西日本旅客鉄道
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在来線車両は、221系電車が新設計された際に打ち出された「明るく静かで快適な車両」または「明るく静かで快適な乗り心地」というコンセプトによって製造されている[166]。このように、アーバンネットワークでの新車投入を優先したことから在来線特急列車の新造投入は1992年(681系)と、JR6社の中で最も遅い。

アーバンネットワーク以外の中国・北陸地域では、他社との競合路線があまりない上、厳しい経営環境を反映して、国鉄から承継した103系201系105系113系115系457系の各電車やキハ40系気動車などの車両に40年から50年程度の使用を見据えた延命工事や観光列車化改造を施して使用している例が多い[注釈 21]。JR西日本が投入した新製一般型車両で地元負担を伴わない(JR西日本独自の判断で導入した)車両は非電化ローカル線の体質改善用に1991年から1995年にかけて管内ほぼ全域に投入されたキハ120形気動車(89両)と、瀬戸大橋線の快速「マリンライナー」用として2003年に岡山地区に投入された223系5000番台(14両)[注釈 22] の2系列103両にとどまっており、例えば広島市は人口100万人を超える政令指定都市であるにもかかわらず、広島地区(広島シティネットワーク)では国鉄民営化以降2015年に新型車両(227系)が投入されるまで国鉄時代からの車両で占められていた。同様に政令指定都市である岡山市がある岡山地区は快速「マリンライナー」を除き、ほぼ全て国鉄車両であるが、2023年から227系に置き換える予定であり、最後の国鉄型電車特急となった伯備線の「やくも」の381系も2024年春から273系に置き換える予定である。一般形気動車については約6割が国鉄時代に製造されたキハ40系列を占めており、先述のキハ120形を除くと、2000年から2003年にかけて山陰地区に投入されたキハ121・126系と2008年・2009年に姫新線向けに投入されたキハ122・127系の2例しかなく、JR東日本やJR九州と異なり、蓄電池式電車の導入計画もない。

2010年代以降はアーバンネットワークでの車両新造投入が一通り完了した一方で、他地区では車両の老朽化が著しくなったため、北陸地区の419系・475系・457系・415系置き換えを目的に配備された521系(2009年以降配備の2次車・3次車の98両、2020年以降配備の七尾線向け30両)、広島地区の115系置き換えを目的に配備された227系(2014年以降の5年間で276両投入[110])など、JR西日本の経営判断に基づく地方線区向けの新製車両も登場している。

また、京阪神地区でも一部で国鉄車両が残存しており、大和路線関西本線)・奈良線加古川線播但線では2023年6月時点でも国鉄車両が運行されている。福知山線では2015年まで、大阪環状線桜島線では2019年まで[注釈 23]阪和線では2020年3月、おおさか東線では2022年3月、草津線・湖西線では2023年4月まで国鉄車両が運行されていた。大和路線の国鉄車両201系は221系への置き換えにより2024年度までに運行を終了する予定である[167]

かつてはJR旅客6社で唯一、自社が保有する営業車両が他のJR旅客5社すべてに乗り入れている会社であったが、2015年に臨時寝台特急「トワイライトエクスプレス」が廃止されたため、JR北海道への乗り入れはなくなった[注釈 24]。その他4社へはその後もJR西日本が保有する営業車両が乗り入れている[注釈 25]。他社エリアの都道府県では、東海道新幹線および在来線で岐阜県、愛知県、静岡県、神奈川県、東京都に、在来線で香川県に、北陸・九州新幹線でさらに群馬県、埼玉県、佐賀県、熊本県、鹿児島県に乗り入れている。JR旅客6社の中で自社車両が乗り入れる他社エリアの都道府県の数はJR西日本が最も多い。

車両は大部分が近畿車輛川崎重工業にて製造されており[注釈 26]、一部に日本車輌製造[注釈 27]日立製作所[注釈 28]新潟トランシス[注釈 29] 製が存在する。電車の制御装置は三菱電機東芝製が大多数を占め、一部に日立製作所東洋電機製造製のものが存在する。気動車のエンジンは小松製作所のSA6D125系・SA6D140系を標準としている。なお、JR西日本では電車の制御装置や台車には社内形式が存在するものの、ディーゼルエンジンに社内形式を付与していない。

また、他のJRグループと共同で車両開発することも多く、JR東海とは東海道・山陽新幹線用700系N700系および寝台特急用の285系を、JR九州とは九州新幹線直通用のN700系を、JR東日本とは北陸新幹線用のW7系(E7系)をそれぞれ開発している。

マスター・コントローラーは221系以降、関西の私鉄・地下鉄と同様の横軸ツインレバー式を採用している。新幹線500系もこの方式を踏襲しており、新幹線電車では唯一の事例となっている。

221系以来、在来線車両の所属表記は妻面に記される(新幹線車両と同じ)のが通例であったが、521系3次車・227系以降は国鉄時代や他のJR旅客会社と同じように側面に記されるようになり、207系は体質改善工事で所属表記の位置を移動している。


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