衆議院議長
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衆議院議長の選挙は、議会召集日または議長が不在の場合において、集会した議員が総議員の3分の1に達した後で、事務総長による議長の職務代行のもとで行われる[注釈 4](法第6条、規則第3条)。議長選挙は無名投票[注釈 5] であり(規則第3条第2項)、半数を得たものを当選人とする(規則第8条)。投票の過半数を得た者がない場合は投票数上位2人について決選投票を行い、2人の得票数が同じ場合はくじで決定する(規則第8条第2項)。

議長・副議長の選挙の流れでは、事務総長の「これより点呼を命じます」の宣告で投票が始まり、参事の氏名点呼で呼ばれた議員から時計回りで壇上に上がり、木札の名刺(白色)を参事に渡した後に票を投じる。壇上には参事が2人おり、1人は木札の名刺を受け取り、目盛の付いたケースに積み上げる。もう1人は投票用紙を渡して票を投じる。投票終了後、事務総長が「投票漏れはありませんか」と投票漏れがないか確認し、なければ事務総長の「投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖・開票。これより名刺および投票の計算ならびに投票の点検を命じます。」の宣告が入る。最初に参事3人で名刺の計算を行い、事務次長に集計を記録。続いて投票箱を閣僚席後のテーブルに持って行き、10名の参事により開票作業が行なわれ、最後に集計を行なう。そして結果が記載された用紙を事務次長から事務総長に手渡され、事務総長から投票総数、名刺の数の符合(投票総数との一致)の有無、本投票の過半数、無効票の有無[注釈 6]が報告された後、投票の結果が報告される。事務総長自らの結果報告に続き、「右の結果、衆議院規則第8条により、○○君が議長に当選されました。」[注釈 7]と宣言する。

なお実際には、慣例として議長は与党第一党、副議長は野党第一党の長老議員から選出されることで事前に与野党間で調整がなされるため、実際の議長選挙ではほぼ全会一致で新しい議長が選出される。また、1973年(昭和48年)5月29日以降、慣例として正副議長は会派を離脱し無所属となる。ただし議長・副議長の職を離れた後は出身党派に復帰することが通例。
議長選挙

自由民主党の結党以来、常に与党でありかつ比較第1党である自民党出身者が全会一致で議長に選出されてきたが、1993年(平成5年)の与野党逆転の際、連立与党第1党である日本社会党の土井たか子と比較第1党である自民党の奥野誠亮のどちらを議長とするかという調整がつかず、異例の競合投票によって土井が議長に選出された。この際日本共産党は自党議員の山原健二郎に投票し、連立与党、自民党のどちらの主張にも与しない形となった。なお副議長は自民党から鯨岡兵輔が出され、これについては全会一致が踏襲された。
副議長選挙

戦後の一時期、自民党が正副議長を独占していた時期があるが、1976年総選挙で与野党伯仲となった影響から野党第一党の社会党に議長職を譲った。以後は議席にかかわらず、基本的に第二会派から副議長を出すことが慣例となっているが、2000年(平成12年)7月の副議長選挙においては、与党側が渡部恒三(無所属の会)を、野党側が石井一(民主党)を推して対立選挙となった。このときの議長選挙において、野党側は綿貫民輔(自民党)に投票せずに、白票を投じている(白票のほかにも投票者本人を記載した無効票、極少数のみ自党議員などに投じた票もある)。
任期

正副議長の任期は衆議院議員の任期と同じである(法第18条)。解散によってすべての衆議院議員が地位を失うと、議員のひとりである議長も当然にその地位を失う。衆議院議員総選挙が行われたときは、直後に召集された国会の最初の本会議で議長の選挙が行われる(#職務の代行の手続きによる)。

なお、議会が自ら選任した役員を解任するには国会法など議会法上に特段の定めがある場合を除きなしえない[2]。現在、国会法は常任委員長についてのみ解任規定を置いており(法第30条の2)、議長に対しての不信任決議は法的拘束力を有しないとされている。
待遇衆議院議長公邸(東京都千代田区永田町)。参議院議長公邸が隣接する。

日本国憲法による衆議院の優越とは別に、立法府の長としての衆議院議長は参議院議長と同等の資格であり、歳費などの具体的な待遇もすべて同一である。また、議長・副議長はそれぞれ公邸へ入居することができる。

なお、衆議院議長は自衛隊を公式に訪問し又は視察する場合その他防衛大臣の定める場合において栄誉礼を受ける栄誉礼受礼資格者に定められている(自衛隊法施行規則第13条)。
権限
内容

国会法第19条は「各議院の議長は、その議院の秩序を保持し、議事を整理し、議院の事務を監督し、議院を代表する」と定めており、議長の権限には議院秩序保持権、議事整理権、議院事務監督権、議院代表権があるが、国会法や議院規則などに規定されている議長の諸権限はすべてこれらのいずれかに属するとされる[3]。なお、議院秩序保持権の中には議事整理権の発動としての面をもつものもある[4]
議院秩序保持権

議員秩序保持権には議院警察権(法第114条)などが含まれる[5]

議院警察権(法第14章(第114条?118条の2)、規則第16章第1節(第208条?第210条))

議場内部における現行犯逮捕の命令(規則第210条)


国会閉会中における議員辞職の許可(法第107条ただし書)

議員の議席の指定(規則第14条)

委員の選任及び辞任の許可(規則第37条)

7日を超えない議員請暇の許可(規則第182条)

議場内の秩序を乱した議員に対する退席命令(規則第233条)

議場に入る者のつえ等携帯の許可(規則第213条ただし書)

演壇登壇の許可(規則第217条)

号鈴を鳴らすことによって全ての者を沈黙させること(規則第218条)

全ての秩序についての問題の決定(規則第220条)

傍聴人の身体検査(規則第228条)

取締のための傍聴人数の制限(規則第230条)

議事整理権

議事日程の決定(法第55条)や委員会への付託(法第56条第2項)のほか、議長決裁権(憲法第56条第2項)などもこれに含まれる[6]

議院会議中における委員会開催の許可(規則第41条ただし書)

公聴会開催の承認(規則第78条)

会議開始時刻の変更(規則第103条ただし書)

午後6時を過ぎた場合の延会宣告(規則第105条第2項)

自席で発言している者に対する演壇での発言許可(規則第124条)

発言通告をしない者が発言する場合の発言許可(規則第127条)

記名投票における投票時間の制限(規則第155条の2)


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