被服
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この項目では、人体を覆う目的の着装物の総称。衣服に加えて被り物・履物・手袋について説明しています。衣服および装飾品、それらによる装いについては「服飾」をご覧ください。
衣服・被り物・履物の歴史を描いた絵。(上から)古代エジプト人、古代ギリシア人、ローマ人ビザンチン人フランク人、そして13世紀から15世紀の中世ヨーロッパ人。

被服(ひふく、: clothing)とは、人体を覆う目的の着装物の総称であり、基本は衣服であるが、それに加えて被り物(かぶりもの)[注 1]履物(はきもの)・手袋なども含まれる。[1]

被服と類似の用語として、衣服(いふく)、服(ふく)、衣類(いるい)、衣料(品)(いりょう(ひん))、衣(ころも・きぬ)、着物(きもの)等がある。被服と衣料・衣料品は同義で、身体を包む物の総称である。他方、衣服・服・衣類は、被服から被りものや履物、装身具を除いたものである。[注 2][注 3]{[注 4][注 5]

なお、意味が近接する語彙に、服飾、服装、衣装(衣裳)などがあるが、意味や指す範囲がそれなりに異なるので各記事を参照のこと。

本項ではあくまで被服について解説する。
概説

被服は人体の保温、保護装飾、社会的地位の表象等のために発展してきたもので、人間の文化の構成要素の一つである。

被服の基本である衣服は、最も典型的には、繊維紡いでをつくり、その糸を織ったり編んだりして(あるいは繊維を濡らし縮絨を起こさせフェルトにして)類(布帛)をつくり、それを縫い合わせて着用に適した形状に仕立てたものである。

衣服は英語ではアパレル(apparel)とも言い、衣服を製造する産業はアパレル産業と呼ばれており既製服を大量生産している。20世紀後半以降は、人々が着用している衣服のほとんどは工場で大量生産された既製服である。→#製造で解説。

だが、スーツにこだわりがある人は仕立て屋オーダーメイドで仕立てる。また(かなり限られた人数の富裕な女性ではあるが)パリのオートクチュール・メゾンでデザインや生地を指定して服を作ってもらう人もいる。

また、ハンドメイドで作る人もいる。歴史を遡れば、古代ローマでは各家庭で女性が羊毛の繊維を紡いで毛糸をつくり、その毛糸を自分で織って生地を作り、その生地で男性服のトガを作っていた[2]。現代でも衣服を手作りする人々がいる。なお日本のNHKでは『すてきにハンドメイド』の「ソーイング」の回で衣服をハンドメイドする方法が教えられている。イギリスBBCでは「ソーイング・ビー」(en:The Great British Sewing Bee)という、イギリス全土のアマチュアが毎回テーマを与えられ服作りの腕を競い合う番組が放送され、日本でもNHKが放送した[3]
被服の目的

被服着用の目的は多様であるが、主には、体表付近の温湿度を調節する環境制御、身体や皮膚の保護・防御、身体の一部の秘匿や強調、装飾、また、性別・身分・職業等の表示がある。被服は単一の目的(機能)のために用いられることは稀で、大抵は複数の機能を同時に担っている。例えば制服礼服は、社会的機能を担うと同時に体温調整の機能も考慮されている。スポーツウェアは動きやすさ・体温調整・怪我防止の役割を同時に果たすように考慮されている一方で、日常使用を考慮したファッション性の高いものも存在している[4]。実用的な役割の衣類と社会的・シンボリックな役割の衣類に分類されることもあるが、それらが絡み合っている場合もあり、いつもすんなりと分けられるわけでもない。例えば白衣は、実用的には汚れ防止のために衣類の上に重ね着するものではあるが、服が汚れる実験をするわけでもないのに医者が普段からわざわざ白衣をまとうのは、自分は自然科学系の訓練を受けた者だ との印象づけを患者に対して行い、現代の患者が自分でも気づかぬうちに心に抱いている、自然科学のイメージなら何でも盲信してしまい逆らいづらくなる気持ち(科学信仰)を利用して患者を自分の言いなりにするために使っている[注 6]
体温調節と身体保護ヘッドバンド帽子毛皮付きコートショールセーターなど用被服を着込んだ乳児

体毛の乏しい人類にとって、被服は基本的に体温調節を補助する役割を担っている(人体と衣服の間にできる空気の層や、それを作ることを、衣服気候または被服気候または衣服内気候という[5][6][7])。衣服は比較的簡便な体温調節機能の一つであり、気温が低くなれば《重ね着》したりあるいは服内部により多くの空気を保つ厚手の衣服に変えることで体温を保とうとし、逆に気温が高くなれば衣服を減らしたり薄手の服に変えることで体温を一定に保とうとする。季節によって激しい気温差がある場合、には薄着になり、には厚着になる。夏服と冬服など、季節の推移に応じて衣服を替えることは衣替えという。

体温調節のなかでも特に《防寒》は被服の起源の一つとされ[8]、非常に重要であり、寒い場所では防寒着が利用される。保温を重視する場合、静止した空気の層を身体周辺に作り出すことが重要であるため、空気をよく含む生地の服を重ね着し、戸外に出る場合は通気性が低い素材の服をその上に重ねて外部の冷気を遮断し身体周辺の暖気を保護する[9]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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