セルボ・クロアチア語には、クロアチア語、セルビア語、ボスニア語、モンテネグロ語の四つの標準形がある。これらの標準形は、いずれもセルボ・クロアチア語の東ヘルツェゴビナ方言を基礎としており、その差は極めて小さい。
書記面では、クロアチア語ではラテン文字が用いられ、セルビア語ではキリル文字とラテン文字の双方が用いられる。ボスニア語、モンテネグロ語にもラテン文字・キリル文字双方での正書法があるが、ラテン文字が用いられることが多い。 中国語は、北京官話に基づく標準語としては、中華人民共和国の普通話、台湾(中華民国)の国語(台湾華語)が定められており、文字の面では使用する漢字やローマ字化の方法に違いがある。 香港やマカオでは、広東語が事実上の公用語となっている。また、?南語(台湾語、ホーロー語)は、台湾でしばしば公用語のひとつとして用いられる。 朝鮮語は、大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国で別個の標準語が定められている(大韓民国標準語および文化語)。ただし、両者ともに事実上ソウルの方言が基盤となっている。また、韓国では漢字で「韓国語」と表記される単語を、北朝鮮では漢字で「朝鮮語」にあたる単語を言語名として定めているため、漢字文化圏ではどちらの呼称を用いるかについて論争がある。 標準ドイツ語には、ドイツにおける標準ドイツ語、オーストリアにおける標準ドイツ語、スイスにおける標準ドイツ語の三つの標準語がある。また、バイエルン州のような文化的アイデンティティの強い地域では、その地域のドイツ語方言の影響を受けた標準ドイツ語の変種(方言そのものではない)も用いられる。 ノルウェー語には、書き言葉としてはデンマーク語の影響の強いブークモールおよび農村部の言葉から作られたニーノシュクという二つの標準語がある。なお、話し言葉としては一般に受け入れられている標準語は存在しない。 ハンガリー語はハンガリー王国が1920年のトリアノン条約により5分割されたためハンガリー人たちはハンガリー王国、ルーマニア王国、チェコスロバキア共和国、セルブ・クロアート・スロヴェーン王国(のちのユーゴスラビア王国)、オーストリア共和国に分散して居住することになった。その結果、居住国により行政・放送・報道・教育等の分野において用いられるハンガリー語の標準的な語彙や表現が国ごとに異なるようになったことでハンガリー語も複数中心地言語と見なされると主張されるようになった。ただし、ハンガリー語が公用語とされているのはハンガリーのみであり、他の諸国ではハンガリー語は有力な言語ではあるものの政治的な理由により公用語の地位を得ていないので、部分的複数中心地言語のように呼ばれる[2]。 標準ヒンディー語と標準ウルドゥー語は、いずれもヒンドゥスターニー語のデリー方言(カリー・ボリー)を基礎としており、同じヒンドゥスターニー語の異なる二つの標準形となっている。この他に、インドにはヒンディー語/ウルドゥー語にごく近縁な言語がいくつかあり、それらをヒンドゥスターニー語の方言とみなした場合、ヒンドゥスターニー語にはそれらの標準形もあることになる。 フランス語の場合、フランスの標準フランス語がフランス語圏全域に対して大きな影響力を持っているが、特にケベック州ではケベック・フランス語が標準的に使われている。また、ベルギーやスイスではフランスのものと若干異なるフランス語が使われているが、フランスの中心性を脅かす程度ではない。また、アフリカ各国では地元のメディアがフランス語を使っているが、同時にフランス本国からの影響力も多大であるのが実情である。 ペルシア語は、イラン(公式の名称はペルシア語)、アフガニスタン(公式の名称はダリー語)、タジキスタン(公式の名称はタジク語)で公用語となっている。イランではテヘラン方言に基づいた標準語が、アフガニスタンではカーブル方言に基づいた標準語が、タジキスタンではドゥシャンベ方言に基づいた標準語がそれぞれ定められている。イランとアフガニスタンではアラビア文字(ペルシア文字)を標準的な表記法としている。タジキスタンではタジク語向けのキリル文字を標準的な表記法としているが、ペルシア文字の再導入も試みられている。 ポルトガル語には、主にブラジルポルトガル語とイベリアポルトガル語の二つの標準形があり、ブラジルおよびブラジルの影響の強い地域(南米諸国、日本など)では前者が、ブラジル以外のポルトガル語圏や欧州諸国では後者が主に使われる。両者の間には特に発音面での差が大きく、特にブラジルにおいてはイベリアポルトガル語が使われることはほとんどないため、ブラジル人はイベリアポルトガル語の聴解に困難を来すことが少なくない。その一方で、ブラジル以外のポルトガル語圏では、テレビドラマや音楽などを通じてブラジルポルトガル語に親しむ機会が少なくないことから、ブラジルポルトガル語は基本的に問題なく通じる。この他に、中世までは同一言語だったガリシア語とポルトガル語の関係をどう考えるべきかという問題もある。 ルーマニア語はルーマニアおよびモルドバで話されており、それぞれで標準語が定められている。ただし、モルドバの言語についてはモルドバ語という呼称もあり、モルドバの言語をルーマニア語と呼ぶかモルドバ語と呼ぶか、モルドバ語と呼ぶ場合にはルーマニア語のモルドバにおける呼称とするか、ルーマニア語とは別の言語とみなすかについては、モルドバ国内で論争がある。詳しくはモルドバの言語・民族性問題を参照のこと。 ロマンシュ語には、Sursilvan、Sutsilvan、Surmiran、Puter、Valladerの五つの方言があり、それぞれが別個の標準の文章語を持っている。また、1982年には全ロマンシュ語の共通形としてRumantsch Grischunが導入されたが、ロマンシュ語話者の間で必ずしも受け入れられているわけではない。
コプト語
中国語
朝鮮語
ドイツ語
ノルウェー語
ハンガリー語
ヒンドゥスターニー語(ヒンディー語、ウルドゥー語)
フランス語
現代ヘブライ語
ペルシア語
ポルトガル語
マレー語(マレーシア語、インドネシア語)
ルーマニア語
ロマンシュ語
出典^ 三谷惠子 (1993).
^ ⇒2.2. A tobbkozpontu magyar nyelv
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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