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用途によって露出している膝から下を脚絆などで保護し、中間男や小者などの下級武士が鎌倉時代以降に着用した[8]。菖蒲革などなめし革、またはそれに似せた布地で作った菊綴を付けた類いもあった[7]
立付・裁付・裁着
布製の脚絆やガマイグサイチイなどで編んだ脛巾を四幅袴や股引に縫合したり、露出しているに巻いて固定した[9]。袴の生地は皮革、布、を用いたが、明治以降は木綿が主流となった[10]。歩行に便利であるため地方武士が狩猟の際に使用し、戦国時代以降は機能性から一般化し作業着として活用する人々が増えた[9]。江戸時代に伊賀衆が使っていた裁付は別称で伊賀袴とも呼んだ。
軽衫(かるさん)
軽衫 「千代田之御表 / 将軍宣下為祝賀諸侯大礼行列ノ図」 楊洲周延1897年16世紀 - 17世紀スペインを中心にヨーロッパにおいてズボンに詰物を入れ、大きく膨らませた短い半ズボン(トランクホーズ)が流行し、南蛮貿易の関係からその様式が日本にも伝播した袴である[11]回りをゆったりと仕立てた短い膝丈の袴に、膝から脚絆か筒状の布を縫合した形状となっている[11]語源ポルトガル語の「カルソン - calcao(半ズボンの意味)」に由来し、漢字は当て字である[11]。キリスト教徒や侍の間で好まれ、経年により町人風俗へと浸透した。形態は風俗屏風や『歌舞伎草紙絵巻』などで見ることができる。
武道袴
馬乗り袴のうち、武道用に各部位に工夫がなされたもの(襞の内側からステッチが入り皺が取れにくいもの、受け身が取りやすいよう腰板がゴム製になっているものなど)を武道袴と呼ぶことがあるが、明確な定義はない。
雪袴
雪袴は積雪寒冷地または山岳地帯で用いた作業着および防寒着で、雪沓の着脱や歩行のために両脚の裾をすぼめる括るなどをした襠有袴[12]。近代以前は麻製が多かった。
もんぺ
農山村で発達した作業着とする襠有袴。寒冷地では防寒着を兼ね、農山村では男女共に着用したが、一般的に女性が用いた労働用の袴を言う。第2次世界大戦中は女性の標準服として過度に奨励した歴史がある。
その他女袴の着用例(1943年照宮成子内親王鶴岡八幡宮で袴を着た女性(2014年)卒業式の女教師(1953年



女袴
明治時代から昭和初期には女学生制服として多く着用された。1990年代以降は卒業式における女子大生の定番の服装となり[注釈 2]、一部では小学校卒業式に出席する女児が着用する例がある[注釈 3]。このほか一部神社巫女や現代の女性皇族雅楽舞踊の演者などには、男性同様の脚を通す部分が二つに分かれたタイプの着用も見られる。
舞袴
日本舞踊剣舞などで使う袴。仕舞袴よりもふつうの袴に近い外見を持つが、立居の際に皺や襞ができないような工夫がされている。
仕舞袴
能楽師仕舞舞囃子の際に用いる特殊な袴。該項参照。なお「馬乗袴」の言換えとして仕舞袴の語が用いられることもある。
別名

旧日本陸海軍において、軍服であるズボンを明治建軍から昭和の解体に至るまで一貫して「袴(こ)」と称していた[15]。「軍袴」と称す場合、広義には「軍服であるズボン」を、狭義(正式)には「軍服である冬用のズボン」を意味した[注釈 4]
短袴(たんこ)
乗馬ズボンの和名なので、厳密には袴ではない。
長袴(ちょうこ)
スラックスの和名なので、厳密には袴ではない。
半袴(はんこ)
半ズボン短パンの和名なので、厳密には袴ではない。
転用

植物(草本)の茎の部分を覆っている皮のことを俗に「はかま」という[16]つくしのように土中から生えるときに穂先などを保護するためのもので長く伸びた後も残る場合もある[16]
脚注
注釈^ 1.おすい、おすひ。古代、衣服の上から着た外套のようなもの。元は男女とも用いたが、のちに主として神事をおこなう女性が用いた。一説では幅広の布であると。goo辞書「襲(おすい」 ⇒[1]
2.おそい、おそひ。動詞「おそう」から上を覆うもの、覆い。(馬を覆う物の意味から)鞍。goo辞書「襲(おそい)」 ⇒[2]
^ 南野陽子が主演した1987年の映画『はいからさんが通る』(大正時代が舞台)がきっかけとなり、1990年代後半に定着したという[13]
^ 映画化された漫画『ちはやふる』の影響が指摘されている。批判的な意見を示す保護者や、自粛を求める学校もある[14]
^ (昭和13年制式以前の)『陸軍服制』および、『海軍服制』では「軍衣袴」はいわゆる「冬服上下」を指す。

出典^ 「武弓」第一巻第六号、1936年
^ 「女子禮法教科書」P162、1931年
^ 日本大百科全書「山袴(やまばかま)」 小学館 2018年01月10日閲覧
^ a b 世界大百科事典「袴(馬乗袴)」 平凡社 2018年01月10日閲覧
^ a b 日本大百科全書「野袴」 小学館 2018年01月10日閲覧
^ デジタル大辞泉「襠無し袴」 小学館 2018年01月10日閲覧
^ a b 大辞林「四幅袴(よの-ばかま)」 三省堂 2018年01月11日閲覧
^ 世界大百科事典「四幅袴/四布袴」 平凡社 2018年01月11日閲覧
^ a b 百科事典マイペディア「裁付(たっつけ)」 平凡社 2018年01月11日閲覧
^ 世界大百科事典 第2版「裁付(たっつけ)」 平凡社 2018年01月11日閲覧
^ a b c 世界大百科事典 第2版「軽衫(かるさん)」 平凡社 2018年01月11日閲覧
^ 世界大百科事典 第2版「雪の民俗」 平凡社 2018年01月11日閲覧
^ “卒業式になぜ袴?「はいからさん」からギャル系など移り変わる袴スタイルを調査”. Kindai Picks. 近畿大学 (2018年10月9日). 2021年1月4日閲覧。
^日本経済新聞』夕刊2018年3月22日「小学校の卒業式<はかま>ブーム、漫画が火付け役に/予約急増、半数超す学校も」(社会面)
^ 『陸軍服制』・『海軍服制』
^ a b 今井国勝、今井万岐子『よくわかる山菜大図鑑』永岡書店、2007年、7頁。 

関連項目.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィキメディア・コモンズには、袴に関連するカテゴリがあります。

紋付羽織袴 - 男性の第一礼装。

緋袴

大口袴

仕舞袴

埴輪

合気道 - 膝の動きを相手に悟られないために袴を着用する。

外部リンク

La structure secrete du hakama
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