血液
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甲殻類昆虫など[1]開放血管系の動物および循環器系のない動物においては血液は血管外にも流れ出すので、血液と組織液の区別はなく、体液はすべて血液と見なして良い。

なお、本記事の以下においては、特に断りのない限り、ヒトの血液について述べている。
主な役割・機能ボーアの原論文を元にした説明。酸素に富み、二酸化炭素の少ない肺(酸素分圧100mmHG、二酸化炭素分圧5mmHg程度)ではヘモグロビンの酸素飽和度はほぼ100%になる。赤血球はそのまま酸素の少ない組織(例えば酸素分圧30mmHg、図の赤線)に行くが、もしも二酸化炭素が無い環境だと持っている酸素の内18%程度しか放出できないが、組織内に二酸化炭素(40mmHg)があると約50%、二酸化炭素(80mmHg)があると約70%もの酸素を放出することが出来る
呼吸血液ガス、すなわち酸素および二酸化炭素の運搬)[1]


酸素
血液は肺胞酸素分圧100mmHg程度)の毛細血管を0.75秒ほどで通過する間に、ほぼ平衡に達し動脈血の酸素分圧も約100mmHgとなる。肺で酸素を取り込んだ血液は血液循環で末梢組織に循環するが、体組織の細胞周囲の酸素分圧は20 - 30mmHgであり動脈血と酸素分圧に差があることと、組織液内で発生している二酸化炭素を赤血球内に取り込み炭酸脱水酵素が炭酸に変換することによる酸性化でボーア効果が起きることによって、酸素が血液から組織液に移る[2]。こうして酸素が体組織に運ばれている。酸素を運び終えた静脈血の酸素分圧は、40mmHg程度である。血液は一般的な液体に比べると、同じ酸素分圧でもはるかに多くの酸素を含んでいる。これは赤血球内に高密度で存在する血色素ヘモグロビンが酸素と結合することによる。

二酸化炭素
酸素とは別に3種類の方法で運搬される。炭酸脱水酵素で変換された炭酸水素イオンの状態が85%、ヘモグロビンと結合したカルバミノヘモグロビン(英語版)の状態が10-20%、残りが血漿に溶解した形で運ばれる[3]
栄養の運搬(脂質アミノ酸タンパク質等のエネルギー基質)[1]
小腸の毛細血管から血液に取り込まれ、栄養を保存する役割を持つ肝臓に移動し、必要な時に血液によって栄養が運ばれる[4]
各種ホルモンなど作用物質の運搬(全身の情報・指令伝達)[1]

防御(凝固・線溶系免疫)
外傷に対しては血小板の凝集や血液凝固因子によるフィブリン塊を形成し止血や傷を塞ぐ作用を起こす。細菌への免疫機能発露や異物に対する抗体生成も行う[1]
体温調整[1]

排出[1]
組織で産生された代謝老廃物を肺、腎臓肝臓皮膚腸管などの器官に運搬する[1]
代謝産物運搬[1]
体内に分布する化学受容器圧受容器に適合刺激を与える。
体内の塩基平衡を維持してpHを調節する[1]

水分代謝を調整し、血圧や組織液の浸透圧などをコントロールする[1]

組成・成分

ヒトの血液成分(Enzyklopadie 1979から[5])成分血液100cm3
あたりの量(mg)赤血球100g
あたりの量(mg)
8100063000
ヘモグロビン1500033000
タンパク質1900035000
脂質560600
中性脂肪13595
リン脂質245350
コレステロール175
グリコーゲン5
ブドウ糖9075
非タンパク質窒素30
尿素15
クレアチン3.98
クレアチニン0.91.8
RNA64
ナトリウム19042
カリウム190370
カルシウム72
マグネシウム3.86.2
48100
塩素290270
非有機態リン2.54
リン数3566
重炭酸塩220

血球成分(細胞性成分、血液細胞)と血小板、これらを浮遊させる血漿成分(液性成分)からなり[1]、その比率は およそ40 - 45:60 - 55である[6]。また、血球成分(血液細胞)は重量比で赤血球96%、白血球3%、血小板1%で構成される。血漿成分は水分90%、血漿蛋白質7%、そのほか微量の脂肪、糖、無機塩類で構成される[6]
血の色

色はヒトを含む脊椎動物の場合、赤く見える。これは赤血球に含まれるヘモグロビン(鉄を含むタンパク質)という色素に由来する[7]。ヘモグロビンは多くの無脊椎動物においても血液中の酸素運搬に寄与する[7]ゴカイミミズ等の環形動物の血液も赤いが、これはヘモグロビンと同じく鉄系ではあるがエリスロクルオリンという成分による。ただし、補欠分子族や機能面で大きな差異が無い為、これもヘモグロビンの一種と取り扱うことができる[8]

無脊椎動物である頭足類または軟体動物カニ・エビなど甲殻類は銅系タンパク質のヘモシアニン(血青素)のために青みがかっていたり[9]ホヤなどではバナジウムを含むポルフィリン化合物のヘモバナジン(バナドクロム、バナドヘモクロモーゲン、ヘモバナジウム[10])のため緑色に見えるものなど多数の血色素が存在し、同じような色であっても異なる色素成分によることも多い。また、呼吸色素の種類により、酸素の運搬能力(効率)も異なる。
造血

哺乳類の場合、血球(血液細胞)はいずれも骨髄で造血幹細胞から分化・成熟したものである[11]造血の場は哺乳類と鳥類では主に骨髄、魚類では主に腎臓、両生類では脾臓である。爬虫類は種によってさまざまである[12][13])。健康人では未熟な細胞は骨髄から血液内に移動することは出来ず、血液内には赤血球、白血球、血小板のみが存在する[注 1]

ヒトの血液物性や成分は以下の値となる[1]

比重 男1.055 - 1.063 女1.052 - 1.060

赤血球数 男500万/mm3 女450万/mm3

白血球数 5000 - 8000/mm3

血小板 20万 - 50万/mm3

ヘマトクリット値 男42% 女37%

血漿タンパク質 7% (うちアルブミン56%)

pH 7.4


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