血液
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このAとαまたはBとβが結びつくと凝集と溶血が起こる[28]

Rh血液型は、赤血球の膜にある抗原体のRh因子を原因に起こる凝集であり、同じものがアカゲザル (rhesus monkey) から見つかったため、この名がつけられた。ABO式血液型と異なり通常の場合抗体は血液中に無い。しかしRh陰性(Rh-)の人がRh陽性の輸血を受けたり、Rh?の女性がRh陽性(Rh+)の胎児を妊娠した場合、体内に抗Rh抗体が生じる。そしてまた輸血を受けたりRh+の子供を妊娠すると、抗体が反応して赤血球凝集反応を起こす場合がある[28]
栄養源としての血ブーダンフランスのブラッドソーセージ)

血液は高栄養の液体であるため、これを食物とするのは不思議ではない。
人間「 血液の食用利用」を参照

人間では、イヌイットエスキモー)がアザラシなどを狩りで仕留めた時に、その血液を貴重な栄養源として(ビタミン源などとして)その場で飲む。西洋の料理ではブラッドソーセージや、血のプディングなどがある。中国や東南アジアではブタの血を固めて豆腐状にしたものをスープや麺料理の具などに用いる。朝鮮料理には、牛の血を入れた鍋料理「ヘジャンクク」や、米粉や野菜をブタの血と共に練り上げたものを詰めた腸詰スンデ」がある。肉食の伝統が乏しい日本料理には家畜の血を利用した料理はほとんど存在しないが、古くから豚肉が主要な素材だった沖縄料理には、固めたブタの血を入れた野菜炒め「チーイリチー」(血の炒り付け)がある。

日本ではスッポンニホンマムシの生き血を飲むことで精力がつくと信じる人がいる。モンゴルではザイダスという血のソーセージがある。また、伝統的生活を送るマサイ族にとって牛の血液は牛乳と共に重要な食糧であり、そのまま、あるいは牛乳に混ぜて飲む。日本では、1980年代の調査で年間1200-1300tの牛と豚の血液が輸入されており、そのうち300-400tが食品用として使用されている[29]。鉄分補給のサプリメントとして、血液を加工したヘム鉄などが販売されている。

フランス料理では、ジビエにおいて野鳥や野獣の血を、ヤツメウナギ料理においてはヤツメウナギの血を、風味付けのソースとして用いる事がある。

伝説・フィクション上では「吸血鬼」などの妖怪に、人の生き血を吸う伝承がある。
昆虫等血を吸う蚊

まず小型の動物について見ると、蚊()やアブ、あるいはノミシラミなど多くの種類の昆虫が血を栄養源として利用する吸血性昆虫である。ダニヒルも血を利用するものがある。吸血性の動物には、針状になった口を射しこんで血を吸うものが多い。その際に、痛みを与えるものもほとんど感じさせないものもあるが、多くのものでは、刺されたあとに傷口が腫れたりかゆくなったりといった反応を示す。これは、一つには血を吸う際に、血液の凝固を抑える化学物質を注入するためである。ヒルの場合、皮膚をかみ切るため、その傷口は長く血を流す。クモタガメなども「生き血を吸う」と言われることがあるが、これらは体外消化した液体を吸い込んでいるので内容は大きく異なる。多くの大型ほ乳類は、吸血性昆虫に悩まされる。人も例外でなく、血を吸う生き物には嫌悪感が強いのもそれとは無関係でないかも知れない。「@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}人の体毛が薄くなったのは吸血性昆虫を取りやすくするため[要出典]」とする説を唱える人もいる[誰?]。
動物詳細は「吸血動物」を参照

昆虫より大きな動物であれば昆虫や動物の血肉を食料とするため、血のみを食料とする例は少ない。ナミチスイコウモリハシボソガラパゴスフィンチの亜種等に例がある程度である。
文化と血液

「血液」は、より基本的には「」と言う。「血」は様々な文化で、親子関係、親族関係、遺伝に結び付けられて用いられている。例えば、「血統」「血脈」「血族」「血のつながり」や「血縁」といった表現で用いられている。

また、血液は負傷時に体外に流れ出るので、戦争暴力象徴メタファーとして用いられる[注 2]。例えば「血の日曜日」「血のバレンタイン」「無血革命」「血塗れの(ブラッディ)メアリー(メアリー1世)」などといった表現がある。「血の気が多い」「血気盛んな」といった表現は、気性が荒く乱暴な人物に対して用いられる。

演劇や映像作品では、実際に出血させるわけにはいかないので、血を模した血糊という小道具を用いる。
宗教旧約聖書レビ記』14章の記述を基に書かれたアスペルギルム(英語版)(聖水を振りかける道具)の原型

血液を生命、あるいはそれを象徴するものとして扱う文化がある。ゲルマン人は、Blotsという生贄の儀式で、血液に特殊な力があると信じられ、家畜の血を神像や自分の体などに振り撒いた。
ユダヤ教
ユダヤ教では血液は生命であるとされ、食べることが禁じられている(レビ記)。そのため、動物を食べる際には屠殺の方法が厳格に規定されている。レビ記1章「主への燔祭(生贄の捧げ方)の仕方」として、1:5に「彼は主の前でその子牛をほふり、アロンの子なる祭司たちは、その血を携えてきて、会見の幕屋の入口にある祭壇の周囲に、その血を注ぎかけなければならない。」と記述されるほか、子牛以外の生贄についても血液による清めの方法を記載されている。
キリスト教
福音書によると、イエス・キリスト最後の晩餐の席において、(その場に自分を裏切ろうとしている者がいることを指摘し)、パンブドウ酒を手にとって、それらが、自分の体であり、多くの人のために流す契約の血である、と言った。(『マルコによる福音書』14章17節?。)。キリスト教では、ユダヤ教より食物規定は緩く、ブラックプディングやブルート・ヴルストなど血液を用いた料理も食べられている。キリスト教系のエホバの証人は、使徒言行録 15章28, 29 ("Keep abstaining...from blood.")の解釈を理由に輸血拒否する場合がある。信徒によっては、自分自身の血液や、主要な血液分画(赤血球、白血細胞、血小板、血漿)の中から受け入れられる要素を個人の決定で受け入れることができる[30]
イスラム教
イスラム教では、血を含む食品を食べるのはクルアーン食卓の章(5章3「あなたがたに禁じられたものは、死肉、血、豚肉、アッラー以外の名を唱え殺されたもの?」)の解釈で禁止されている。血は穢れと考えられ、血が出た場合の対処法も規定されている。動物を屠殺する際、血を完全に抜いてから食肉処理するなどの細かいハラールの規定がある。

アステカにおいては太陽の運行と血には密接な関連があると信じられており、太陽の正常な運行を守るために人間の心臓と血を生贄として捧げた。
食用詳細は「血液の食用利用」を参照「食のタブー#血液」も参照

本ページ、「#栄養源としての血」を参照の事。
他の用途

血粉
- 家畜などを食肉処理した際に出た血液を乾燥させたもの。飼料肥料とする。

義兄弟(blood brother) - 血縁関係のない人間同士で兄弟となること。英語圏では、自らの指・手・腕のいずれかに傷を付け互いの傷同士を重ね血を交換して義兄弟となる。別の場所では、血とワインを混ぜて、飲み干すという儀式を行う。このように血によって肉親としての関係性を築いた。

契約書 - 血判状悪魔の契約書など、重要な契約を行う際に使われた。

その他、研究用途

数値

血液重量が体重に占める割合は動物によって異なる。ヒトやイヌ7.7%、ネコ5.5%、ウサギ5.4%、ラット5.0%、ニワトリは10%になる[1]
主な脊椎動物の血液重量比

脊椎動物において、体重に占める血液の重量比率は動物の種によって大きく異なる。数値は、Bertelsmann 1979, Oppenheimer and Pincussen 1925, Prosser 1973から[31]


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