行列
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つまり一般の m 行 n 列の行列を A = A = [ a 11 a 12 ⋯ a 1 n a 21 a 22 ⋯ a 2 n ⋮ ⋮ ⋱ ⋮ a m 1 a m 2 ⋯ a m n ] = ( a 11 a 12 ⋯ a 1 n a 21 a 22 ⋯ a 2 n ⋮ ⋮ ⋱ ⋮ a m 1 a m 2 ⋯ a m n ) = [ a i j ] m × n , ( 1 ≤ i ≤ m   , 1 ≤ j ≤ n ) = ( a i j ) m × n , ( 1 ≤ i ≤ m   , 1 ≤ j ≤ n ) {\displaystyle A=\mathbf {A} ={\begin{bmatrix}a_{11}&a_{12}&\cdots &a_{1n}\\a_{21}&a_{22}&\cdots &a_{2n}\\\vdots &\vdots &\ddots &\vdots \\a_{m1}&a_{m2}&\cdots &a_{mn}\end{bmatrix}}={\begin{pmatrix}a_{11}&a_{12}&\cdots &a_{1n}\\a_{21}&a_{22}&\cdots &a_{2n}\\\vdots &\vdots &\ddots &\vdots \\a_{m1}&a_{m2}&\cdots &a_{mn}\end{pmatrix}}=[\mathbf {a} _{ij}]_{m\times n,(1\leq i\leq m\ ,1\leq j\leq n)}=(\mathbf {a} _{ij})_{m\times n,(1\leq i\leq m\ ,1\leq j\leq n)}}

のように書く。
成分[ソースを編集]詳細は「行列要素」を参照

書き並べられた要素は行列の成分 (英: entry, component) と呼ばれる[1]。成分が取り得る値は(さまざまな対象を想定できるが)大抵の場合はあるまたは可換環 K の元であり、このとき K 上の行列 (英: matrix over K) という。特に、K が実数全体の成す体 R であるとき実行列と呼び、複素数全体の成す体 C のとき複素行列と呼ぶ。

一つの成分を特定するには、二つの添字が必要である。行列の第 i 行目、j 列目の成分を特に行列の (i, j) 成分と呼ぶ[1]。例えば上記行列 A の (1, 2) 成分は a1 2 である。行列の (i, j) 成分はふつう ai j のように二つの添字を単に横並びに書くが、誤解を避けるために添字の間にコンマを入れることもある。例えば 1 行 11 列目の成分を a1,11 と書いてよい。また略式的には、行列 A の (i, j) 成分を指定するのに Ai j という記法を用いることがある。この場合、例えば積(後述)A B の (i, j) 成分を (A B)i j と指定したりできるので、これで記述の簡素化を図れる場合もある。
型[ソースを編集]

行列に含まれる行の数が m, 列の数が n である時に、その行列を m 行 n 列行列や m × n 行列、m n 行列などと呼ぶ[1]。行列を構成する行の数と列の数の対を型 (英: type) あるいはサイズという。したがって m 行 n 列行列のことを (m, n) 型行列などと呼ぶこともある[1]。K 上の m × n 行列の全体は Km×n, Km,n や Mat(m, n; K), Mm×n(K) などで表される。

1つの列を持つ行列を列ベクトル、1つの行をもつ行列を行ベクトルと呼ぶ。例えば行列 A = [ a 11 a 12 a 21 a 22 ] {\displaystyle A={\begin{bmatrix}a_{11}&a_{12}\\a_{21}&a_{22}\end{bmatrix}}}

に対して、[a1 1
a2 1] , [a1 2
a2 2] はその列ベクトル、[a1 1 a1 2], [a2 1 a2 2] はその行ベクトルである。

行と列の数が同じである行列は正方行列と呼ばれる。無限の行または列をもつ行列を無限次行列と呼ぶ。プログラミングにおいて行または列を持たない行列を考えると便利となることがしばしばあるが、このような行列を空行列と呼ぶ。

名前型例説明
行ベクトル1 × n [ 3 7 2 ] {\displaystyle {\begin{bmatrix}3&7&2\end{bmatrix}}} 1つの行を持つ行列。ベクトルを表すのに使われることがある。
列ベクトルn × 1 [ 4 1 8 ] {\displaystyle {\begin{bmatrix}4\\1\\8\end{bmatrix}}} 1つの列を持つ行列。ベクトルを表すのに使われることがある。
正方行列n × n [ 9 13 5 1 11 7 2 6 3 ] {\displaystyle {\begin{bmatrix}9&13&5\\1&11&7\\2&6&3\end{bmatrix}}} 行と列の数が同じである行列。鏡映回転せん断のようなベクトル空間線形変換を表すのに使われることがある。

厳密な定義[ソースを編集]

行列は二重に添字づけられたであり、添字の各対 (i, j) に成分 aij を割り当てる二変数写像 A : { 1 , … , m } × { 1 , … , n } → K ; ( i , j ) ↦ a i j {\displaystyle A\colon \{1,\ldots ,m\}\times \{1,\dots ,n\}\to K;\quad (i,j)\mapsto a_{ij}}

である。例えば添字の対 (1, 2) には写像の値として a12 が割り当てられる。値 aij は行列の i-行 j-列成分であるといい、m および n はそれぞれ行および列の数を意味する。写像としての行列の定義と行列が表す線型写像とを混同してはならない。

K に成分を持つ m × n 行列の全体は、したがって配置集合 map ⁡ ( { 1 , … , m } × { 1 , … , n } , K ) = K { 1 , … , m } × { 1 , … n } {\displaystyle \operatorname {map} (\{1,\ldots ,m\}\times \{1,\ldots ,n\},K)=K^{\{1,\ldots ,m\}\times \{1,\ldots n\}}}

であり、省略形として Km×n(あるいはやや稀だが mKn)や M(m×n; K) などと書くことの一つの根拠になる。

行の数と列の数が一致するような行列は正方行列と呼ばれる。

ただ一つの列を持つ行列は列ベクトル、ただ一つの行を持つ行列は行ベクトルと呼ばれる。Kn のベクトルは、文脈によって行ベクトル空間 K1×n または列ベクトル空間 Kn×1 の元を表すのにも用いられる。
歴史[ソースを編集]

線型方程式の解法における応用に関して、行列は長い歴史を持つ。紀元前10世紀から紀元前2世紀の間に書かれた中国の書物『九章算術』は連立方程式の解法に行列を用いた最初の例であるといわれ[3]、それには行列式の概念が含まれていた。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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