解離性同一性障害
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^ パトナムは空想と解離は、慢性的な外傷的状況、あるいはストレス状況におかれた子供にとっては唯一の実行可能な逃避行であると述べている。(パトナム1997 p.348)
^ 1993年に、翌年刊行されるDSM-IVで「解離性障害」担当委員会の議長スピーゲルが、「多重人格障害(MPD)」から「解離性同一性障害(DID)」への名称変更について述べた言葉。岡野憲一郎も1995年の『外傷性精神障害』(p.163 )、2009年の『新外傷性精神障害』(p.137 )でもこのフレーズを用いて、両者つまり「人格を多く持ちすぎること」と「(健全な )人格を一つも持てないこと」との理解の違いは臨床上重要だと述べている。
^ [注1]で岡野憲一郎の「解離はなかば失敗した不十分な防衛という考え方が一番妥当」という意見を紹介したが、そこでも「なかば」である点に注意。DID患者は「統合」に対して、「なかば」成功している部分を手放すことに抵抗するし、「統合」が果たされたあとも、それまでは経験したことのない「全てのことを自分で引き受けなければならない」ということに苦闘する。
^ a b ジェフリー・スミスは、この交代人格を隔てるこの壁こそがDIDの本質なのだとしている。(ジェフリー・スミス2005 pp.311 - 312)
^ 戦争映画の潜水艦や軍艦の扉をイメージすると良く判る。船底などに魚雷で穴があいでも、その区画にたとえ人が残っていても閉じてしまい、艦の沈没を防ぐ。
^ もちろん神経科学的には、どのような心の動きも脳の生理学的な反応であるし、クラフトの四因子論の第一因子(「解離の資質」として後述)のような資質、あるいは大脳辺縁系の中の海馬とか扁桃体などでの生得的状態が影響することはあるかもしれない。しかしそれはあったとしても脆弱性としてであり、決定的なものではなく、生誕後の体験の方が大きいと考えられている。
^ パトナムも「わずかなりともエキスパート性を持ち合わせるようになった人なら、自分がどれほどものを知らないかを痛いほど意識するものだ、…生の現実においては、単純主義的な治療モデルが大して役にたつことはない。」と書いている(パトナム1997p.340 )。
^ 『こころのりんしょう』 2009 Q&A集Q5 「解離性障害はどのような原因で起こると考えられていますか?」 (p.215) では(3)と(4)を合わせて虐待とまとめているが、ここでは説明の都合上2つを分ける。
^ 「地域社会の暴力」とは強盗、銃撃、あるいは刃傷の目撃であり、アメリカの公立小学校の調査では上級生(日本の中学生相当)の40%が調査の前年にそれを目撃している。「家庭内暴力」は主に父母の間の暴力であるが、アメリカでは家庭内における殴打、刃傷、銃撃は日常茶飯事であるという(パトナム1997 pp.29 - 32)。日本においても殺傷を目撃した児童はいるだろうが、日常茶飯事ではない。「戦争と内乱」はベトナムカンボジアなどの戦災孤児里親として引き受けていることによる。「事故と損傷」には持続的な疼痛や生活障害に至る外科的外傷でもDIDを引き起こす場合があるという。
^ 柴山雅俊『解離性障害』 冒頭の「症例エミ」も虐待もネグレクトもない家庭環境である。
^ 「精神的・心理的暴力(いじめ )」の部分は原著ではpsychological or mental harassment (原著p.38 )。
^ 柴山雅俊『解離性障害』 2010 にある「症例K 初診時33歳女性」(pp.73 - 79)によくあらわれている。
^ 自傷傾向や自殺企画はDIDだけでなく、うつ病、PTSD、境界性パーソナリティ障害など広範に見られるが、それと外傷体験との関係は1991年にバン・デア・コーク (van der Kolk,B.A.) らも報告している。そこでは、種々の自傷行為をした患者の70% - 90%に幼児期の様々な外傷体験があったという(岡野憲一郎1995 p.39)。
^ 両親の不仲が自傷群では約 8割にも登るに対し非自傷群ではその半分である。また学校での持続的ないじめの経験は同じく約 7割対約 4割である。
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