語用論で行う。

手話言語学 - 世界的に見ても手話は言語学の範囲の及ぶ学術領域と見みなされている。かつて日本の手話言語学者は、手話は音声言語とは形態において異なることから音声言語学とは異なる手法や用語によって研究されるべきであるという立場をとっていた。しかし近年では、手話もれっきとした言語であるとし、音声言語と同様の手法・用語によって説明できるはずであるとする立場が一般的となっている。近年では言語学関連の学会等で音声言語とともに手話言語学者の研究報告がプログラムにのぼることも珍しくない。

学際的分野

応用言語学

文体論


対照言語学

言語類型論


心理言語学

計量言語学

計算言語学

比較言語学

社会言語学

神経言語学

言語人類学

民族言語学


主要な切り口、主要な学説や仮説
ヒューマニズム理論

間の言語学の基本原則は、言語は人々によって作成された発明ということである。 言語研究の記号論的伝統は、言語を意味と形式の相互作用から生じる記号のシステムと見なしている。[4]言語構造の編成は計算と見なされる。[5] また、言語学は本質的に社会的および文化的科学に関連していると見なされている。なぜなら、言語コミュニティによる社会的相互作用ではさまざまな言語が形成されているからである。[6] 言語の人間性の見方を表すフレームワークには、とりわけ構造言語学が含まれる。[7]

構造分析とは、音声、形態、構文、談話などの各層を最小単位で分析することを意味する。これらはインベントリ(音素、形態素、語彙クラス、フレーズタイプなど)に収集され、構造およびレイヤー階層内での相互作用を調査する。[8] 機能分析は、構造分析に、各ユニットが持つ可能性のあるセマンティックおよびその他の機能的役割の割り当てを追加する。 たとえば、名詞句は、文の文法的な主語または目的語として、あるいは意味論的なエージェントまたはペイシェントとして機能することができる。[9]

機能言語学、または機能文法は、構造言語学の一分野である。 人間性の文脈では、構造主義と機能主義という用語は、他の人間科学におけるそれらの意味に関連している。 形式的構造主義と機能的構造主義の違いは、なぜ言語が持つ特性を持っているのかという質問への答えにある。機能的な説明は、言語がコミュニケーションのためのツールである、またはコミュニケーションが言語の主要な機能であるという考えを伴う。 したがって、言語形式は、その機能的価値または有用性に関して説明される。 他の構造主義的アプローチは、形式が二国間および多層言語システムの内部メカニズムから続くという視点を取る。[10]
生物学的理論

言語の生物学的基礎を明らかにすることを目的とした、認知言語学生成文法研究言語認識などのアプローチ。 生成文法は、これらの基礎が生来の文法知識から生じると主張している。したがって、このアプローチの中心的な関心事の1つは、言語知識のどの側面が遺伝的であるかを発見することである。[11][12] 一例をあげると、ノーム・チョムスキーらは生成文法という仮説を唱え、「普遍文法」という仮説を提起した。

対照的に、認知言語学は、生来の文法の概念を拒否し、人間の精神がイベントスキーマから言語構造を作成する方法を研究する。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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