血液
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日本では、1980年代の調査で年間1200-1300tの牛と豚の血液が輸入されており、そのうち300-400tが食品用として使用されている[29]。鉄分補給のサプリメントとして、血液を加工したヘム鉄などが販売されている。

フランス料理では、ジビエにおいて野鳥や野獣の血を、ヤツメウナギ料理においてはヤツメウナギの血を、風味付けのソースとして用いる事がある。

伝説・フィクション上では「吸血鬼」などの妖怪に、人の生き血を吸う伝承がある。
昆虫等血を吸う蚊

まず小型の動物について見ると、蚊()やアブ、あるいはノミシラミなど多くの種類の昆虫が血を栄養源として利用する吸血性昆虫である。ダニヒルも血を利用するものがある。吸血性の動物には、針状になった口を射しこんで血を吸うものが多い。その際に、痛みを与えるものもほとんど感じさせないものもあるが、多くのものでは、刺されたあとに傷口が腫れたりかゆくなったりといった反応を示す。これは、一つには血を吸う際に、血液の凝固を抑える化学物質を注入するためである。ヒルの場合、皮膚をかみ切るため、その傷口は長く血を流す。クモタガメなども「生き血を吸う」と言われることがあるが、これらは体外消化した液体を吸い込んでいるので内容は大きく異なる。多くの大型ほ乳類は、吸血性昆虫に悩まされる。人も例外でなく、血を吸う生き物には嫌悪感が強いのもそれとは無関係でないかも知れない。「@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}人の体毛が薄くなったのは吸血性昆虫を取りやすくするため[要出典]」とする説を唱える人もいる[誰?]。
動物詳細は「吸血動物」を参照

昆虫より大きな動物であれば昆虫や動物の血肉を食料とするため、血のみを食料とする例は少ない。ナミチスイコウモリハシボソガラパゴスフィンチの亜種等に例がある程度である。
文化と血液

「血液」は、より基本的には「」と言う。「血」は様々な文化で、親子関係、親族関係、遺伝に結び付けられて用いられている。例えば、「血統」「血脈」「血族」「血のつながり」や「血縁」といった表現で用いられている。

また、血液は負傷時に体外に流れ出るので、戦争暴力象徴メタファーとして用いられる[注 2]。例えば「血の日曜日」「血のバレンタイン」「無血革命」「血塗れの(ブラッディ)メアリー(メアリー1世)」などといった表現がある。「血の気が多い」「血気盛んな」といった表現は、気性が荒く乱暴な人物に対して用いられる。

演劇や映像作品では、実際に出血させるわけにはいかないので、血を模した血糊という小道具を用いる。
宗教旧約聖書レビ記』14章の記述を基に書かれたアスペルギルム(英語版)(聖水を振りかける道具)の原型

血液を生命、あるいはそれを象徴するものとして扱う文化がある。ゲルマン人は、Blotsという生贄の儀式で、血液に特殊な力があると信じられ、家畜の血を神像や自分の体などに振り撒いた。
ユダヤ教
ユダヤ教では血液は生命であるとされ、食べることが禁じられている(レビ記)。そのため、動物を食べる際には屠殺の方法が厳格に規定されている。レビ記1章「主への燔祭(生贄の捧げ方)の仕方」として、1:5に「彼は主の前でその子牛をほふり、アロンの子なる祭司たちは、その血を携えてきて、会見の幕屋の入口にある祭壇の周囲に、その血を注ぎかけなければならない。」と記述されるほか、子牛以外の生贄についても血液による清めの方法を記載されている。
キリスト教
福音書によると、イエス・キリスト最後の晩餐の席において、(その場に自分を裏切ろうとしている者がいることを指摘し)、パンブドウ酒を手にとって、それらが、自分の体であり、多くの人のために流す契約の血である、と言った。(『マルコによる福音書』14章17節?。)。キリスト教では、ユダヤ教より食物規定は緩く、ブラックプディングやブルート・ヴルストなど血液を用いた料理も食べられている。キリスト教系のエホバの証人は、使徒言行録 15章28, 29 ("Keep abstaining...from blood.")の解釈を理由に輸血拒否する場合がある。信徒によっては、自分自身の血液や、主要な血液分画(赤血球、白血細胞、血小板、血漿)の中から受け入れられる要素を個人の決定で受け入れることができる[30]
イスラム教
イスラム教では、血を含む食品を食べるのはクルアーン食卓の章(5章3「あなたがたに禁じられたものは、死肉、血、豚肉、アッラー以外の名を唱え殺されたもの?」)の解釈で禁止されている。血は穢れと考えられ、血が出た場合の対処法も規定されている。動物を屠殺する際、血を完全に抜いてから食肉処理するなどの細かいハラールの規定がある。

アステカにおいては太陽の運行と血には密接な関連があると信じられており、太陽の正常な運行を守るために人間の心臓と血を生贄として捧げた。
食用詳細は「血液の食用利用」を参照「食のタブー#血液」も参照

本ページ、「#栄養源としての血」を参照の事。
他の用途

血粉
- 家畜などを食肉処理した際に出た血液を乾燥させたもの。飼料肥料とする。

義兄弟(blood brother) - 血縁関係のない人間同士で兄弟となること。英語圏では、自らの指・手・腕のいずれかに傷を付け互いの傷同士を重ね血を交換して義兄弟となる。別の場所では、血とワインを混ぜて、飲み干すという儀式を行う。このように血によって肉親としての関係性を築いた。

契約書 - 血判状悪魔の契約書など、重要な契約を行う際に使われた。

その他、研究用途

数値

血液重量が体重に占める割合は動物によって異なる。ヒトやイヌ7.7%、ネコ5.5%、ウサギ5.4%、ラット5.0%、ニワトリは10%になる[1]
主な脊椎動物の血液重量比

脊椎動物において、体重に占める血液の重量比率は動物の種によって大きく異なる。数値は、Bertelsmann 1979, Oppenheimer and Pincussen 1925, Prosser 1973から[31]

動物体重に対する
血液重量比率(%)変動幅
コウモリ13.0
シロナガスクジラ6.5
ネコ5.6
ウシ5.2 - 5.7
ニワトリ7.0
ヨーロッパヒキガエル5.64.7 - 6.3
ワニ15.4
イヌ8.62.3 - 8.7
カモ10.2
ウナギ2.9
オオヤマネ5.85.3 - 6.0
ヤギ7.3
ヨーロッパヤマカガシ7.7
モルモット7.5
ノウサギ7.56.4 - 8.1
ハリネズミ8.0
ウマ7.6
ヒト男性)6.5 - 7.1
ヒト女性)7.1 - 7.8
トカゲ5.84.7 - 7.0
ハツカネズミ5.84.6 - 7.0
ホライモリ2.9
ブタ4.62.3 - 8.7
ラット7.5
カワラバト7.8
オンドリ9.0
サンショウウオ6.15.5 - 6.8
サケ2.8
ヤツメウナギ4.9
サメ7.0
ヒツジ8.16.6 - 10.4
アシナガトカゲ5.23.8 - 7.6
カメ9.1

脚注[脚注の使い方]
注釈^ 通常、血液細胞はこの分類がされることが多いが、リンパ球をさらに細かく分類することもある。また組織中の肥満細胞は同じく造血幹細胞から分化し、同じく組織中に存在するマクロファージは造血幹細胞から単球を経て分化するため、これらも広義には血液細胞の1種に数えられることもある。


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