藤原啓治
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声優としての初仕事の現場には「アフレコには既に慣れている」と通されていたので初仕事と言えず、業界のルールや用語が理解できず苦悩したことを語っており[17]、ノイズがマイクに入ったりセリフが絵に合わないという新人にありがちなミスを連発していたが、決して動揺を見せないように振る舞っていた。なお、現場でその一部始終を見ていた森川は30年以上経った今でもよく覚えており、ミスを連発しても全く動じず、周囲に今回が声優デビューであると気付かせなかった藤原の姿を初めて会った時の思い出として挙げている[20]。アニメでの初レギュラーはテレビアニメ『横山光輝 三国志』の張飛翼徳[14]

若手の演技に対して「もうちょっとこうやったほうが……」、「もう少し仕事があってもおかしくないくらいなのに」と思うことがあり、「もう少し言える場があったらいいな」と思っていたという[15]。「制作をやってみたい」という気持ちもあり、スタッフが必要になり、給料を払わなければまっとうではなく「事務所に所属しながらやることは無理だ」と思い[15]2006年11月に自ら事務所「AIR AGENCY」を立ち上げ、代表取締役となる。2008年4月より日本芸術専門学校大森校声優学科講師に就任し、隔週で授業を担当していた。

2010年、『カッコカワイイ宣言!』(『サキよみ ジャンBANG!』内で放送)で音響監督デビューした。

2011年10月に『ニュータイプアニメアワード2011』にて声優助演男優賞を受賞[21]

2016年8月8日、病気療養のために当面の間、休業することを発表。レギュラー出演していた『クレヨンしんちゃん』は同月26日放送分[注 1]より、Amazonプライム・ビデオにて同月3日から配信の『クレヨンしんちゃん外伝 エイリアン vs. しんのすけ』は、9月28日配信の第9話より出演を見合わせることも併せて発表され、その他の持ち役にも順次代役・後任が立てられた。なお、病気の詳細に関しては当初は非公表であった[22]

2017年1月9日、テレビ朝日にて放映された『人気声優200人が本気で選んだ!声優総選挙!3時間SP』で第3位に選ばれる[23]

2017年6月16日、体調を考慮しながら徐々に仕事を再開することが所属事務所から発表された[24]。同年6月28日、復帰作が8月11日公開の『スパイダーマン:ホームカミング』の吹き替えであると発表された[25]。森川によると復帰後は自分のペースで仕事をしていたといい[26]、休業前に退いた持ち役への復帰はほとんど行われなかった。

アベンジャーズ/エンドゲーム』公開後、同作までは何としてもトニー・スタークを吹き替える事を目標としていたため、観終わった後は「感慨深いものがありました」と語っていた[27]

2020年4月12日のため死去。満55歳没。生涯独身だった。通夜・告別式は近親者のみで営まれ、同月16日に所属事務所より発表された[10]

2020年4月17日BS朝日遅れ放送されている『クレヨンしんちゃん』では画面下部に藤原の死去を知らせるテロップが映された[28]。また、翌4月18日放送のテレビ朝日系列の『クレヨンしんちゃん』では、番組終了直前に放送最初期[注 2]の野原一家のアニメーションと共に藤原の死去を知らせるテロップが映し出され、野原ひろしを象徴する「しんのすけー!」と叫ぶ藤原の声も流された[29]。また、5月10日テレ朝チャンネルにて『クレヨンしんちゃん』“野原ひろし”思い出のエピソードと劇場版『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』が12時30分から6時間半かけて一挙放送された[30]

死去後にクレジットされた作品として、2020年7月に放送された『THE GOD OF HIGH SCHOOL ゴッド・オブ・ハイスクール』と同年12月に放送された『無能なナナ』は、生前に収録を済ませている[31][32]
特色

方言は東北弁[9]

役柄としては、父親や保護者、チームのまとめ役といったポジションを演じることが多い[33]。映画ライターの杉本穂高は藤原が他界した際、藤原の声優としての魅力について「少し抜けているけどカッコよさを兼ね備えた厚みのある人間を演じるのが、非常に上手い方だったと思います。カッコよさの中に多面的なユーモアや寂しさなどを取り入れ、声の色艶で様々な感情を表現する稀有な声優さんだったと思います。日本の芸能界にとっては本当に大事な存在でした」と評した[33]

ナレーターとしても活動しており、『ケロロ軍曹』や『スクールランブル』などのアニメでナレーションを担当していた。

ゾイド -ZOIDS-』、『鋼の錬金術師』、『天保異聞 妖奇士』、『BLOOD+』、『機動戦士ガンダム00』、『青の祓魔師』、『マギ』など、人気のアニメ枠・土6、後に日5毎日放送製作、TBS系列)に頻繁に出演していた。

原恵一監督作品には常連として多く出演しており、原も矢島晶子共々「いつも僕の作品にご出演頂いています」とコメントしている。また、藤原本人も原から『百日紅?Miss HOKUSAI?』への出演オファーをもらった際には、「待ってたぜ原さん!」と出演に対して喜ぶコメントをしている[34]

アイアンマン』(劇場公開版)のトニー・スターク役(同シリーズの第1作、第2作のテレビ朝日『日曜洋画劇場』版に限っては池田秀一、第1作の機内上映版に限っては桐本拓哉が担当)を吹き替えてからは、ロバート・ダウニー・ジュニアの専属(フィックス)声優としても知られていた[35][36]。藤原はロバートが細かい表現をする表情の魅力などを意識して吹き替えをしていたと明かしており、何度も演じたことから、芝居の質や傾向、持ち味が理解出来たという。また、生前はロバートの吹き替えについて「昔から好きな俳優の一人だったので、(声を)アテさせてもらえる機会が多いのはうれしいなと思っています」と喜びを語っていた。ロバートの芝居については「軽い部分があって、どこか真剣味に欠けていて(笑)、皮肉っぽくて、ひねった表現が多いと感じていました」と分析しており、上述の通り『アイアンマン』でブレイクする前にも『ジョニー・ビー・グッド』で既に担当歴があったが、「その時の印象とほとんど変わっていないですね」とも語っていた[4]
人物
出演作品にまつわる話題
クレヨンしんちゃん』では主人公・野原しんのすけの父・ひろし役を演じていたほか、主婦層に人気の俳優、選挙出馬の政治家、不倫、オカマとの交際が発覚したタレントなどで藤原の名前がそのまま使われ、台詞がある場合、声も本人が担当している。2014年に公開された劇場版『クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』のBD/DVD発売時のシリーズ初の実写CMにも、藤原が起用された[37]


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