製造物責任法
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製造物をその製造業者等が引き渡した時に入手可能な最高水準の科学・技術の知見によっては、欠陥があることを認識できなかった場合(社会通念に照らして客観的に判断される)。このような場合に免責されないと研究・開発及び技術開発が阻害されるとの考慮から、免責事由として採用された。また、抗弁として明示することで、高度な科学技術知識に係る予見可能性に関する証明責任が被害者ではなく(「欠陥」要件から除外)、製造業者等に帰着することが明らかにしたという意義がある。
部品・原材料製造業者の抗弁
製造物が他の製造物の部品又は原材料として使用された場合に、その欠陥が専ら当該他の製造業者が行った設計に関する指示に従ったことにより生じ、かつその欠陥が生じたことにつき過失がないこと。例えば、テレビの部品に欠陥があったために火災があった場合、テレビの製造業者も部品の製造業者も本法にいう製造業者として、製造物責任を負う。しかし、部品の製造業者がテレビの製造業者の下請けの関係にあり、テレビの製造業者による設計・指示に従って部品が作られた場合は、部品の製造業者にテレビ製造業者と同程度の回避可能性、ひいては帰責性を問うことは困難。そのためにこのような抗弁が認められる。
適用徐外

 原子力損害の賠償に関する法律第4条第3項の規定により、原子炉の運転等により生じた原子力損害については、本法律は適用徐外とされる。
期間の制限

本法に基づく損害賠償請求権は、原則として、損害及び賠償義務者を知ったときから3年の消滅時効、または製造物を引き渡したときから10年の除斥期間により消滅する。

しかし、製造物の使用開始後の一定の期間をおいて予想外の損害を生じるものについては、除斥期間の起算点の特例を置いている。

通常の使用期間を前提とする期間制限を適用すると,その期間の経過後に損害を生じることも考えられ,被害者の保護の面からは必ずしも適当でない場合がある。

身体に蓄積した場合,人の健康を害することとなる物質(有機水銀,鉛等)によって生じる損害 (米国では、アスベストによる被害が10年以上して顕在化した例,クロムによるガンが曝露後20年以上経過して顕在化した例など)


使用時から一定の潜伏期間を経た後に症状が発現するような損害(米国では、流産防止剤(DES)の副作用が服用後20年程度経過して顕在化した例)

このような場合には、例外的に,責任期間の起算点を「損害が生じた時」として,救済を図っている。
準拠法

日本において製造物責任につき準拠法の指定が問題となる場合、当該法律関係の性質が不法行為に該当するものとして法例11条により「其原因タル事実ノ発生シタル地ノ法律」が準拠法になるのか、法例11条の範疇に属しないものとして条理によって準拠法を指定すべきかが争われてきた。

この点、法例を全面改正した法の適用に関する通則法では、市場地である「被害者が生産物の引渡しを受けた地の法」によることを原則とし、例外として、生産物が転々流通するなどして通常予見できない地で引渡しがされた場合については、「生産業者等の主たる事業所の所在地の法(生産業者等が事業所を有しない場合にあっては、その常居所地法)」によることとして、立法的に解決した(18条)。

※ 法の適用に関する通則法で「製造物」ではなく「生産物」という語を用いているのは、不動産や未加工の動産を含むなど、対象を製造物責任法にいう「製造物」より広くしているため。
参考文献

消費者庁消費者安全課編『逐条解説 製造物責任法』(第2版)(株)商事法務 2018年 


十庫澄子 『逐条講義 製造物責任法(第2版)基本的考え方と裁判例』勁草書房 2018年


消費者庁 製造物責任(PL)法の逐条解説 (消費者庁HP)



川口康裕 「製造物責任法の成立について」『ジュリスト』1051号 製造物責任法<特集> 1994年

関連項目.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィキソースに製造物責任法の原文があります。

電気用品安全法

食品衛生法

薬機法


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