角川歴彦
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かつてアメリカに留学したときにテレビのブラウン管や雑誌などのメディアへの理解が深まり[7]、子会社の株式会社ザテレビジョンの社長として1982年にテレビ情報誌の『ザテレビジョン』、1990年に都市生活情報誌の『東京ウォーカー』など雑誌部門を育てて、春樹の映画の業績不振の中で大きな収益を上げ、経営に貢献したと言われる[8]。ゲーム分野の子会社の角川メディアオフィスの社長も兼務し、佐藤辰男と出会って会社に迎え入れ、力を合わせてゲーム雑誌『コンプティーク』を立ち上げ[9]、その後『マル勝スーパーファミコン』『コミックコンプ』などゲーム雑誌・漫画雑誌も出版してマニア層をターゲットにしたメディアミックスを進めていた[10]。しかし、1992年9月に経営路線の対立で、春樹により角川書店副社長を辞任させられる[3]。佐藤辰男ら角川メディアオフィスの従業員のほとんどが、歴彦について退社した。歴彦は主婦の友社紀伊國屋書店などの協力を得てメディアワークス(現在は角川グループ系列)を創業し、翌年2月付でメディアワークス社長に正式に就任した[3][11]。『月刊電撃コミックGAO!』『電撃PCエンジン』など5誌や電撃文庫が創刊[12][13][14]。しかし、春樹がコカイン密輸事件により逮捕され、角川書店社長を解任されたことから、1993年9月に顧問として角川書店復帰、同年10月に社長に就任した[3]

就任後、歴彦は同族経営から脱却するため経営幹部を交代し、1998年11月に東証2部に上場し、後に角川グループを成長させ、一ツ橋グループ小学館集英社)や音羽グループ(講談社)に対抗して総合メディア企業を目指した[8]。角川書店の方向性は一般大衆からおたく中心のプラットフォームに変わり、現在に至っている。テーブルトークRPGをモデルにして、春樹とは異なる世界観を中心としたメディアミックスを立ち上げた[15]。一時撤退していた映画事業にヘラルド・エースを買収することで復帰し、『失楽園』『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』など「新角川映画」も大ヒット[16]

2003年4月、角川書店を角川ホールディングス商号変更するとともに持ち株会社化し、同社の代表取締役社長と最高経営責任者に就任した。また、角川ホールディングスから出版事業を譲渡された角川書店(角川ホールディングスの子会社として会社分割により新設)では、代表取締役会長と最高経営責任者に就任した。2005年4月、角川ホールディングスの代表取締役会長に就任するとともに、最高経営責任者も引き続き兼務。角川書店を始めとする角川グループを率いた。2006年7月、角川ホールディングスを角川グループホールディングスに商号変更したが、引き続き代表取締役会長と最高経営責任者を兼務。2002年より社団法人日本映像ソフト協会会長を務めるなど、出版・映像関連の業界団体の多くで役員を務めている。また、 東京国際映画祭ではチェアマンを務めた。

その後、角川グループホールディングスの代表取締役と最高経営責任者を退任、代表権のない取締役会長となり、経営の第一線から退いた。2012年には、角川書店の会長職からも退いた。その後は角川マガジンズブックウォーカーの取締役会長や、角川書店の取締役を務める。2013年6月22日、角川グループホールディングスがKADOKAWAに商号変更し、それにともない同社の取締役会長に就任した。

2014年10月にKADOKAWAとIT企業のドワンゴが経営統合し、持株会社KADOKAWA・DWANGO(現・KADOKAWA)の取締役相談役、2017年6月に取締役会長へ就任した。同社及びドワンゴ代表取締役の川上量生を後継者としていたが、2019年の業績低迷により解任された[17]
KADOKAWAグループの不祥事をめぐって

2022年9月6日東京オリンピック・パラリンピックの大会スポンサーの選定を巡り、大会組織委員会の元理事・高橋治之の知人が経営する会社にコンサルタント料名目の金約7600万円を支払ったとして、KADOKAWAの元専務ら2人が贈賄容疑で逮捕され、KADOKAWA本社や会長である角川歴彦の自宅も家宅捜索を受けた[18][19]

角川歴彦は9月5日、報道各社の代表取材に応じ「賄賂を渡したという認識はない」として関与を否定したが[20]9月14日贈賄容疑で逮捕された[21]。角川歴彦は同社元専務、元担当室長の両容疑者と共謀し、大会スポンサーに選定されるよう高橋容疑者に依頼、便宜を図ってもらった謝礼などとして2019年9月?2021年1月、計約6900万円の賄賂を提供した疑いである[20]

10月4日、東京地検特捜部に贈賄罪で起訴され[22]、同日、会長職を辞任する意向を弁護団を通じて明らかにした[23]。5日、KADOKAWAの取締役会は辞任の申し出を承認した[24]。11月4日、KADOKAWA会長の辞任後も留任していた取締役を辞任し、兄・角川春樹のコカイン密輸事件以降率いてきたKADOKAWAの経営から完全に退くことになった[25]

2023年4月27日、東京地裁は角川の保釈を認める決定をした[26]。保釈保証金は2億円[26]。検察側は決定を不服として準抗告したが[26]、東京地裁はこれを退け、同日夜、角川は約7か月ぶりに勾留を解かれ保釈された[27]
人物
映画2018年10月24日佐藤浩市(右端)、ウィリアム・F・ハガティ(右から2人目)らと(佐藤とハガティの間にいるのが角川)

角川大映映画の会長、日本ヘラルド映画の取締役、角川ヘラルド映画の会長兼最高経営責任者などを歴任するとともに、映画のプロデュースなどにも携わったことから、兄の春樹と同じく多数の映画を企画、製作し、「出版社が映画を作った」から「映画を事業としてやる会社」への変化は佐藤辰男に評価された[28]

1998年3月6日第21回日本アカデミー賞授賞式にて、「観客動員に於て多大な成績をあげ、日本映画復興の大いなる原動力となりました。これらの作品を企画、製作された着眼点と、素晴らしい実行力に敬意を表して栄誉を称えたい」[29] との理由により、日本アカデミー賞協会特別賞を授与された。


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