西日本旅客鉄道
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鉄道の営業エリアは山陽新幹線の全区間、北陸新幹線上越妙高駅 - 敦賀駅間および、近畿圏、北陸、中国地方の大部分と信越地方福岡県の一部の在来線であり、総営業キロ数は4,897.5 km[注釈 6][注釈 7][注釈 8]、駅数は1,150駅[12]、社員数22,715人(JR西日本単体)[2] と日本の鉄道事業者では、それぞれ東日本旅客鉄道(JR東日本)に次いで多い。連結売上のうち鉄道などの運輸部門は約5割を占め、残りは流通業や不動産業などの非鉄道部門である[13]
経営環境と経営戦略

JR西日本は自社の鉄道路線網を新幹線近畿圏在来線アーバンネットワーク)、北陸や中国地方など近畿圏以外の在来線の3つに大別している[8]。新幹線と近畿圏の在来線で、運輸収入の約9割を占める[13]

近畿圏のうち、日本の三大都市圏の一つに位置づけられる京阪神地区(関西エリア)の輸送では、「私鉄王国」と称されるように阪急電鉄阪神電気鉄道(阪神電鉄)、近畿日本鉄道(近鉄)、南海電気鉄道(南海電鉄)、京阪電気鉄道(京阪電鉄)、山陽電気鉄道(山陽電鉄)など多くの私鉄が存在し、JR西日本はこれら関西私鉄各社と競合関係にある一方で、利用距離や目的地によって棲み分けがなされ、振替輸送フリーきっぷなどの発売、私鉄各社でのICOCA・ICOCA定期券の発売などで協調関係にある。山陽新幹線における都市間輸送では航空機と競合関係にある。山手線を中心とする首都圏の在来線ネットワークを持つJR東日本や、ドル箱路線である東海道新幹線を擁する東海旅客鉄道(JR東海)と比較すると、京阪神地区は強力な私鉄路線が並行し、山陽新幹線に関しては東海道新幹線の半分ほどの需要しかなく、さらに中国・北陸地方には在来線に多数の赤字ローカル線を抱えていることから、JR本州3社の中では経営基盤は比較的弱いとされている[14][15]。ただし北海道旅客鉄道(JR北海道)、四国旅客鉄道(JR四国)、九州旅客鉄道(JR九州)のいわゆる「三島会社」と比較すると売上規模も大きく、経営は安定している。

JR西日本では発足直後から、大阪駅を中心とする近畿圏(関西エリア)の近郊路線を「アーバンネットワーク」と称して運行系統ごとに路線愛称の設定、221系電車などのJR発足当時最新型の近郊車両の導入、東海道山陽本線琵琶湖線JR京都線JR神戸線)の複々線を最大限に利用した在来線列車の増発やスピードアップ、特にJR西日本の看板列車である新快速の運行本数・区間の拡大などに取り組み、沿線人口の多い関西エリアに重点的に投資を行うことで収益力を強化してきた。また「三都物語」キャンペーンを実施し、沿線ブランドの形成を図ってきた[注釈 9]

現状では、利用状況と収益性の観点から山陽新幹線や(北陸新幹線敦賀延伸までは)北陸本線特急と近畿圏の路線(アーバンネットワーク)を中心に設備投資しており、近畿圏の路線と地方路線ではかなり差別化している(「車両」の節を参照)。広島地区の路線(広島シティネットワーク)では2015年山陽本線などに227系電車が投入されるまで、1987年のJR発足から約30年間新車が投入されず、岡山地区などその他の中国地方の路線では未だに国鉄時代からの車両が大半を占めている[16]。また、近畿圏であっても国鉄時代からのドル箱路線であり、さらに直接の競合路線が存在しないことから特段の差別化を必要としなかった大阪環状線に関しては、2013年に「大阪環状線改造プロジェクト」が開始されるまで、新車導入や駅への設備投資が私鉄各線との競争が激しかったJR神戸線やJR京都線などと比べるとかなり遅れることとなった。

2008年から2012年にかけての中期経営計画[17] においては、「持続的発展に向けた事業戦略の推進」として「山陽新幹線の輸送サービス」と「京阪神エリアにおける線区価値の向上」を重点分野として明確に打ち出す一方、10年から15年後を見据えた「長期的視点からの経営構想の構築」におけるローカル線にかかる取り組みとして「ローカル線の設備、システムのダウンサイジング」や「〈バス、デュアル・モード・ビークル (DMV) 等への輸送モードの転換も含めた〉地域にとって最適な形の輸送サービスの提供」を経営の方向性として打ち出している。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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