蟲師
[Wikipedia|▼Menu]
「奇妙な虹」に憑かれた父親を持つ男は、病に臥せった父のため虹を採る旅に出た。雨宿りに立ち寄った木の下で男に出会ったギンコは、奇妙な虹の正体を蟲だと教え、虹探しに同行する。長く辛い旅を続けた末、虹を見つけた時、男の心の内に宿るものは……。
綿胞子(わたぼうし)
婚礼の最中、輿入れで通った森の中で、「綿帽子にポツリと付いた緑のシミ」。それが全ての始まりか……。1年後、男の妻が生んだ赤子は人の姿を持たない緑の塊。驚く両親の目の前から、それはヌルリと床下へ消えた……。さらに1年の後、一度は諦めた己の赤子は床下より産まれる。人の姿をもって…。さらに半年、また産まれる。さらに半年、また…。増え続ける子供たちと、その子供の身体を突然蝕み始めた見覚えある緑のシミ。助けを求める両親にギンコが示す残酷な現実……。アニメ版「日蝕む翳」ではさらなるその後が描かれている[注 3]
第3巻この節には、一部のコンピュータや閲覧ソフトで表示できない文字(錆)が含まれています(詳細)。
の鳴く聲(さびのなくこえ)
鉄に留まらず木、石、土、人まで「なんにでも付く錆」に蝕まれた村。その原因解明と治療のため、村へと呼ばれたギンコは病の起こり始めた年に生まれた、何も話さない少女に注目するが……。
海境より(うなさかより)
2年半前、奉公先の娘と駆け落ちの途中に起こしたつまらぬ諍い。仲違いをしたまま乗った船、もやの中に「海を泳ぐ蛇の群れ」を見た男は怪異に出会う。流れ着いた浜辺で、後悔の中男は今も帰らぬ娘を待ち続ける。男の話に心当たりを感じ調査を始めたギンコは、男にある提案を持ち掛ける……。
重い実(おもいみ)
「天災に見舞われるたび、村人1人の命と引き換えに必ず豊作になる」という奇妙な村。その話に蟲師最大の禁じ手である「ナラズの実」の存在を感じとったギンコは村の祭主のもとへと向かう……。アニメではオープニングがカットされている話を除き、全シリーズで唯一、アバンタイトルを採用している。
硯に棲む白(すずりにすむしろ)
悪戯で、里医者化野の収集品を納めた蔵へと入り込んだ子供達が見つけたものは、「蟲の化石で作られたといわれる妖しの」。その晩、子供達は突然「体温を奪われる病」に襲われる。治療に出向いた先で、子供の悪戯を知り事態を悟った化野はギンコに助けを求める。調査を開始したギンコは硯の出所を突き止めるが……。アニメ版ではたがねが彫った銘のカットが追加され「鏨」と明記されている。
眇の魚(すがめのうお)
母親と行商の旅をしていた少年ヨキは、崖崩れに遭い母親を失う。一人さ迷い歩いた末に深い深い森の中で行き倒れたヨキを助けたのは、「白髪、隻眼の女蟲師ぬい」だった。元より行き場のないヨキはぬいの元にとどまり蟲師としての知識や思考を教えられるが、森とぬいにはヨキの知らない秘密があった……。蟲師ギンコの原点を辿る物語。
第4巻
虚繭取り(うろまゆとり)
放浪の旅を続けるギンコの「ウロ繭に届いた、自分宛ではない千切れた一通の文」。「まだ続けてたのか…。」行方不明の双子の姉を探すその文を手に、ギンコはウロ守・兎澤綺のもとへと向かう……。アニメ版「日蝕む翳」では結末が映像化されている
[注 3]
一夜橋(ひとよばし)
山間に架かる吊り橋から落ちた少女。到底助からぬ高さだったにも関わらず、少女は谷底から自力で歩いて戻る。しかし少女は心を無くしていた。「谷戻り…」里の者は噂する。治療に呼ばれたギンコは、少女の身体に蟲を見る。少女に何があったのか…。また里に伝わる「一夜橋(ひとよばし)」の伝説とは……。
春と嘯く(はるとうそぶく)
「毎年冬になるとどこからか採ってきた春の山菜を抱え春まで目覚めぬ眠りに付く弟。」冬の凍て山に難儀したギンコが一夜の宿を頼んだ民家。肩を寄せ合うように生きる姉弟が抱える誰にも言えない秘密、「春まがい」の謎にギンコが挑む……。
籠のなか(かごのなか)
旅の途中、脚を休めた竹林でギンコが出会ったのは、「竹林に囚われた男と、人と白い竹の間に産まれた男の妻。」。どうやっても竹林から出る事のかなわない男の夢は、家族3人でふもとの村に戻る事……。男の願いを受けてギンコは白い竹を調査するが……。アニメ版「日蝕む翳」ではさらなるその後が描かれている[注 3]
草を踏む音(くさをふむおと)
「毎年、五月雨(さみだれ)降る頃山へとやって来る奇妙な集団」。蟲が見える地主の息子は、集団に属する少年イサザと知り合う。光脈を追い放浪し続ける事の定められた「ワタリ」の少年と、決められた場所に定住し続ける事の定められた少年……。互いに違う地点に立ち、違う価値観を持ちながらも、互いが互いを羨みながら、少年時代のひと時を共に過ごした彼らが歩んだ道は……。
第5巻
沖つ宮(おきつみや)
「生きているうちに沈んだ者を、望月の晩、命の種へ変えて吐き出すという“竜宮の海淵”」。吐き出された種を飲めば沈んだ命を「生みなおす」ことが出来るという……。噂を聞いて島へと赴いたギンコは村で、父に懇願され死病に犯された母を「生みなおした」という女に出会う。成長するにつれ、生前の母をなぞるように行動しはじめた娘に戸惑う女は、ギンコに真相の解明を依頼する。果たして「生みなおし」の真実は……。
眼福眼禍(がんぷくがんか)
娘の盲目を治すため、蟲師の父が持ち帰った「幻の蟲」。それは、娘に初めての光と、見えることの喜びを与えたが……。放浪の途中、街道筋の宿場町でギンコは、見える眼(まなこ)を閉じ、路上で蟲の話を弾き語る奇妙な女に出会う。ギンコが来ることが視えていたという女の頼み、「私の目玉を山に埋めてくれ。」とは一体……。視える幸せ、視えない幸せ……。
山抱く衣(やまだくころも)
骨董商がギンコに差し出した1枚の
羽織は、「羽裏(羽織の内側)に描かれた山画から時折煙を立ち上らせる」という。一昔前に名を馳せた天才絵師の筆だというその羽織から蟲の気配を感じ取ったギンコは、絵の題材になっている絵師の故郷へと向かう。1枚の羽織が織り成す、絵師と山の物語……。
篝野行(かがりのこう)
開墾の途中掘り出された「溶岩石から生えた1本の草」。村中の誰もが気にしなかったその草は、周囲の草木を枯らしながら瞬く間に山を覆いつくし村へと迫る。新種の蟲の噂を聞き調査にやってきたギンコは、村の蟲師が解決策として下した決定「山を焼き払う事」に疑念を抱き反対するが……。
暁の蛇(あかつきのへび)
一昨年前の春を境に、「眠ることを忘れた女」はそれにともなって、あらゆる物事を忘れ始めた。団子、蟹、くしゃみ、自分の妹……。女の息子から助けを求められたギンコは、その謎を解明し対処法を教えるが……。忘れたい記憶……忘れられない記憶……。
第6巻
天辺の糸(てんぺんのいと)
「蒼天より垂れる白い糸、掴んだ娘は虚空に消えた…」。山越えの途中ギンコは、樹の頂上に座り込む、記憶を失った娘を拾う。娘はギンコの協力で村へと帰るが、怪異に出会った事で蟲の領域へと引きずられていた。戸惑う娘の恋人に対し、娘を人に戻すためギンコが示す方法とは……。
囀る貝(さえずるかい)
海辺に生きる少女が貝を拾い耳にあてがう。そこから聞こえる調べは波の音……のはずだった。ヒトは弱い生き物だ。生きるためには助け合わねばならない。恐れや怒りを相手にぶつけたところでそこからは何も生まれはしない。生きるために本当に必要なこと、それを教えてくれる話……。
夜を撫でる手(よるをなでるて)
夜の山中に漂う「腐臭の混じった光酒の匂い」を辿ったギンコはその先で、異様な殺気を放つ人影に行き当たる。翌朝、山を抜けた先の村で人影の正体である男と出会ったギンコは、その殺気の正体が光酒の腐敗したモノ、「腐酒(ふき)」であることを見抜き治療することを提案するが……。酔ってはならない酒に酔う男の見るものは……。
雪の下(ゆきのした)
冬の湖、ほんの一時目を離した隙の事故により妹を失った少年は、未だその死を受け入れきれずにいた……。「雪蟲」類の研究に雪降る山里へとやって来たギンコは、旅籠の娘から「希少種の雪蟲に憑かれた少年」の話を聞き、少年の元を訪れる。蟲に憑かれた事から寒さを感じず、暖の一切を受け付けることの出来なくなった少年の身体に痛みを診てとったギンコは治療を進めるが……。凍えた身体……凍えた心……凍えた記憶……。
野末の宴(のずえのうたげ)
父の造る酒は美味かった……。名
杜氏であった父を目指し精進を続ける男は、ついに「黄金色に輝く見事な酒」を造ることに成功する。深い喜びと共に酒を片手に父のもとに帰る夜の山中、酒のもたらす酩酊の中で男は異形の生物を見る。誘われるままに生物を追った男の行き着く先は、奇妙な集団の不思議な宴……。アニメ版では「吸蜜糖」のカットが追加されている。
第7巻
花惑い(はなまどい)
春。変わらぬ旅の道すがら、桜の名木見物にやって来たギンコは「蟲に憑かれ80年もの間、若さを保っているという女」に出会う。
次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:135 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef