西村博之
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そのうえで深見は、ひろゆきについて「インフルエンサーという立場と影響力を悪用し、妄想を根拠にして相手を攻撃する人物」「今や、ひろゆき自身が2ちゃんねるであり、2ちゃんねる的な文化、いわゆる『CHANカルチャー』が、社会を巻き込んで新たな姿を形作っている」として警鐘を鳴らしている[39]
西村博之への捜査に関する未来検索ブラジル社の国家賠償請求訴訟

2011年11月24日から2012年12月3日にかけて「2ちゃんねる」(2ch.net) で覚醒剤の購入を持ちかける違法な書き込みと、遠隔操作ウイルス事件に関連する書き込みがあったという理由から、2012年3月に警視庁は麻薬特例法違反(あおり・唆し)のほう助容疑を名目にひろゆきの自宅とひろゆきが取締役を務める有限会社未来検索ブラジルおよび「ガジェット通信」を運営する東京産業新聞社の家宅捜索と差し押さえを行った[87]

2013年2月、両社はひろゆきが2009年1月に2ch.netの事業をシンガポールの会社に譲渡し、管理人を退いたことを明らかにしているにも関わらず、ひろゆきや未来検索ブラジルを家宅捜索と差押さえしたことに対し、違憲・違法として、東京都と大阪府を被告とした国家賠償請求訴訟を提起した[78]

2016年、東京地裁は未来検索ブラジルが2ch.netと「深く関与」していたとみなし、同社側の全面敗訴といえる判決を下した。その後、未来検索ブラジルは東京高裁最高裁判所にそれぞれ上告したが、いずれの請求も棄却された[80]
2ちゃんねるの管理権限紛争詳細は「#2010年代―2ちゃんねるの管理権限紛争と4chan管理人への就任」を参照

ひろゆき(東京プラス社)は2ちゃんねるの所有権を明らかにするため、ジム・ワトキンス(N.T.Technology)を相手取り裁判を起こしていた。ジムは地裁で敗訴するが、2019年4月の東京高裁の判決でジム側に所有権が認められた。その後、ひろゆきは最高裁に上告するも棄却。
2ちゃんねるの商標権をめぐる損害賠償請求訴訟

ひろゆきは2ちゃんねるの所有権や管理権をめぐる紛争とは別に商標権をめぐる損害賠償請求をRace Queen Inc.(代表:ジム・ワトキンス)に起こしている。これは、ひろゆきが所有する「2ch」「2ちゃんねる」の商標権をジムが運営する「Race Queen Inc.」が2014年のサイト乗っ取りから2017年にサイト名を改称するまでの間、不当に侵害していたとして損害賠償1億7500万円、およびドメイン名の使用を中止するまで月額500万円を支払うように求めたものである[134]

なお、この裁判ではジム側の証人として、当時の2ちゃんねる関係者がサイトの運営実態にまつわる貴重な証言を行っており、たとえば、ひろゆきに代わり2ちゃんねるの管理運営を実質的に行ってきた(本人曰く「この世の誰よりも熱心に2ちゃんねるにかかわってきた」)株式会社ゼロの中尾嘉宏(ハンドルネーム「FOX★」「夜勤」で知られる)は、2ちゃんねるが転送量増大でサーバーが落ちかけたのをUNIX板の住人が救った2001年の「8月危機」について「事実と異なる部分が多数あります」とし、実際はジムと提供してきたサーバーが広告料の見返りに合わず、サーバーを落としていったのが実情だと陳述書の中で述べている[134]。ジャーナリストの清義明は、この裁判について「双方ともに背に腹は代えられないのであろう。裁判記録を読むと、2ちゃんねるの運営実態について、西村氏側とジム・ワトキンス氏側がそれぞれ赤裸々な運営実態を明らかにしている。2ちゃんねるを実際に所有していたのは誰であるかを、裁判の趣旨にあわせて明らかにしなければならないからだ。商標権裁判はまさしく、2ちゃんねる乗っ取り事件裁判の“第二ラウンド”になっている」と指摘している[134]

2019年12月24日、東京地裁は、ひろゆきが「2ch」「2ちゃんねる」の商標登録を出願した2013年以前から「Race Queen Inc.」が別の法人とともに2ちゃんねるの運営をおこなっており、2ちゃんねるの名称を周知の状態にしていたと判断すると共に、2012年にパケットモンスター社から運営事業を承継したと認定[266]。「Race Queen Inc.による先使用権が認められる」として商標権侵害を否定する判決を下した[267]。これに伴い、Race Queen Inc.のTwitterアカウント(@RQueeninc)は「西村博之の請求は棄却された。また2ちゃんねるの商標法上の先使用権が認められるとともに、Race Queen Inc.が2ちゃんねるの正式な管理者であったことが認定された。Race Queen Inc.として、法と正義に則った東京地方裁判所の判決を歓迎する」という趣旨の発表を行った(このアカウントは現在凍結されている)[268]

しかし翌2020年、Race Queen Inc.が「2ちゃんねる」の名称を使うことを禁ずる判決が出た。もっとも、この判決では「2ちゃんねる」の名称差し止めは認められたが、それ以外の損害賠償請求は棄却されたため、これを不服としたひろゆきは判決直後に控訴した。

2023年1月26日、知的財産高等裁判所は「2ちゃんねるの名称が全国の利用者に広く認識された2006年時点において、掲示板の運営主体はひろゆきであった」と認定し、損害賠償請求を退けた一審判決を変更。ひろゆきが2ちゃんねるから排除された2014年2月19日からサイト名が「5ちゃんねる」に変更される2017年10月1日まで同掲示板でひろゆきが得るはずだった43ヶ月分の広告収入を月額500万円と算定し、Race Queen Inc.に2億1700万円の支払いを命じた[266]

この裁判について、YouTubeの視聴者から「2ちゃんねるはすでに高齢化してウェブサイトとしての需要も低いと思いますが、いらないんじゃないですか。長期間続く裁判を続けてまで2ちゃんねるを取り戻したい理由を聞きたいです」というスパチャに「裁判を始めちゃったので結果がどうなるかが知りたいという、好奇心のほうが多かったりしますね」と答えている[269]
評価
匿名掲示板の運営者として「4chan」および「8chan」も参照Qアノンを拡散し、米連邦議会襲撃を扇動したとされる英語圏の匿名掲示板「8kun」は、2ちゃんねるの公式姉妹サイトであり、ひろゆきの元ビジネスパートナーであったジムによって運営されている。ちなみに前身の8chanは「ヘイトの肥溜め」「一線を越えた」としてCloudFlareからサービスを強制的に打ち切られた[270][271]。ひろゆきはネット掲示板「2ちゃんねる」を1999年に開設し、日本のネット文化を象徴する存在として熱狂的な支持を得るようになった。ひろゆきにヒントを得た起業家のクリストファー・プールが、2ちゃんねるそっくりな「4chan」を開設するより前から、ひろゆきは若者を中心にした多くの日本人たちに匿名で率直に、無遠慮に話す自由を与えていたのである。その自由さゆえに、極右や反フェミニズム、反韓、政治的にアイデンティタリアン(伝統と文化を固守する運動)といった特殊性を帯びた、皮肉いっぱいでアニメにどっぷり浸かったサブカルチャーが形成されたのである。破壊的ともいえるその才能が、ほかの点では保守的な日本のメディア文化において、ひろゆきを魅力的な人物に祭り上げた[272]

ひろゆきが匿名掲示板の運営で成功した理由に関して、米ニューヨーク・タイムズ紙は「倫理観が欠如しており、社会的制限を取り払おうとする考えを誇っている。尋常ならざる厚顔無恥だから、ほぼ完全な無敵の力がある。これは一種の超能力だ」と評している。また同紙は「アメリカでは、彼の所有するウェブサイト大量虐殺憎悪犯罪につながっている。しかし、彼は日本だとスターとして扱われている」「ひろゆきは、社会に幻滅した日本の若者の代弁者として有名になったが、彼自身は悪名高い4chanのオーナーであることを公の場で語りたがらない」と指摘した[159]。その上で同紙は、ひろゆきが取材協力を拒否したことを明かしている[159]。ルポライターの清義明は、ひろゆきが4chanのことをあまり語りたがらないのは、4chanから派生し、「インターネットの最も暗い場所」を自称するアメリカ合衆国匿名画像掲示板8chan」(現・8kun)を運営しているジム・ワトキンスが、2014年のゲーマーゲート事件以降、自らのプラットフォームで醸成されたQアノン陰謀論や、100人もの死傷者を出したクライストチャーチモスク銃乱射事件をはじめとする数々の銃乱射事件の管理責任を問われ、米国連邦議会の公聴会にも呼ばれており、4chanもまたその一端を担ったとして訴追される可能性が出てきているためと指摘している[273]。実際、4chanの悪名は英語圏で高まり続けており、たとえばYouTubeチャンネル『日経テレ東大学』で頻繁に共演していた成田悠輔の「集団自決発言」が2023年2月に各国メディアから批判を受けた際には、「成田はしばしば、ひろゆきや堀江貴文などX世代扇動家と一緒に登場する」「ひろゆきは著名な実業家で、インターネット上で最も有毒なアイデアが生まれるオンライン掲示板『4chan』を運営している」と米ニューヨーク・タイムズ紙に紹介された例がある[274]


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