血液
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これはそのまま赤血球数の減少と読み替える事ができる[25]病理学的原因は、赤血球の生産力低下(鉄欠乏性貧血再生不良性貧血など)、過剰な崩壊(溶血など)、失血の3つがあげられる[25]
血友病[ソースを編集]

血友病とは血液を凝固させる因子が少なくなる遺伝的疾患であり、血が固まりにくい事から様々な不都合が生じる。ささいな傷が筋肉関節内部に血腫をつくり運動障害を起こしたり、歯科治療を困難にしたりする。本来の凝固因子欠乏は男性にしか起こらないが、本来は血友病に含まれない染色体劣性による凝固因子欠乏は男女ともに起こり得る[26]
白血病[ソースを編集]

白血病は血液中の白血球数が平常よりも増加する疾患であり、貧血・発熱・感染または血小板の減少などを引き起こす。根本要因は骨髄中の白血球をつくる細胞の暴走であり、その背景にある原因は不明ながらRNAウイルスへの感染や被曝などが推測されている[27]
その他[ソースを編集]

特定の疾患を抱えている場合、血液とくに血漿の中に存在する物質や酵素などの存在率に変化が起こる場合がある。血液検査はこの特性を利用した診断法である[1]
血液と病原体[ソースを編集]

病原体が体内で広がるにも血液を経由するものもある。血液そのものを住みかとする例(マラリア原虫など)もある。また、血液は普通は体外に出ないはずだが、実際には吸血動物を通じて人から人への移動が可能である。このような感染経路を持つ伝染病は数多い。ヒトの場合にもペストマラリアなど重要な伝染病が多い。このような感染経路をベクター感染という。それらの多くは衛生面の進歩によって先進国では姿を消しているが、そうでない国も多い。

それに代わって見られるようになったのが、医療的な処理(注射輸血など)の際に血液の交流が起こって、それによって感染が起きる例で、これを血液感染と呼んでいる。
血液型[ソースを編集]詳細は「血液型」を参照

他人同士の血液を混合すると、赤血球が引っ付き合う凝集反応が起こり、やがて塊の中で赤血球が破壊され溶血することがある。これが体内で起こると、血管の閉塞や、ショックまたは悪心などの症状に繋がる。これは免疫反応(抗原抗体反応)の一種であり、凝集を起こさない血液のグループを血液型という[28]

よく知られた血液型には、ABO式血液型Rh式血液型がある。1901年にカール・ラントシュタイナーが発見したABO式血液型は、赤血球の膜にある抗原(凝集原)A,Bの2種と、血漿中に含まれる抗体(凝集素)α,βの2種が関係し、4つの血液型に分類される。メンデルの法則に従い、優性のA・Bと劣性のO3種の遺伝子が2つ組み合わさって遺伝すると、A型(AA,AO)、B型(BB,BO)、AB型、0型(OO)の4種類に分かれる。A型の血漿にはβ、B型にはα、O型にはα・βの抗体があり、AB型は両方とも含まれていない。このAとαまたはBとβが結びつくと凝集と溶血が起こる[28]

Rh血液型は、赤血球の膜にある抗原体のRh因子を原因に起こる凝集であり、同じものがアカゲザル (rhesus monkey) から見つかったため、この名がつけられた。ABO式血液型と異なり通常の場合抗体は血液中に無い。しかしRh陰性(Rh-)の人がRh陽性の輸血を受けたり、Rh?の女性がRh陽性(Rh+)の胎児を妊娠した場合、体内に抗Rh抗体が生じる。そしてまた輸血を受けたりRh+の子供を妊娠すると、抗体が反応して赤血球凝集反応を起こす場合がある[28]
栄養源としての血[ソースを編集]ブーダンフランスのブラッドソーセージ)

血液は高栄養の液体であるため、これを食物とするのは不思議ではない。
人間[ソースを編集]「 血液の食用利用」を参照

人間では、イヌイットエスキモー)がアザラシなどを狩りで仕留めた時に、その血液を貴重な栄養源として(ビタミン源などとして)その場で飲む。西洋の料理ではブラッドソーセージや、血のプディングなどがある。中国や東南アジアではブタの血を固めて豆腐状にしたものをスープや麺料理の具などに用いる。朝鮮料理には、牛の血を入れた鍋料理「ヘジャンクク」や、米粉や野菜をブタの血と共に練り上げたものを詰めた腸詰スンデ」がある。肉食の伝統が乏しい日本料理には家畜の血を利用した料理はほとんど存在しないが、古くから豚肉が主要な素材だった沖縄料理には、固めたブタの血を入れた野菜炒め「チーイリチー」(血の炒り付け)がある。

日本ではスッポンニホンマムシの生き血を飲むことで精力がつくと信じる人がいる。モンゴルではザイダスという血のソーセージがある。また、伝統的生活を送るマサイ族にとって牛の血液は牛乳と共に重要な食糧であり、そのまま、あるいは牛乳に混ぜて飲む。日本では、1980年代の調査で年間1200-1300tの牛と豚の血液が輸入されており、そのうち300-400tが食品用として使用されている[29]。鉄分補給のサプリメントとして、血液を加工したヘム鉄などが販売されている。

フランス料理では、ジビエにおいて野鳥や野獣の血を、ヤツメウナギ料理においてはヤツメウナギの血を、風味付けのソースとして用いる事がある。

伝説・フィクション上では「吸血鬼」などの妖怪に、人の生き血を吸う伝承がある。
昆虫等[ソースを編集]血を吸う蚊

まず小型の動物について見ると、蚊()やアブ、あるいはノミシラミなど多くの種類の昆虫が血を栄養源として利用する吸血性昆虫である。ダニヒルも血を利用するものがある。吸血性の動物には、針状になった口を射しこんで血を吸うものが多い。その際に、痛みを与えるものもほとんど感じさせないものもあるが、多くのものでは、刺されたあとに傷口が腫れたりかゆくなったりといった反応を示す。これは、一つには血を吸う際に、血液の凝固を抑える化学物質を注入するためである。ヒルの場合、皮膚をかみ切るため、その傷口は長く血を流す。クモタガメなども「生き血を吸う」と言われることがあるが、これらは体外消化した液体を吸い込んでいるので内容は大きく異なる。多くの大型ほ乳類は、吸血性昆虫に悩まされる。人も例外でなく、血を吸う生き物には嫌悪感が強いのもそれとは無関係でないかも知れない。「@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}人の体毛が薄くなったのは吸血性昆虫を取りやすくするため[要出典]」とする説を唱える人もいる[誰?]。
動物[ソースを編集]詳細は「吸血動物」を参照

昆虫より大きな動物であれば昆虫や動物の血肉を食料とするため、血のみを食料とする例は少ない。ナミチスイコウモリハシボソガラパゴスフィンチの亜種等に例がある程度である。
文化と血液[ソースを編集]

「血液」は、より基本的には「」と言う。「血」は様々な文化で、親子関係、親族関係、遺伝に結び付けられて用いられている。例えば、「血統」「血脈」「血族」「血のつながり」や「血縁」といった表現で用いられている。

また、血液は負傷時に体外に流れ出るので、戦争暴力象徴メタファーとして用いられる[注 2]。例えば「血の日曜日」「血のバレンタイン」「無血革命」「血塗れの(ブラッディ)メアリー(メアリー1世)」などといった表現がある。「血の気が多い」「血気盛んな」といった表現は、気性が荒く乱暴な人物に対して用いられる。

演劇や映像作品では、実際に出血させるわけにはいかないので、血を模した血糊という小道具を用いる。
宗教[ソースを編集]旧約聖書レビ記』14章の記述を基に書かれたアスペルギルム(英語版)(聖水を振りかける道具)の原型

血液を生命、あるいはそれを象徴するものとして扱う文化がある。ゲルマン人は、Blotsという生贄の儀式で、血液に特殊な力があると信じられ、家畜の血を神像や自分の体などに振り撒いた。


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