西の丸
[Wikipedia|▼Menu]
江戸時代には、武家諸法度によって城郭の増築が原則として禁止されたので、岡山城の後楽園のように出丸の機能を併せもつ大規模な庭園が築造されるようになった。

馬出(うまだし)
虎口#馬出」も参照篠山城東門外に残る馬出跡虎口の前面に配置される小曲輪[注 2]である。単純に敵の虎口への侵入を困難にする目的の他に、虎口を敵から直接見えないようにして味方の動向を隠す、さらに一種の射撃陣地として虎口の防御を有利にする。また小部隊の駐屯施設として城内からの出撃にも用いられる。土塁を築いただけの曲輪とは言いがたい小さなものから、名古屋城篠山城広島城のように巨大なものまで存在する。大きく分けて半円形のものを「丸馬出」、方形のものを「角馬出」と呼ぶ。大坂城の真田丸は馬出の一種でもある[注 3]

丸馬出

角馬出


天守曲輪・天守丸(てんしゅくるわ・てんしゅまる)
松山城本壇(伊予国)本丸の内にある天守をもつ曲輪、連立式天守や、連結式天守等の形式によって隔てられてできた曲輪。本丸をこの名称で呼ぶ場合もある。城によっては、天守郭や天守曲輪また本壇ということもある。

水の手曲輪(みずのてくるわ)
城の主要な取水施設のある曲輪。山水の滴る場所や井戸などがある。井戸曲輪(いどくるわ)ともいう。

山里曲輪・山里丸(さまざとくるわ・さまざとまる)
遊興のための屋敷や庭園を造営したもの。池を掘ったり築山を築いたり、四阿茶室などを設けてある曲輪。豊臣期大坂城・姫路城明石城伏見城・肥前名護屋城などにみられる。江戸時代には大名庭園として城内だけでなく城外や藩邸にも造られるようになった、江戸城の吹上(現在は皇居の吹上御苑)も山里曲輪のひとつと考えられ、かつては吹上奉行が置かれた。
関連項目

総構え

本丸

築城 (城)

甕城

遊郭

全国城郭研究者セミナー - 第6回(1989年)「城郭の構成要素を考える:曲輪・堀・虎口」[7],第35回(2018年)「馬出を考える : 定義と分布」[8]

脚注[脚注の使い方]
注釈^ 輪郭を意識したときに「郭」、内部の平地を意識したときに「曲輪」と使い分けることもある。
^ 「馬出を考える:定義と分布」をテーマとして行われた第35回全国城郭研究者セミナーでは、各報告者による馬出の定義付けにおいてキーワード「小曲輪」、「小さな曲輪」、「小区画」が入ったものが下記のとおりいくつか見られた。

石川2019、197頁。"本稿では馬出の定義は虎口の前の小曲輪とする。"

室野2019、216頁。"馬出とは、城郭や曲輪の虎口前面を防御するため、独立して設けられた小曲輪や堡塁である。"

高橋2019、241頁。"過去の研究を見ると、馬出の捉え方には色々あるが、「曲輪の虎口前に設けられた小さな曲輪で、攻撃、防御機能を備えた施設」であるとの見解に隔たりは少ない。"

山下2019、233頁。"発掘調査成果に即して丸馬出を考えると、虎口土橋を囲うように弧状に堀をめぐらして出来る小区画、ということになろうか。"

^ 布引山釈尊寺長野県小諸市)を谷内に囲むように造られた布引城郭群のうち楽厳寺城は、城そのものが巨大な馬出(一大堡塁)の機能を有しており、すぐ近くの堀之内城には巨大な丸馬出が存在する。これらの城は真田氏によって天正十年代(1582年?)に構築あるいは改修されたものと推測され、その馬出の配置は大坂城における真田丸の配置に似ているとする指摘がある[6]

出典^ 吉川弘文館『歴史考古学大辞典』、「曲輪」の項
^ 村井益男『日本城郭大系』別巻U 城郭用語辞典「軍学」
^ 堀田浩之「城の要諦 〔1〕曲輪の見方」 学習研究社編『歴史群像 戦略戦術兵器大全 日本戦国編』学習研究社 2011年
^ 西ヶ谷恭弘編著『城郭の見方・調べ方ハンドブック』東京堂出版 2008年
^ 木下義俊編『武用弁略』1684年
^ 三島 2019
^ 中世城郭研究 1990.
^ 中世城郭研究 2019.

参考文献

南條範夫奈良本辰也監修『日本の名城・古城事典』 TBSブリタニカ、1989年、ISBN 978-4-484-89208-5

川口素生『戦国時代なるほど事典』PHP研究所、2001年12月、pp. 138?142

歴史群像編集部・編『城絵図を読む』歴史群像シリーズ特別編集〈よみがえる日本の城〉26、学習研究社、2005年、ISBN 978-4-05-604233-7

八巻孝夫(編)「シンポジウム「城郭の構成要素を考える : 曲輪・堀・虎口」」『中世城郭研究』第4号、中世城郭研究会、1990年、.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISSN 0914-3203。  - 第6回全国城郭研究者セミナー(1989年8月5日開催)の記録。

三島正之「信濃堀之内城・布引城郭群の馬出の謎」『中世城郭研究』第33号〈特集・馬出を考える〉、特集1、中世城郭研究会、2020年、4-31頁、ISSN 0914-3203。 

八巻孝夫(編)「シンポジウムテーマ「馬出を考える : 定義と分布」」『中世城郭研究』第33号〈特集・馬出を考える〉、特集2、中世城郭研究会、2020年、197-259頁、ISSN 0914-3203。  - 第35回全国城郭研究者セミナー(2018年8月5日開催)の記録。

石川浩治「東海地方の馬出について : 分布と構造を中心に」『中世城郭研究』第33号、197-207頁。 

室野秀文「東北地方の馬出」『中世城郭研究』第33号、216-221頁。 

山下孝司「長野県・山梨県における丸馬出のひろがり」『中世城郭研究』第33号、233-240頁。 

高橋成計「近畿及び周辺の「馬出」について:定義と分布」『中世城郭研究』第33号、241-248頁。 










日本の城関連用語
総論・一覧



日本の城

日本の城一覧

天守の一覧


築城

縄張

築城

山城

海城

水城

平山城


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:33 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef