親権
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また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。

日本の民法について以下では、条名のみ記載する。
親権に服する子

親権に服する子は成年に達しない子である(818条第1項)[7]

なお、戦前の民法によれば未成年に限らず「独立ノ生計ヲ立ツル成年者」以外の者は父の親権に服するものとされていたが(旧877条第1項の反対解釈)、現行法では親権に服する子は未成年者に限られる(818条第1項)[13]
親権者
共同親権の原則

親権は父母の婚姻中は父母が共同して行う(共同親権の原則、818条第3項本文)。通常、子にとって父母双方と密接な関係を維持することが最善の利益につながるとみるもので、また、父母双方が対等に子の養育の責任を負うべきとの趣旨である[14]

明治民法では「子ハ其家ニ在ル父ノ親権ニ服ス」とされ(旧877条第1項)、「父カ知レサルトキ、死亡シタルトキ、家ヲ去リタルトキ又ハ親権ヲ行フコト能ハサルトキハ家ニ在ル母之ヲ行フ」とされており(旧877条第2項)、父を第一順位の親権者・母を第二順位の親権者としていた[15]

父母の意見が一致しない場合につき日本の民法は規定を置いていないが、ドイツ民法にはこのような場合に備えて父母の一方に決定権限を与える場合について定めた条文がある(ドイツ民法第162条)[14]。日本では819条第5項の規定を類推適用して解決すべきとの見解がある[14]

実親子関係の場合
子の実父母が共同して親権を行使する(818条第3項本文)。ただし、後述のように一方が親権を行使できないときや両親が離婚したときには単独親権となる。

養親子関係の場合

子が養子であるときは、養親の親権に服する(818条第2項)。したがって、実親の親権からは離脱する[15]。通常、養子は養親と共同生活しており、実親とは生活の本拠を異にするため、子の親権についても養親が責任を持って行うべきとされるためである[16]。普通養子縁組が成立した場合の親権の法的構成については、実親の親権は消滅するとみる説が多数説であるが、実親の親権は消滅せず行使することができない状態になるにすぎないとする説もあり学説は分かれる(なお、特別養子縁組の場合には実親子関係は切断されるので実親の親権は消滅する)[17]。なお、転縁組の場合には養子は第一の養親の親権を離脱して第二の養親の親権に服することになる[17]

現在の法制では養子縁組について夫婦による共同縁組を原則としており(795条本文)、親権についても原則として養父母による共同親権となる(818条第3項本文、昭24・2・12民事甲194号回答[17]。養親が養子の実親の配偶者である場合には実親と養親の夫婦での共同親権となる(実務。夫婦の一方が配偶者の親権に服する子と養子縁組した場合につき昭23・3・16民事甲149号回答、単独親権であった養親が実親と婚姻した場合につき昭25・9・22民事甲2573号通達)[18][16]。解釈上、婚姻により夫婦となった者の一方が他方の嫡出子と養子縁組した場合(養親となった場合)にも養親と実親との共同親権となる[19]。なお、特別養子縁組の場合には明文規定がある(817条の9但書)。

養親との離縁の場合
養子と養父母の双方と離縁となった場合には実父母の親権が回復するのであり後見は開始しない[20]。811条2項から4項、818条第2項及び第3項は離縁の場合に実親の親権が回復することを前提としている[19]。なお、現行の民法では養親が夫婦である場合において未成年者の養子と離縁するには夫婦が共に離縁することを原則としている(811条の2を参照)。この場合に実父母が離婚している場合には818条第3項の規定によって親権者を定める[19]。特別養子縁組の場合には原則として離縁は許されないが(817条の10第2項・第1項)、離縁となった場合には実親の親権が復活する(817条の11)。養父母の一方が死亡あるいは離婚により単独親権となった場合で、その後、養子が単独親権をもつ養親と離縁した場合には、後見が開始されるとする説(実務)と実親の親権が回復するとする説がある[21]。養親と実親による共同親権の場合(配偶者の前婚の子が後婚の他方配偶者の養子となった場合など)に、養親子が離縁した場合には実親の単独親権となる(実務。昭26・6・22民事甲1231号回答)[19]

養親の離婚の場合
養親と実親による共同親権の場合(配偶者の前婚の子が後婚の他方配偶者の養子となった場合など)に、両親が離婚した場合には養親の単独親権となるとする説と通常の離婚と同様に親権者を定めることを要するとする説(多数説・実務。昭25・9・22民事甲2573号通達)とがある[21][19][22]

共同親権の例外

以下の場合には母または父の一方による単独親権となる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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