西村博之
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さらには自社に不満を持つ一部の職員による内部告発や自社バッシングなど「自己批判」を招く異様な事態となった[69]

2001年8月28日、東京地裁(野口忠彦裁判官)は計20カ所の書き込み削除をひろゆきに命じた。これはパソコン通信を除くインターネットの電子掲示板を舞台とした名誉毀損に関する初の判例である[69]。この出来事について井上トシユキは次のように総括している。審尋が始まった当初、「日本生命の主張が通れば、同様の申し立てが他の企業、個人から頻発することは間違いない」との見方があった。これに対しては、もともと自由なコミュニケーションのツールであった電子ネットワークが、権力者や商業の都合に絡め取られる端緒になるのではないかということから、表現(報道)の自由やメディアリテラシーの問題として、安易な削除命令が出されることを危惧する声も挙がっていた。そうした意味で、今回の決定は喧嘩両成敗的なものであり、「冷静な判断だった」と評価する意見もあれば、不満を述べる向きもある。いずれにせよ、経験はまだこれから蓄積される。電子ネットワーク上に広がる世界を、どちらが表でどちらが裏かということではなく、現実世界と共生し並び立つ存在にまで育てていくのは、他でもない各々のユーザー自身である。誰もが自ら持ついくつかの社会的存在としての側面のそれぞれから、「2ちゃんねる」やその他の電子ネットワーク上のサイトを冷静に観察し、評価し、知恵を出しあって、少しずつ意見や価値を共有していくことで、それが可能になるだろう。そう、それはまさにコミュニティ=社会の生成そのもののプロセスなのである。 ? 井上トシユキと神宮前.org『2ちゃんねる宣言 挑発するメディア』(文藝春秋, 2001年) - 「事件とネット時代のメディアリテラシー」pp.185-186
動物病院名誉毀損判決

2002年6月26日(事件番号:平成13年(ワ)15125号)
プロ麻雀士名誉毀損事件

2003年6月25日、女性プロ麻雀士が、2ちゃんねる上の中傷書き込みを巡って、管理人のひろゆきに対して約600万円の損害賠償を起こした事件の判決が東京地裁であった。大橋寛明裁判長は「要請されても記載を削除するなど送信防止措置を講じておらず、違法だ」として、100万円の損害賠償請求、および違法な書き込みの削除を命じた[254]
DHC名誉毀損判決

2003年7月17日、2ちゃんねる上の中傷書き込みを巡って、化粧品会社のDHC吉田嘉明社長(当時)が6億円の損害賠償をひろゆきに求めた事件の判決が東京地裁であった。斎藤隆裁判長は「削除を求めた仮処分申立書の送達を受けてから、中傷の書き込みを2ヶ月半も放置した」として吉田社長に100万の慰謝料と、DHCに300万円、計400万円の損害賠償請求を認めた[255]
DHCメルマガ名誉毀損事件

2003年7月17日(事件番号:平成14年(ワ)8603号)2003年9月3日(事件番号:平成14年(ワ)12825号)

ひろゆきが自ら「DHCは食品に枯葉剤を入れたりと、なかなかチャレンジャーな会社」などと配信したメールマガジンで名誉を傷つけられたとして、東京都港区にある化粧品会社「DHC」がひろゆきに1億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が2003年9月3日、東京地裁であった。大橋寛明裁判長は「真実ではない内容でDHCの信用を著しく損なった」として700万円の支払いを命じた[256]
情報開示命令無視による制裁

2004年5月、ジャーナリストの寺澤有らが2ちゃんねる上の中傷書き込みをめぐって起こした訴訟で、東京地裁はプロバイダ責任制限法にもとづき、管理人のひろゆきに発信者情報の開示を命じた。しかし、ひろゆきが東京地裁の命令に従わなかったため、8月27日までに東京地裁(鬼沢友直裁判官)は、ひろゆきに1日3万円の制裁金を科すことを認めた[257]
女子プロゴルファー名誉毀損事件

2006年10月25日、当時20代の女性プロゴルファーが、2ちゃんねる上の中傷書き込みを巡って管理人のひろゆきに対して民事訴訟を起こした事件で、東京地裁は100万円の損害賠償、違法な書き込みの削除と発信者の情報開示を命じた。削除依頼を求めても応じなかったことによる提訴だった[258]
大阪歯科医院

2004年大阪市で歯科医院を経営する医療法人(京都市)と事務長が、管理運営者のひろゆきに損害賠償などを求めた訴訟の判決で大阪地裁は2004年4月22日、請求通り計200万円の支払いと書込の削除、発信者の情報開示を命じた。森広司裁判長は「侮辱的な表現が用いられ公益を図る目的がないことは明らか」と述べた[259]
富士ハウス株式会社訴訟

2005年3月22日(事件番号:平成15年(ワ)11242号)

静岡県の住宅販売会社「富士ハウス株式会社」(2009年1月倒産)は、「暴利をむさぼる悪徳会社」などと書き込まれたとして、1000万円の賠償などを求め、東京地裁に提訴した。東京地裁は2005年3月22日、50万円の損害賠償を命じた。
株式会社X訴訟

2007年5月11日(事件番号:平成19年(ワ)733号)

株式会社Xは、名誉を毀損する発言が書き込まれたとして、損賠賠償請求、記事の削除請求、発信者情報の開示請求を求め東京地裁に訴訟した。東京地裁は、100万円の損害賠償と「2ちゃんねる」と題する電子掲示板における別紙発言目録記載 の文言を削除を命じた。
北海道の大学助教授

2006年、掲示板で「狂人」などと中傷された北海道の大学助教授、有道出人は札幌地裁支部で書込の削除と220万円の賠償を命じる判決を勝ち取った。だが有道はひろゆきの個人資産220万円分の所在を司法執行官に示すことができず、結局「取りはぐれ」ている[260]
学園が名誉毀損で告訴

2007年、神奈川県小田原市で不登校の子どもが通う学園を運営する学校法人「湘南ライナス学園」(吉崎真里学園長)が、書き込んだ人物を被疑者不詳のまま名誉棄損等で県警小田原署に刑事告訴していたことがわかった。告訴状は2005年12月から2006年10月にかけて、不特定多数の人物が中傷や嘘の書込をし、同学園の信頼や吉崎学園長の名誉を損なったとしている。書込は2000件以上に上り、退学者や入学予定者の辞退が相次いだ[261]
空手道場を経営の男性

2007年、掲示板に道場を中傷する書き込みを削除せずに放置したため名誉を傷つけられたとして、山形市内で空手道場を経営する男性が2007年8月7日、ひろゆきに対し、慰謝料など320万円の損害賠償を求め、山形地裁に提訴した[262]
栃木県内の中学校で数学科を担当する教師

2008年10月16日(事件番号:平成20(ワ)17072号)

栃木県内の中学校で数学科を担当する教師は、自身を誹謗中傷する記事について掲示板の管理者であるひろゆきに削除依頼を行ったものの、削除対象を完全には削除できなかったことに関して、原告が記事の削除を求めているのに被告がこれを怠っているとして、慰謝料等の支払い、記事の削除及び記事を記載した発信者情報の開示を求めた。東京地検は、2008年、50万円の損害賠償を命じた。
新潟の弁護士が2ちゃんねるから損害賠償を回収

2010年4月、新潟の弁護士事務所が2ちゃんねるに対する損害賠償金の取り立てに成功したことを事務所HPで報告した[263]
未来検索ブラジル元社長の深水英一郎がひろゆきから損害賠償を回収

2021年、未来検索ブラジル元社長の深水英一郎は、ひろゆきに対し、損害賠償訴訟を東京地裁に提訴した。ひろゆきが『ニコニコ超会議2019』で「深見は会社の資金を横領した」など根拠不明な妄言をおこない、それにより名誉を傷つけられたためである。裁判では、ひろゆきの主張は全て却下され、深水英一郎が全面勝訴した。結果、東京地検は60万円の損害賠償を命じ、ひろゆきは60万2525(ニコニコ)円を支払った[264]

なお、ひろゆきが自らの意志で賠償金を支払ったのは、これが初とされる[264]。深見によれば、ひろゆきが賠償金を支払ったのは民事執行法と財産開示手続の強化により、賠償金を支払わずに逃げ続ければ刑事罰を課されるようになったためとしている(そもそも、この法改正は、ひろゆきの司法に対する挑発的な発言に刺激を受けて行われたもの、とする指摘もある)[265]。そのうえで深見は、ひろゆきについて「インフルエンサーという立場と影響力を悪用し、妄想を根拠にして相手を攻撃する人物」「今や、ひろゆき自身が2ちゃんねるであり、2ちゃんねる的な文化、いわゆる『CHANカルチャー』が、社会を巻き込んで新たな姿を形作っている」として警鐘を鳴らしている[39]
西村博之への捜査に関する未来検索ブラジル社の国家賠償請求訴訟

2011年11月24日から2012年12月3日にかけて「2ちゃんねる」(2ch.net) で覚醒剤の購入を持ちかける違法な書き込みと、遠隔操作ウイルス事件に関連する書き込みがあったという理由から、2012年3月に警視庁は麻薬特例法違反(あおり・唆し)のほう助容疑を名目にひろゆきの自宅とひろゆきが取締役を務める有限会社未来検索ブラジルおよび「ガジェット通信」を運営する東京産業新聞社の家宅捜索と差し押さえを行った[87]

2013年2月、両社はひろゆきが2009年1月に2ch.netの事業をシンガポールの会社に譲渡し、管理人を退いたことを明らかにしているにも関わらず、ひろゆきや未来検索ブラジルを家宅捜索と差押さえしたことに対し、違憲・違法として、東京都と大阪府を被告とした国家賠償請求訴訟を提起した[78]

2016年、東京地裁は未来検索ブラジルが2ch.netと「深く関与」していたとみなし、同社側の全面敗訴といえる判決を下した。その後、未来検索ブラジルは東京高裁最高裁判所にそれぞれ上告したが、いずれの請求も棄却された[80]


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