衆議院議員総選挙(しゅうぎいんぎいん そうせんきょ)とは、日本の選挙である。日本国の下院である衆議院[注釈 1]の議員を選出する。
略称は「総選挙」、「衆議院議員選挙」、「衆院選」。また、事実上の「政権選択選挙」とも呼ばれる。 衆議院は全国民を代表する、選挙された衆議院議員で組織される(日本国憲法第43条1項、参議院も同様)。任期は一期4年であるが、任期途中での衆議院解散の場合にはその期間満了前に任期は終了する(日本国憲法第45条)。なお、衆議院議員総選挙は解散および任期満了に起因するもののみを指し、特定の選挙区における再選挙や補欠選挙は「総選挙」には含まない。 日本国憲法下では、衆議院解散による総選挙は、衆議院解散の日から40日以内に総選挙を行う(日本国憲法第54条1項前段、公職選挙法31条3項)。一方、任期満了による総選挙は、任期満了の日から前30日以内に行う(公職選挙法31条1項)。任期満了による総選挙の期間が、国会開会中または国会閉会の日から23日以内にかかる場合においては、国会閉会の日から24日以後30日以内に総選挙を行う(公職選挙法31条2項)。また当規定により、任期満了直前に解散をすることによって、投票日が任期満了後となることもある[注釈 2]。 ちなみに、日本国憲法下で任期満了による総選挙を実施したのは、三木内閣時の1976年(昭和51年)12月5日に行われた、第34回だけである(後述)。 通常、「総選挙」とは衆議院議員の選挙にのみ用いられる語であり、参議院議員の選挙は3年ごとに必ず実施かつ半数ずつ改選するものであるから「通常選挙」と呼ばれる。公職選挙法31条も、「総選挙」を任期満了あるいは衆議院解散による衆議院議員の選挙を指す語として用いている。ただし、国会議員の選挙の公示について定めた日本国憲法第7条4号の「総選挙」については、同条が「国会議員の総選挙の施行を公示すること」と規定しており、衆参問わず各議院の国会議員を選出する基本的な選挙の公示を天皇の国事行為として定めた趣旨であると解されることから、憲法7条4号の「総選挙」には、参議院議員通常選挙が含まれると解するのが通説である[1]。公職選挙法により、衆議院議員総選挙の期日は少なくとも12日前に公示しなければならないとされている(公職選挙法31条4項)。 選挙は投票により行う(公職選挙法35条)。衆議院議員の選挙においては小選挙区選出議員および比例代表選出議員ごとに一人一票を投票する(公職選挙法36条)。衆議院議員総選挙の選挙事務の管理については、特別の定めがある場合を除くほか、小選挙区選出議員の選挙については都道府県の選挙管理委員会が管理し、比例代表選出議員の選挙については中央選挙管理会が管理する(公職選挙法5条)。選挙権・被選挙権・選挙方式の詳細については次節以下参照。 参議院議員通常選挙が行われている時期に、衆議院が解散されて衆議院議員総選挙が行われることになった場合は、衆議院選挙と参議院選挙の両方の選挙を同時に行う(衆参同日選挙)。 選挙された衆議院議員の任期は4年である(日本国憲法第45条本文、ただし解散あり)。衆議院議員の任期は総選挙の期日から起算するが(公職選挙法256条本文)、任期満了による総選挙が衆議院議員の任期満了の日前に行われたときは、前任者の任期満了の日の翌日から起算する(公職選挙法256条但書)。 衆議院解散による衆議院議員総選挙が行われたときは、その選挙の日から30日以内に国会を召集しなければならない(日本国憲法第54条後段)。衆議院解散による総選挙後に召集された国会(日本国憲法第54条により召集された国会)を特別会(特別国会)という(国会法1条3項)。一方、任期満了による衆議院議員総選挙が行われたときは、その任期が始まる日から30日以内に臨時会(臨時国会)を召集しなければならない(国会法2条の3第1項本文)。ただし、その期間内に常会(通常国会)が召集された場合、またはその期間が参議院議員通常選挙を行うべき期間にかかる場合はこの限りでない(国会法2条の3第1項但書)。 なお、衆議院議員総選挙の際には同時に最高裁判所裁判官国民審査が行われる(憲法79条2項)。 衆議院議員及びその選挙人の資格は法律(具体的には公職選挙法等)で定められる(日本国憲法第44条本文)。
日本国憲法下の衆議院議員総選挙
概要
選挙権および被選挙権
選挙権
日本国民で年齢満18年以上の者は、衆議院議員の選挙権を有する(公職選挙法9条1項)。
2015年(平成27年)6月に改正公職選挙法が成立し、2016年(平成28年)6月から選挙権年齢は20歳以上から18歳以上に引き下げられた(18歳選挙権)[2]。
例外的に選挙権を有しない者については、公職選挙法11条1項・252条、政治資金規正法28条に規定がある。
被選挙権
日本国民で年齢満25年以上の者は、衆議院議員の被選挙権を有する(公職選挙法10条1項柱書及び1号)。
例外的に被選挙権を有しない者については、公職選挙法11条・11条の2・252条、政治資金規正法28条に規定がある。
選挙方式
議員定数・選挙区・投票の方法など、衆議院議員総選挙に関する事項は、法律(公職選挙法等)によって定められる(日本国憲法第43条2項・第47条)。
定数465名の小選挙区比例代表並立制である。選挙区数289で議員定数289名の小選挙区制選挙、および選挙区数11で議員定数176名の比例代表制選挙とを、小選挙区制選挙区と比例代表制選挙区とを必ず等しく重複させる形で同時に併存させている(公職選挙法4条1項)。
小選挙区制小選挙区の分布(2022年の改定前)
各選挙区から最多得票者1名が選出される。ただし、有効投票の総数の6分の1以上の得票(法定得票)がなければならない(公職選挙法第95条第1項第1号)[3]。
小選挙区制は選挙区から1名を選出する制度であるため、定数289名に応じて都道府県別に全都道府県が289選挙区に分割されている。小選挙区制の各選挙区については、衆議院小選挙区制選挙区一覧を参照のこと。
選挙人は、投票用紙に候補者1人の氏名を自書して投票する(公職選挙法第35条、第36条、第44条第1項、第46条第1項