虹のかなた
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社長の小川直之は、元運転手の中野勇から逆恨みされて新製品の特許を奪われて倒産に追い込まれてしまう。直之は、手当たり次第取り引き先に電話をかけて説明をするが話を聴いてもらえず、生産工場の工場長に生産の中止を申し出ると剣幕で怒鳴られ、ついには会社の前で路上販売を決行するが、チンピラが現われて暴行されてお金まで持ち逃げされた。窮地に追い込まれた直之は、自身の生命保険で社員の生活や会社の負債を返済すると決心し、娘のちひろと妻の久美子を置いて自殺。

残された直之の妻・久美子と娘のちひろは、久美子の弟の遠藤隆をたより、そのうどん店で住み込みで働くことになるが、隆の妻の美由紀は、収入のない小川母子の弱みにつけこみうどん店の仕事をさせたほかに家事をさせ、忙しさのために病院の定期検診にもいけないくらいだった。それでも久美子はお芝居の好きでたまらないちひろのために中野の会社の内職をこっそりはじめるのだった。しかし、久美子は無理がたたりがんを再発し、さらに中野の会社の内情を知る秋庭工場長を殺害した容疑で罪をなすりつけられ、拘置所に収容される。

病気が日々悪化していくなかで久美子は、警察から毎日罪を認めれば刑が軽くなるという誘導尋問に対して、ちひろの劇団の月謝を中野に保証してもらいたいばかりに黙秘を続け、がんは悪化し、拘置所内の医務室で看護師であり佳和の母親である唐沢ゆき子(あき竹城)に看取られながら、「夢はだれにも盗めない。夢はちひろだけの宝ものなの」という最愛の娘へのメッセージともとれる遺言のような言葉を残して息をひきとってしまう。やがてちひろは、中野の陰謀により、中野の家(旧:小川邸)に引き取られることになる。

母親の死後、小川ちひろは母の突然の死と叔母に劇団を強引に退団させられてしまったことが原因で、激しい絶望感の中、いつも行く公園で落ちこんでいた。そんな時、老人が公園で暖かい励ましの声をかけてくれた。後にちひろの師匠となるしげ爺こと立野繁造である。

かすかな希望の光が見えてきたちひろは、親戚の奈緒子やその友達たちが泥水の地面に投げ捨てた芸能雑誌を見て目を輝かせる。そこには「川嶋プロのオーディション」の記事が書いてあり、ちひろはすぐに受けようと決心する。しかし、保護者である中野[注釈 3]に同意してもらえないことに焦りを感じ、夜中に印鑑をこっそり探して自分で押すと言う最後の手段をとる。[注釈 4]しかし、中野の息子の健一に見つかる。味方だと信じていた叔父の隆にも中野の吹聴が原因で理解してもらえず、鉄橋で再び激しい絶望を感じていたところ、以前近所の公園で出合った不思議な老人「しげ爺」に助けられ、オーディションに応募することができた。

ちひろは、しげ爺のレッスンとアドバイスを受けて才能を発揮し、書類選考、地方予選と次々通過していった。全国大会の選考会議では、歌は巧くないが不思議な才能を感じさせる小川ちひろを推す意見と、アイドルの王道ともいえるビジュアルと歌声の田代茜を推す意見が多かった。

水沢晶(伊藤かずえ)は、オーディションの申込書を渡した時から、ちひろを10年に一度以上の才能と見込んでいた。晶は、遠藤美由紀のちひろの過去についての「告発」にもかかわらず、選考会議でちひろを賞に選ぶことを強く主張し、ちひろは、審査員特別賞に選ばれることになった。

グランプリ受賞の田代茜(小川真奈)と最終選考合格者の広川真紀(北村美渚)とともに、「ビタースウィーツ」というグループを結成し、デビュー曲「Pure」は、大ヒットし、マスコミからは次々と取り上げれて国民的なアイドルとなる。

しかし、それを快く思わない中野は、怪文書や週刊誌のゴシップ記事で川嶋プロに脅しをかける。川嶋プロの社長(鶴田忍)は、涙の記者会見を企画してちひろに同情させて味方につけて切り抜けようとするが中野の攻撃はやまなかった。

ちひろは、大変な状況な中でも仲間の励ましにより前向きに生きようと思っていた。そんな時、以前久美子と一緒に工場で働いていた松村栄子(角替和枝)がその記者会見の放送を偶然見ていて内容が事実と違うと感じ、ちひろを探し出す。ちひろは以前住んでいたけむりやへ行き、久美子からの手紙を発見する。そこで久美子が自分の夢の為に犠牲になっていたことを知り、さらに中野に弱みを握られていたせいで病気が悪化していったことを悟り、だんだんと中野への不信感と今まで騙してきた怒りがこみあげてくる。そしてちひろは中野邸に行き、真実を中野に問いただす。

中野はちひろと久美子をバカにしたように話し、自ら無関係だと言い放つ態度を見たちひろは、「あんたなんて人殺しよ!!」と言い放ち、激しい怒りの中、ちひろは中野に復讐をすることを決心して姿を消したのであった。一方、川嶋プロは「ビタースウィーツ」に見切りをつけ、晶は責任をとって退職した。
第2部(復讐)

14年後.....潜伏して復讐の機会をねらうちひろと小さな劇団の主演女優のちひろ【佳和の主宰する劇団レインボウの稽古場】ストーリー上重要な場面に時々登場する建物。第22話:チケット代を持ち逃げした元劇団員のヒロツグを佳和が追いかけていた場所。

14年後、小川ちひろの最愛の母親の久美子が罪を着せられた秋庭殺害事件の時効まであと10か月に迫ったころ、大人になったちひろ(榎本加奈子)は、母の無実を証明するために、昼間はベビーシッター、企業調査事務所、夜は、ホステスになりすまし、中野の身辺を探っていた。中野の部下の名越専務(小林すすむ)がクラブ「Bitter Sweets」の常連客であること知ったちひろは、ホステスになりすまして気付かれないように盗聴器をしかけ、秋場殺害の実行犯が柴田という男であることを知る。そして、雑誌記者として中野の悪事を暴いた記事を書き本格的な復讐を開始した。

一方、14年前、ミュージカル「オズの魔法使い」の舞台裏で働いていた演劇青年の唐沢佳和(涼平/現・小田井涼平)は、自分が主宰する劇団の公演を控えているが資金繰りに苦しんでいた。

そんな中、なけなしのチケット代を劇団員に持ち逃げされる。佳和は、持逃げ犯の劇団員に突き飛ばされたちひろに偶然出会うことになり、『オズの魔法使いが好きな人がそんなに簡単に夢をあきらめられるのか?』とちひろに問い返されて初心を取り戻す。またちひろは、匿名で150人分のチケット45万円を購入して佳和の劇団公演の窮地を救うが、それが逆に佳和の恋人である遠藤奈緒子(岡元夕紀子)の嫉妬心をあおることになる。

チケット代の話を佳和から聞いた奈緒子は、ちひろの好意を自分が買ったかのようにと嘘をつき、得意そうに劇団レインボウの練習を見学しにいく。その際、主役の女優の恵(松本まりか)がフィナーレ部分で苦戦しているところを奈緒子にけなされてやる気がなくなり、劇団を辞めてしまう。

佳和は恵の代役を劇団員と共に探すがなかなか見つからず、公演の中止の危機に追い込まれる。そんな中、佳和はずっと心の片隅で気になっていたちひろに頼めないかと考えはじめていた。それを読みとった奈緒子は、佳和に気に入られる為に自分が主役をやることを申し出たが、その演技は稚拙であり、監督気取りで見下した態度に劇団員は激怒してしまう。

佳和は、ちひろを見つけだして主役を頼むが、いくら出すのか、他人の夢にはつきあっていられない、とすげなく断わられてしまう。だが、そのちひろの言葉には、佳和に迷惑をかけたくないという思いやりと、中野への復讐のことで頭がいっぱいだからだった。

その帰り道、ちひろは秋庭殺しの実行犯である柴田(山本龍二)の父親が入院している病院へ情報を探る為に知人を装って看病しにくるが、そこで偶然にも殺人犯の柴田と病院内ですれ違うことになる。

面識がない柴田はちひろのことを不信に思い、後をつけ、神社で背後からちひろに襲いかかる。たまたま通りかかった佳和は、ちひろを助け出すが、柴田に突き飛ばされ、神社の石段からころげおちて大怪我をしてしまう。そして彼は心因性言語障害に陥って声が出なくなってしまった。

柴田の父親の敬三(品川徹)はついに病死してしまうが、ちひろが最後まで看病を続けてきてくれたことに満足して亡くなっていった。その看病するちひろの姿と父親の最後の姿を見た柴田は、元ヤクザの義理と人情を取り戻したのか、ちひろに興味を寄せて自分の部屋へ招く。柴田は復讐の意図を問いかけるが、ちひろは、自分の父親と母親を罠にはめた中野に対しての強い怨みや憎しみ、小学生で母親と父親を亡くし、自分の夢までを"亡くさせられた"悔しさや憎さ、悲しみ、怒りの言葉を、涙を流しながら誰かに問い掛けるように話す彼女の姿を見て、復讐に協力することを約束したのだった。


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