褒章の制式については褒章条例第7条に規定されており、形状等の細目は内閣府令によって定めるとされている(同9条)。そして、現行の細目は「褒章の制式及び形状を定める内閣府令」(平成15年5月1日内閣府令第55号)で規定されている。一方、旧黄綬褒章の制式は「黄綬褒章臨時制定ノ件」第3条により規定されていた。
褒章はメダル本体の“章”、章を吊るして衣服に取り付けるための“綬”(リボン)、章と綬を繋ぐ“鈕”、および綬に取り付ける“飾版”からなる。ただし、旧黄綬褒章には鈕と飾版は無く、環により章と綬が繋がれている。また、常服時に着用するための略綬も制定されている。
章
銀製。桜花紋円形で中心に「褒章」の2字が置かれている。平成15年改正前は直径9分だったが、改正により30ミリメートルとなった。また、表面の意匠は、改正前は銀のみで「褒章」を交差した桜の枝花で囲む図であったが[注釈 3]、改正により流水文を表した金色の円形に「褒章」を浮彫りにし、その外縁を桜花を散りばめた銀地とする意匠となった。裏側は紺綬褒章の場合を除いて「賜」の文字と氏名が記される。改正前の条例では、図の備考により、後述の金色飾版が授与される場合は引き替えられた銀色飾版の授与年月日も記すとされていたが、改正により図とともに削除された。旧黄綬褒章は金および銀の円形で、表面は上から菊花紋章、横書きの「褒章」の文字、大砲の図が配され、裏面には「賛成防海事業」の字が鋳出されていた。
鈕
銀製。
綬
綬の色は褒章の種類に応じて、紅、緑、黄、紫、藍、紺と変わる。綬の幅は当初1寸とされていたが、改正により36ミリメートルとなっている。旧黄綬褒章の綬は橙黄色で、瑞宝章のように逆三角形に折られていた。
飾版
既に褒章を授与されている者が、2度以上、同様の理由で褒章を授与されるときは、その都度、飾版(しょくはん、金属の板)を授与し、その褒章の綬に付加して標識とする(褒章条例3条1項)。また、この飾版(銀色)が5個以上に達したときは、5個ごとに別種の飾版(金色)と引き替えて授与される(同条2項)。褒章の授与に回数の制限はない。
飾版(銀)
飾版(金)
略綬
「褒章条例」の大正10年4月26日勅令第147号および「黄綬褒章臨時制定ノ件」の大正10年4月26日第148号による改正により、蝶型スティックピン式のものが制定されていたが、平成15年内閣府令により勲章と同様の円形のもの(ロゼット)に改められた。色は褒章の種類により紅・緑・黄・紫・藍・紺の6色とする。直径は7ミリメートル。
なお、褒章と同一または類似する商標については商標登録を受けることができない(商標法4条1項1号)。.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{display:flex;flex-direction:column}.mw-parser-output .tmulti .trow{display:flex;flex-direction:row;clear:left;flex-wrap:wrap;width:100%;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{margin:1px;float:left}.mw-parser-output .tmulti .theader{clear:both;font-weight:bold;text-align:center;align-self:center;background-color:transparent;width:100%}.mw-parser-output .tmulti .thumbcaption{background-color:transparent}.mw-parser-output .tmulti .text-align-left{text-align:left}.mw-parser-output .tmulti .text-align-right{text-align:right}.mw-parser-output .tmulti .text-align-center{text-align:center}@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{width:100%!important;box-sizing:border-box;max-width:none!important;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow{justify-content:center}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{float:none!important;max-width:100%!important;box-sizing:border-box;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow>.thumbcaption{text-align:center}}改正前の制式による褒章の例(メトロポリタン美術館所蔵)紅綬褒章表面紅綬褒章裏面
褒章(平成15年改訂前)
平成15年改訂前の略綬
旧黄綬褒章
褒章の種類
紅綬褒章紅綬褒章の正章(右)と略綬(左)
紅綬褒章(こうじゅほうしょう)は、「自己ノ危難ヲ顧ミス人命ノ救助ニ尽力シタル者」[注釈 4]に授与される[注釈 5]。
1882年(明治15年)、青森県の海岸で暴風波浪により難破した漁船乗組員を救助した工藤仁次郎が受章第1号である。戦後は年々受章者が減少していた。
2003年(平成15年)の栄典制度改正に伴い受章機会の拡大が図られ、2004年(平成16年)春の褒章では16年ぶりに紅綬褒章が3名に授与された。2005年(平成17年)春の褒章では落水車からの人命救助により15歳の少年に贈られた(未成年者で初の受章)。また同年秋の褒章では、JR福知山線脱線事故で救助活動に当たった日本スピンドル製造や二次災害を防いだ主婦に贈られた。