覆面作家
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出版社の社員が自社雑誌に小説を掲載しても、会社の規定により社員の名義では原稿料が支払われないことから、原稿料を貰うためにペンネームを使ったせいで、正体が明かせなくなる例。

メインの仕事がいわゆるゴーストライターであるため、素性を広く知られると出版業界内での活動にも支障を来たす例。

描いている作品の内容がセンシティブなものであるため、自分の家族や知人に作者であることを知られたくない(特に性描写を含む成人向け作品や、反社会的な作品の場合)。

家族との不和がある、あるいは家族の性格や経済面に問題がある(例えば異常な浪費癖)などの理由から、自身が作家活動をしていることや作家としての収入があることを近親者からも隠す目的。

また、作家自身に当初はそのつもりはなかったものの、以下のような都合から結果として、事実上の覆面作家になってしまうケースもある。

デビュー当初はプロフィールを伏せていて、その後公表するタイミングを逸したまま知名度が上昇した。

デビュー当初からプロフィールを隠すつもりはなかったが、その後も公表する機会がなかなか得られなかった。

デビュー当初は出版社の意向でプロフィールを伏せたが、そのまま覆面作家として人気が沸騰してしまい、話題性などの商業的事情からプロフィールの公開が難しくなってしまった。

デビュー当初は成人向けの専門であったなどの事情から、一般向け(少年誌、青年誌など)に転じて以降も出版社側からの配慮や要請があり、プロフィールの公開ができない、あるいは公開させてもらえない。

複数の作家が共有筆名で1人の覆面作家になることもある。
個人情報

先に述べた通り、覆面作家は基本的に本名を伏せペンネームを使用しており、その顔・素性・経歴なども明らかにしておらず、世間から見たその人物像は謎に包まれている。

なお、覆面作家の正体や個人情報については、覆面作家も確定申告納税を行う都合、出版業界以外でも公認会計士税理士や、自治体国税関係の税務担当職員らに本名や住所を開示する必要があるため、同時に職員がそれらの個人情報を把握することになる。ただし、それらの情報は極めて重要な個人情報として、職員に厳しい守秘義務が課せられており、諸規則の手前からは2005年まで存在した高額納税者公示制度を除けば、脱税などの捜査刑事告発で個人情報の開示を命じる場合、または情報漏洩でもない限りこれらから素性が明らかにされることは有り得ない。
覆面作家の例(元覆面作家を含む)

グレッグ・イーガン

ロード・オーシュ - ジョルジュ・バタイユの変名

アンリ・ミショー

ロートレアモン伯爵 - イジドール・デュカスの変名

ヤスミナ・カドラ

A・J・クィネル

ハリー・クレッシング - 弁護士、経済学者ハリー・アダム・ルーバーの変名

トー・クン - ジャック・ギルバートとジーン・マクリーンの合作用の変名

ミッキー・スピレイン

コードウェイナー・スミス

ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア - 1977年に女性である事が発覚した際、アメリカSF界に「ティプトリー・ショック」と呼ばれる衝撃を与えた

C・L・ムーア

ヤン・デンマン - 齋藤十一と田島一昌がオランダ人を装ってコラムを書くために使った変名

トレヴェニアン - 大学教授、映画研究家ロドニー・ウィリアム・ウィテカーの変名

イザヤ・ベンダサン - 山本七平ユダヤ人を装って評論を書くために使った変名。著書「日本人とユダヤ人」は当時のベストセラーになったが、一方でマスコミによる正体暴きも騒ぎとなった。

モーゼス・ベン・ヨハイ - 飛鳥昭雄がユダヤ人を装って評論を書くために使った変名

ポール・ボネ - 藤島泰輔がフランス人を装って評論を書くために使った変名

アンディ・マクナブ

パオロ・マッツァリーノ

バンクシー

モルデカイ・モーゼ - 久保田政男がユダヤ人を装って評論を書くために使った変名

ピエール・モリオン - アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグの変名

ポーリーヌ・レアージュ - ドミニク・オーリーの変名


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