角度
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すなわち、ラジアンで表された量は換算なしに単位なしの無次元量に置き換えられる。ラジアンを使用する目的は専ら、ある数量が角度を表す量であることを示すためであり、特に必要のない場合は単位なしの無次元量として扱うことが多い。
度数法

度数法は、平面を定点を端点とする半直線によって 360 等分する時、その等分された一つの角として定まる角度を 1 (°) とする単位系である。更に、六十分法を用いて、1° = 60′()、1′ = 60″()として下位の単位を定める。定義の仕方から、全方位角は 360°である。

定義から、中心角が 1°の互いに合同な扇形を 360 個張り合わせると扇形の要を中心とするができる。円の相似性より、1度を1つの円を 360 個の互いに合同な扇形に分割した時の1つの扇形の中心角の大きさとして定めることもできる。

この体系は、における 1の日数(≒360 )に由来している。
勾配

勾配については、水平方向の単位長さに対する垂直方向の長さ(高さ)によって角度を示す方法がある。水平方向に対する垂直方向の長さの割合によって示す方法が道路鉄道の勾配についてよく行われており、道路については百分率パーセント (%)、鉄道については千分率パーミル (‰) がよく用いられる。例えば「10パーセントの勾配」とは水平方向に100メートル進むと10メートル上昇(または下降)する勾配を示す。45° は100% (1000‰) の勾配になる。尺貫法では、水平方向1に対する高さをで表したもので勾配を示していた。すなわち、45° の勾配は「10寸」となる。
時間表記

天文学の分野では時間を使って角度を表すことが多々ある。a 時 b 分 c 秒を ahbmcs と表す。15 倍すれば度数法での表記法と同じになる。

この表記では、分、秒の単位が度数法での名称と同じなので、注意が必要である。
分類
大きさによる分類

以下、角度 θ は弧度法で表す。0 から 2π までの大きさの角を、その範囲により次のような名称で呼ぶ。ただし直角には定量的角度を使わない定義があり、ヒルベルトの公理系などで採用されている。

範囲 (rad)範囲 (°)名称読み英語一例
θ = 0θ = 0°零角れいかく 
0 < θ < π/20° < θ < 90°鋭角えいかくacute angle
θ = π/2θ = 90°直角ちょっかくright angle
π/2 < θ < π90° < θ < 180°鈍角どんかくobtuse angle
θ = πθ = 180°平角へいかくstraight angle[10][8]
0 < θ < π0 < θ < 180°劣角れっかくinferior angle
凸角とっかく
π < θ < 2π180° < θ < 360°優角ゆうかくreflex angle[9][10]
凹角おうかく
折り返し角おりかえしかく
θ = 2πθ = 360°周角しゅうかくperigon または round angle[9][10] または full angle[24]
全角ぜんかく
全方位角ぜんほういかく

@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}ただし鋭角、直角、鈍角以外の用語はあまり使われない。[要出典]

英語で劣角に対応する用語は不明である。『科学技術45万語和英対訳大辞典』[25]では "inferior angle" という語を当ててはいるが、この語が英語圏で劣角の意味で広く使われている証拠は見つからない。研究社の新英和大辞典[10]では優角を "superior angle" または "major angle" ともいうとの記載はあるが、その反対語となりうる "inferior angle" および "minor angle" についての記載はない。

『図説 数学の事典』[8]では、π < θ < 2π の角を優角ではなく折り返り角と記しているが、原著はドイツ語であり、そこからの翻訳なので英語との対応は不明である。また θ = 2π の角を周角ではなく全角と記している。
角同士の関係による分類
優角・劣角
優角 (∠ABC) と劣角 (∠CBA)始点を共有する2本の半直線が、平面からその一部を切り取るとき、切り取る部分の小さくない方を優角(ゆうかく、: major angle)と呼び、そうでない方を劣角(れっかく、: minor angle)と呼ぶ。優角と劣角の和は、周角に等しい。通常、特に断りのない限り、2本の半直線が成す角とは劣角を指す。なお、2本の半直線が平角をなすとき、特に優角、劣角と区別することはない。
余角
鋭角に対し、合わせて直角となる角あるいは角度をその角の余角(よかく、
: complementary angle, co-angle)という。したがって、角度 θ {\displaystyle \theta } に対して余角は π 2 − θ {\displaystyle {\frac {\pi }{2}}-\theta } の値となる。・ 余弦関数では、 cos ⁡ θ = sin ⁡ ( π 2 − θ ) {\displaystyle \cos \theta =\sin({\frac {\pi }{2}}-\theta )} 。
補角
平角より小さい角度を持つ角に対し、合わせて平角となる角あるいは角度をその角の補角(ほかく、
: supplementary angle)と呼ぶ。したがって、角度 θ {\displaystyle \theta } に対しては補角は π − θ {\displaystyle \pi -\theta } の値となる。・ sin ⁡ θ = sin ⁡ ( π − θ ) {\displaystyle \sin \theta =\sin(\pi -\theta )} 、 cos ⁡ θ = − cos ⁡ ( π − θ ) {\displaystyle \cos \theta =-\cos(\pi -\theta )} 。
図形との関係による分類内角と外角
外角・内角
多角形において、頂点を共有する2辺の成す角を、内角(ないかく、: interior angle)と呼ぶ。内角の補角を外角(がいかく、: exterior angle)と呼ぶ(これら2辺のうち一方を延長して作られる)。多角形の内角の和は、多角形の頂点の数 n の関数であり、その大きさは (n − 2)π に等しい。多角形の外角の和は、多角形の頂点の数 n に関係なく、一定の値 2π に等しい。正 n 角形の1つの内角、外角の大きさは、上のそれぞれの値を n 等分して求められる。
錯角・同位角
2つの直線 (a, b) と横断線 (t)2本の直線を考える。直線の両方と異なる点で交わる第3の直線を引くとき、この直線を横断線(おうだんせん、: transversal)と呼ぶ。横断線から2本の直線が切り取る線分の両端にそれぞれ4つの角を生ずるが、このとき線分の両端からそれぞれ1つずつの角を選んで作る2つの角の組のうち、横断線の反対側にできる角で、辺の一部を共有する角の組を錯角(さっかく、: alternate interior angles)、一方の角がその内部に他方を含むような角の組を同位角(どういかく、: corresponding angles)と呼ぶ。錯角、同位角のいずれか一方が等しければ、他方も等しく、元の2直線は平行線であることが分かる(平行線の成立条件)また、元の2直線が平行であるならば、錯角、同位角はそれぞれ互いに等しい大きさを持つ(平行線の性質)。
中心角・円周角
中心角と円周角扇形の2本の半径のなす角を、中心角(ちゅうしんかく、: central angle)という。すなわち中心角とは、円の円周から切り取った弧を、その円の中心から見込む角のことである。またこのとき、弧を除く円周上の1点から、弧を見込む角のことを、円周角(えんしゅうかく、: angle of circumference)という。同じ弧を見込む中心角は、円周角の2倍の大きさを持つ。円周を n 等分して n 本の弧に分けるとき、n 等分点を頂点とする正 n 角形の1つの外角と、n 本の弧の1つを見込む中心角の大きさは等しくなる。
記号
角を表す記号「数学記号の表」、「角記号」、および「直角記号」も参照

角を表す記号には角記号 ∠ と直角記号 がある。例えば、頂点 O から出る辺または半直線 Ox, Oy のなす角は ∠xOy または ∠yOx と表される。あるいはより簡単に ∠O と表される場合もある。頂点の周りの角は複数存在するため、頂点やそこから伸びる辺を示しても角を特定することはできないが、文脈上どの角を指しているかが明らかな場合にはこのような省略記法が用いられる。直角記号についても同様で、示す角が特に直角をなしている場合に、xOy や 楼 のように用いられる。

それぞれの記号は角を表すと同時に、その角度を示すためにも用いられる。たとえば三角形 △ABC の内角の和が 180° に等しいことを示す際に、∠ABC + ∠BCA + ∠CAB = 180°

と表すことがある。この場合、それぞれ ∠ABC は頂点 B、∠BCA は頂点 C、∠CAB は頂点 A の周りの内角の大きさを表している。
角度の単位記号

角度の計量単位の単位記号は以下である[26][27]

ラジアン:rad

:°

:″

:′

:pt

なお、国際単位系の規定では、一般に、数値と単位記号との間にはスペース(通常は半角スペース en:thin space)を挟むことになっているが、度数法による度・分・秒の場合は、数値と単位記号との間にはスペースを挟まない(度 (角度)#記法)。

例:「32.5°」とする。スペースを入れた「32.5 °」の表記は不可。

例: 「139°41′56″」とする。スペースを入れた「139 ° 41 ′ 56 ″」の表記は不可。

ラジアンにはSI接頭語を付することができるので、その分量単位と単位記号は、例えば以下のようになる。

ミリラジアン:mrad

マイクロラジアン:µrad

ナノラジアン:nrad

非法定計量単位の単位記号

非法定計量単位である角度の記号は、通常、次のものが使われている。

グラード:g、2.5gのように数値の右肩に記す。

ミル: mil

ターン:turn, tr,r など

角度の計算「ドット積」、「余弦定理」、および「ベクトルのなす角」も参照

2つの辺のなす角度は、2辺を幾何ベクトルと見なし、2つのベクトルの内積(ないせき、: inner product)を用いることで計算できる。この方法は言い換えれば、余弦定理を利用して角度を得る方法である。一般の角度を計算するには三角関数の値を求め、その値を逆三角関数に与えることで角度を得る。

それぞれのベクトルを u→, v→ とすると、それらの大きさ |u→|, |v→| は対応する辺の長さを表している。ベクトル u→, v→ の内積 u→ · v→ は、 u → ⋅ v → = 。 u → 。 。 v → 。 cos ⁡ θ {\displaystyle {\vec {u}}\cdot {\vec {v}}=|{\vec {u}}||{\vec {v}}|\cos \theta }

と表すことができ、θ は2辺のなす劣角の大きさと見なせる。内積 u→ · v→ およびそれぞれのベクトルの絶対値 |u→|, |v→| が分かっているなら、cos θ を求めることができ、これを利用して角度 θ を得ることができる。 cos ⁡ θ = u → ⋅ v → 。 u → 。 。 v → 。 {\displaystyle \cos \theta ={\frac {{\vec {u}}\cdot {\vec {v}}}{|{\vec {u}}||{\vec {v}}|}}}

により、余弦関数 cos θ が得られれば、その逆関数である逆余弦関数を利用して、 arccos ⁡ ( cos ⁡ θ ) = θ {\displaystyle \arccos \left(\cos \theta \right)=\theta }

より θ が計算できる。つまり、2辺のなす劣角の大きさは以下のように表される。 θ = arccos ⁡ ( u → ⋅ v → 。 u → 。 。 v → 。 ) . {\displaystyle \theta =\arccos \left({\frac {{\vec {u}}\cdot {\vec {v}}}{|{\vec {u}}||{\vec {v}}|}}\right).}

また、ベクトル u→, v→ によって作られる三角形を考えると、内積 u→ · v→ はベクトル w→ = u→ − v→ を用いて次のように書き換えられる。 u → ⋅ v → = 1 2 { u → ⋅ u → + v → ⋅ v → − ( u → − v → ) ⋅ ( u → − v → ) } = 1 2 ( 。 u → 。 2 + 。 v → 。 2 − 。 w → 。 2 ) . {\displaystyle {\vec {u}}\cdot {\vec {v}}={\frac {1}{2}}\left\{{\vec {u}}\cdot {\vec {u}}+{\vec {v}}\cdot {\vec {v}}-\left({\vec {u}}-{\vec {v}}\right)\cdot \left({\vec {u}}-{\vec {v}}\right)\right\}={\frac {1}{2}}\left(|{\vec {u}}|^{2}+|{\vec {v}}|^{2}-|{\vec {w}}|^{2}\right).}


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