解離性同一性障害
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^ a b ジェフリー・スミスは、この交代人格を隔てるこの壁こそがDIDの本質なのだとしている。(ジェフリー・スミス2005 pp.311 - 312)
^ 戦争映画の潜水艦や軍艦の扉をイメージすると良く判る。船底などに魚雷で穴があいでも、その区画にたとえ人が残っていても閉じてしまい、艦の沈没を防ぐ。
^ もちろん神経科学的には、どのような心の動きも脳の生理学的な反応であるし、クラフトの四因子論の第一因子(「解離の資質」として後述)のような資質、あるいは大脳辺縁系の中の海馬とか扁桃体などでの生得的状態が影響することはあるかもしれない。しかしそれはあったとしても脆弱性としてであり、決定的なものではなく、生誕後の体験の方が大きいと考えられている。
^ パトナムも「わずかなりともエキスパート性を持ち合わせるようになった人なら、自分がどれほどものを知らないかを痛いほど意識するものだ、…生の現実においては、単純主義的な治療モデルが大して役にたつことはない。」と書いている(パトナム1997p.340 )。
^ 『こころのりんしょう』 2009 Q&A集Q5 「解離性障害はどのような原因で起こると考えられていますか?」 (p.215) では(3)と(4)を合わせて虐待とまとめているが、ここでは説明の都合上2つを分ける。
^ 「地域社会の暴力」とは強盗、銃撃、あるいは刃傷の目撃であり、アメリカの公立小学校の調査では上級生(日本の中学生相当)の40%が調査の前年にそれを目撃している。「家庭内暴力」は主に父母の間の暴力であるが、アメリカでは家庭内における殴打、刃傷、銃撃は日常茶飯事であるという(パトナム1997 pp.29 - 32)。日本においても殺傷を目撃した児童はいるだろうが、日常茶飯事ではない。「戦争と内乱」はベトナムカンボジアなどの戦災孤児里親として引き受けていることによる。「事故と損傷」には持続的な疼痛や生活障害に至る外科的外傷でもDIDを引き起こす場合があるという。
^ 柴山雅俊『解離性障害』 冒頭の「症例エミ」も虐待もネグレクトもない家庭環境である。
^ 「精神的・心理的暴力(いじめ )」の部分は原著ではpsychological or mental harassment (原著p.38 )。
^ 柴山雅俊『解離性障害』 2010 にある「症例K 初診時33歳女性」(pp.73 - 79)によくあらわれている。
^ 自傷傾向や自殺企画はDIDだけでなく、うつ病、PTSD、境界性パーソナリティ障害など広範に見られるが、それと外傷体験との関係は1991年にバン・デア・コーク (van der Kolk,B.A.) らも報告している。そこでは、種々の自傷行為をした患者の70% - 90%に幼児期の様々な外傷体験があったという(岡野憲一郎1995 p.39)。
^ 両親の不仲が自傷群では約 8割にも登るに対し非自傷群ではその半分である。また学校での持続的ないじめの経験は同じく約 7割対約 4割である。両方経験している者が自傷群の半数以上ということになる。両親の離婚、両親からの虐待はともに自傷群で約 4割、非自傷群ではやはり半分である。性的外傷体験は約3.5割対約 2割で差は縮まり、家庭内での性的外傷体験は無かったとする。親のアルコール中毒、母子分離、交通事故、暴力などは両群であまり差は無かったという。
そして「私の体験では、解離の中でも解離性同一性障害(DID)における性的外傷体験の割合が特別高いわけではなく、日本では北米に比較して、性的外傷体験は少ないことは確かだろう」としている。
なお、解離性障害とDIDのそれぞれが受けた虐待等の統計的報告は後で「日本での報告」にあげる国立精神・神経センター病院での白川美也子の2009年の報告が知られるが、そこでも解離性障害全体112人と、DID 23人のデータを比較するとほとんど有意差はない。
^ ただし集計数字の統計的結果は結果として、実際に治療の場での総合的な印象は若干ずれることもある。柴山は2012年の著書で、解離性障害の人の55%が学校での持続的ないじめを受けた経験があるとしながら、しかし解離性障害との関係はそれほど強くない述べている(柴山雅俊2012 pp.62 - 63,p.66 )。
^ 中でも性的外傷体験はその点でもっとも際だっているとする。2012年時点では性的外傷体験は解離性障害の45%に見られ、その内の77%が家庭外、33%が家庭内である。そしてその両方が重なる者が11%ありその人達はすべてDIDと診断されたという、(柴山雅俊2012 pp.62 - 63 )
^ これは北米での近親者からの児童虐待・性的虐待でも同じである。深刻なことはこうした関係は遺伝はしないが伝染はするということである。子どもを虐待する親は、本人自身がさらにその親から虐待されていたか、あるいは十分な愛情を感じとれなかった場合が多い。
^ 1991年にはリン(Lynn,S.J.)とルー(Rhue,J.W.)の、高い催眠感受性を持つ対象者は低い傾向の人と比較すればより高い空想傾向を持ってはいるが、催眠感受性と空想傾向の間の相関はわずかであり、高い催眠感受性を持つ対象者の大多数は空想傾向であるということはできないとする研究もある(岡田他2004 p.154 )。
またパトナムの1997年には「催眠と解離との関係はほとんどない」と述べ、クラフトの四因子論にみられるような「外傷-自己催眠仮説」「解離連続体仮説」から離散的行動状態モデル (discrete behavior states) つまり病的解離モデルにシフトしている。
それらを重ね合わせると、「空想傾向」と「催眠感受性」は必ずしもイコールではないが、両方とも兼ね備えた一群があるということになる。
^ リン(Lynn,S.J.)とルー(Rhue,J.W.)そしてグリーン (Green,J.P.) は1988年に「空想傾向が虐待や心的外傷のエピソード以前から発達していたのか、その後に発達させたかについては定かではないが、過酷な子ども時代の環境が空想傾向と結びつくことによりその個人が後に多重人格と診断される可能性が増大するのであろう」と述べている(岡田他2004 p.154 )。
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