朝日新聞データベースによる検索結果においても、字句としての観光資源は、1963年(昭和38年)に旧観光基本法が制定されて以降の出現率が高くなっており、それ以前の使用例は一件である。旧観光基本法、及び、それを引き継ぐ2006年(平成18年)制定の観光立国推進基本法が規定する観光資源は、史跡、名勝、天然記念物等の文化財、優れた自然の風景地、温泉を代表例に掲げ、包括規定として「その他産業、文化等に関する関するもの」としているところから、あらゆるものが観光資源としてとらえられている。なお、温泉が自然、文化とは別に具体的例示としてあげられていることは極めて日本的な規定である。
観光資源は、観光やレジャーに使われる施設や、あるいは風光明媚で目を楽しませる名勝などや舌を楽しませる郷土料理から伝統に基づく地域の文化を、地域にある資産や資源とみなし、所定の地域にそういった資産・資源がどれほどまとまって存在しているかを考える際に使われる表現である。
観光は、それ自体が非日常を楽しむ人間の行動であるが、行った先でも人間が生活している以上は、その目的地に住んでいる人々の社会では日常ではある。ただ、その地に訪れた者の日常とは地域性の差異にもよって「違い」が出ることもままあることであるため、特に所定地域の日常的な生活が他の地域とは異なっている場合には観光資源となりうる。その一方、地域の名物(特産品・行事・イベントなど)となっている地域固有の産業や文化などは、その「特別さ」から観光資源として扱われる。
こういった観光資源として扱われるものには、歴史や風土を背景として連綿と行なわれてきたものもあるが、その一方で地域の観光産業を盛り立てようと、新規に興される場合もあり、この場合は観光資源を鉱物ないし遺跡に準えて発掘と言う場合もある。この「発掘」では、地域の者が見向きもしていなかった事物に脚光が当てられ、それを軸にイベントが行なわれたり、施設の拡充が行なわれたりする。例えば漁港では、単なる産業施設としての機能だけではなく、「新鮮な魚介類を使った料理」や市場機能の一部を一般観光客に振り向け、直接的に市場から新鮮な海産物を購入できるなどのイベントが催されたりもする。
ただし、これら観光資源とみなされたものでも、客観的結果として地域振興に役立つかどうかは定かではない。その観光資源に価値を見出すのは地元の企画側であっても、実際に価値を評価するのは外部の不特定多数からなる観光客らであり、その観光客らが観光資源に興味を示さなければ、実際的な価値は創出しえない。このため、外部の人間をアドバイザーとして招くなどの活動も見られる。
関連項目
観光学
観光地 - 観光協会 - 日本の観光
都市観光 - 夜景(夜景鑑賞士検定)
地域おこし
テーマパーク
遊歩百選 - 旧道
観光カリスマ
デスティネーションキャンペーン
観光列車
資源 - 地域資源
ゆるキャラ
ダークツーリズム
脚注[脚注の使い方]^ 『観光学』寺前秀一著イプシロン出版企画2007年
^ 『梅棹忠夫著作集第21号』中央公論社、1993年、p.103
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