補強法則
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公判期日における自白

公判期日において被告人が自白した場合にも、補強証拠がなければ有罪判決が出来ないかどうかについては争いがある。問題は公判廷における自白が憲法第38条3項にいう「本人の自白」にあたるかという形で争われる。
この点につき、判決裁判所の公判廷における自白は「本人の自白」に含まれず、したがって補強証拠を要しないとするのが判例である(最高裁判例昭和23年7月29日、同昭和27年6月25日、ただし、いずれも
反対意見多数で僅差)。

しかし、現在は刑事訴訟法319条2項で、公判廷における自白であっても、補強法則の対象となるとしているので議論の実益は薄くなっている。
補強証拠の必要な事実の範囲

自白以外にいかなる証拠があれば(自白以外の証拠でどこまでの事実を認定できれば)被告人を有罪とし、又は刑罰を科すことができるかというのが、補強証拠の要否の問題であり、裁判例や学説は多岐にわたっている。
犯罪からその主体的側面(被告人と犯罪との結びつき)および主観的側面(故意、目的など)をのぞいた部分、つまり犯罪事実の客観的側面(罪体)について補強証拠を要するとする罪体説が有力である。この点について明言した判例は存在しない。
なお、罪体説の内部においても、犯罪の客観的要素のどこまでを、補強が必要な「罪体」と考えるかについては見解が分かれている。これについては
客観的な法益侵害の発生のみを罪体とする見解

法益侵害が何者かの犯罪行為によるものであることまで含むとする見解

法益侵害が被告人の犯罪行為によるものである(犯人性)ことまで含むとする見解

が対立するが、通説は2をもって足りるとする。
「補強証拠」を基礎としてなされた自白

補強証拠を基礎としてなされた自白は補強証拠との独立性を欠くものであるから、補強法則の趣旨より、その証拠能力を否定するべきではないかとの指摘が、一部の学説よりなされている。最高裁判例は、補強証拠の趣旨を、捜査機関によっておよそ架空の犯罪事実が創出されることにより無辜の者が有罪となることをさけるためとするから、およそ、そのような指摘は補強法則との関連を有しないと考えているものと推測される。
少年保護手続と補強法則

補強法則は、少年保護手続にも適用があるとされている。
アメリカ合衆国における補強法則

アメリカ合衆国では、憲法第3条第3節に国家反逆罪に関する補強法則が規定されている。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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