消費者と開発者の立場によって、長所にも短所にもなる。 民生市場について記す。太字の項目は、商業的・歴史的にみて勝利したといえるもの。細い文字は引き分け、もしくは敗北。
消費者にとっては、選択した規格が負けた場合、その規格に対応する機器や媒体、ソフトウェアが次第に入手しにくくなって、いずれ使えなくなる。その規格で記録した情報にアクセスできなくなるばかりか、費やした費用が無駄になったり、「勝った規格」の機器を買い直す必要もあり[注釈 1]、最悪の場合、「負けた規格」で記録した情報を「勝った規格」への移行さえできない場合もある[注釈 2]。また、それを回避するために、大勢が決まるまで買い控えが発生する。
規格同士での競争があるため、規格自体の機能向上が期待できる。同時に、当事者の企業は多くの投資を余儀なくされ、低価格化しにくい。しかし、一方では規格争いで主導権を握るために開発者が原価割れ覚悟の低価格戦略に出ることにより、かえって低価格化が速く進むこともある。
選択していた規格が負けてしまった企業は、最終的には二重投資を承知の上で勝った規格へ転換するか、撤退かの二者択一を求められる。また製品の場合製造物責任法(PL法)により、製造終了後から数年間は修理・消耗品販売・製品回収などの責任を負うことが義務付けられている[要出典]ため、「負けた規格」を購入した消費者に対するアフターサービスも必要となる。
消費者にとって、「勝った規格」と「負けた規格」においての変換アダプター[注釈 3]または変換ソフトウェアや、双方の規格に両対応した製品[注釈 4]を導入する必要性が出てきて、消費者の二重投資になる可能性がある。
開発者にとっては、ニーズによってハードウェアであれば複数の規格に対応した機器を製造する必要があり[注釈 5]、ソフトウェアであれば複数の規格に対応したコーデックで開発する必要があり、二重投資が必要になり、その結果、製品価格の上昇につながりかねない。
ソフトウェア開発分野において、開発環境が違う複数の規格をサポートする必要性が少なからずあるため、当該ソフトウェアの特定プラットフォームにおいて不具合が発生するリスクが多くなる。
主な規格争い
家電機器
ビデオ関連規格(ビデオ戦争の項目も参照)
ビデオテープレコーダ:VHS対ベータマックス
映像ディスク:LD対VHD
小型ビデオテープ:8ミリビデオ対VHS-C
デジタルビデオテープ:DV対D-VHS
映像ディスク:Super Density Disc対MultiMedia Compact Disc - 製品化前にDVDとして統一。
DVD関連規格
DVD フォーラム規格(DVD-)対DVD+RW アライアンス規格(Plus, DVD+) - 下記参照
DVD-RW対DVD-RAM - ただしほとんどのパソコン書き込み型DVDドライブはハイパーマルチであり、いずれも使用できることがほとんどである。
記録型映像ディスク:DVD-RAM/RW対MVDISC
第3世代光ディスク:BD対HD DVD
オーディオ関連規格
レコードの形状:円筒型(フォノグラフ)対円盤型(グラモフォン)
1877年にトーマス・エジソンが発明した円筒型レコード(フォノグラフ)と、1887年にエミール・ベルリナーが発明した円盤型レコード(グラモフォン)が競合したが、プレスによる量産が可能でありまた保管にも幅をとらないという利便性からグラモフォンの人気が高まり、フォノグラフは衰退していった。
レコードの回転数:LP盤(33回転)対EP盤(45回転)対SP盤(78回転)
民生向けテープレコーダー(テープデッキ)用ノイズリダクション:ドルビーNR(米ドルビーラボラトリーズ。B・C・S)対ANRS(日本ビクター〈現・JVCケンウッド〉。